敵の攻撃範囲まで近づく。巨大パックンが噛みついてくる。
すぐに、1、2歩下がる。巨大パックンの牙が空を切る。
体を翻して、巨大パックンの方向へ。巨大パックンは動けない。
さあ、ジャンプして踏みつけて、見事やっつけて……。
その夢物語は、弱り切った右脚のせいでバランスを崩して、終わりました。
地面に這いつくばって、痛みを堪えて顔を上げてみたら。
目の前に、大きく口を開けた巨大パックンがいて――。
…ああっ!見つけたぞ!これ以上逃げるようなら、本当にギッタギタに――!?」キョロキョロ
ロゼッタ「――――――――」ポロポロ
ロゼッタ「よかった、からだ、つながって、る」ポロポロ
ロゼッタ「よかった、なあ。あは、はははははははは」ポロポロ
ブル「」
ブル「」
――すぐ近くに、ダレカガ、イルキガスル。
――ちらっとそちらを振り向き目を合わせると、相手はたちまち固まってしまいました。
――よく認識できませんが、一体、どなたでしょうか。
ブル「……………………居た堪れないから帰ります…」スゴスゴ
どう歩いて、向かったのか…覚えていません。
とりあえず、私は、1-2に戻ってきました。
あと、近くにいた妖精(善)さんに、何か書くものを所望しました。
眼を赤く腫らした私に驚きながらも…ちょっと考えた後、どこかに一旦飛んで行って…
妖精「これでいいですか?」
と、書道用の大筆と長半紙を渡されました。からかっているのでしょうか。
――ああ、すごくピンポイントに、大歓迎ですね。
ちょっとしたノートに書き込んでおく、くらいのつもりでしたが。
平らな地面を探して…おもむろに紙を広げます。
体中の水分がなくなってしまうのではないかと思えるくらい、
とめどなく涙を流し続けながら。
長半紙にも涙がぽたぽたと垂れ落ちる中、
達筆に…いえ、一心不乱に、書き殴りました。
妖精「わあ、綺麗な字ですね!でも……
『ファイア完全習得まで進むべからず』……?
どういう意味ですか、これ?」
どうせ、チャレンジャーは私だけなのですから、気にすることはないでしょう。
妖精が何か話していましたが…ステージの入口の掲示板に、
でかでかと張り付けて、飾っておきました。私自身に、見せ付けるために。
――精神崩壊など、してやるものか。
――絶望を上回る昇華と不屈の精神で、乗り越えて見せます。
ヒュウウウウウ……。
ここは、キノコ王国に属さない…
いや、どの国にも、どの自治区にも属さない、共営のエリア。
ここを理由もなく侵した者は、たとえキノコ王国の姫様といえどタダでは済まない。
もっとも、公平性を保ちながらボランティア精神で管理運営しているのはキノコ王国だが。
小国ならば余裕で収まるほどの土地に、
海が。川が。山が。谷が。平地が。崖が。
夏ならば緑の大地を太陽がさんさんと照らしつけ。
冬ならば一面白銀の世界、天然の氷のリンクが顔を出す。
季節ごとに千変万化する、ありとあらゆる地形が散りばめられる。
自軍勝利の伝令を果たしたとともに命を落としたという。
その距離、現在の測量にして42.195 km。
この故事を偲んだある国の代表が言った。
「うちの国の兵士なら余裕で帰れたのに」と。
若干心無い言葉であったが、負けじと、他の国の代表も言った。
「うちの国の兵士こそ楽々帰れただろう」と。
あれよあれよと、同じような過酷なフィールドで争わせて決着を付けよう、ということになった。
これが、マラソ…ではなく、ここ『オリンピック地方』の生い立ちである。
それでは皆さん、スポーツマンシップに則り、正々堂々、白熱したファイトを!」
パン! パン! パパーン!
ワー、ワー!
ソニック「目指せ、世界一!今年もこのときがやってきたぜ!」
マリオ「久しぶりだなソニック!…あれ、そうでもないか?今回のオリンピックのタイトルは何なんだ?」
ソニック「なんと…ソチ・オリンピックだ!」
マリオ「ソチか!」
クッパ「ソチだと!」
ルイージ「ソチなんだね!」
4人(ソチってなんだろう…)
ペキンもバンクーバーもロンドンも、伝承に残る有名な都市の名前でしょうが!
ちょっとは下調べしておきなさいよ、なんで毎回私が解説しなきゃならないのよ!」
マリオ「じゃあ、昔どのあたりにあったか教えてくれよ」
ピーチ「うぐっ…伝承しか、残ってない、けど」
マリオ「ほらみろ。頭脳明晰なピーチですら断片的な知識しか持ってないんだろ?
これは理解しろというほうが無理でしょー」
ピーチ「普通は伝承でも興味を持って調べるものなの!
ニュースに掲示にパンフレットに…知る機会は色々とあったでしょ!」
ソニック「俺は熱い勝負ができれば何でもいいぜ!」
クッパ「過去には拘らない主義なのだ!」
ルイージ「そうそう、後ろ向きの人生はつまらないよね!」
ピーチ「もういいわよ…私も競技に出るし、切り替えていかないとやってられないわ…」
ヨッシー「ラージヒル!モーグル!バイアスロン!スケルトン!カーリング!!」
ピーチ「ええ!どれもこれも、度胸と技術が試される、とても――」
ヨッシー「とっても美味しそうな名前ばっかりですね!」ジュルリ
ピーチ「そのりくつはよくわからない」
デイジー「ふふふふふふふふ」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ルイージ「そして赤いオーラが見えるデイジーさん」
デイジー「違うわ…私は…超デイジーよ――!」シュインシュインシュイン
クッパ「かませってことか?」
デイジー「あ゛あ゛ん!?」
マリオ「解放されたはいい物の…よっぽど監禁生活で鬱憤が溜まってたみたいだな」
ルイージ「反省して、日頃からしっかり政務こなせばいいのに…」
デイジー「何よ!ピーチだって割と遊んでるじゃない!どうして私だけ!!」
ピーチ「こさなきゃならない最低限の仕事量を100とするわよ?
『私が片づけた方が早いわ!』って思った仕事が100、
周りのトラブルを引き受けざるを得なくなって増えた仕事が100、
合わせて300。これを、本来の期間の半分でテキパキ終わらせて、
残り半分を趣味や遊びに使う。これが私。
仕方ないからやっておきますよ、と部下にやってもらう仕事が25、
指示を的確にしないおかげで有耶無耶になってしまう仕事が25、
減った結果が50。これすらも、あれこれ先延ばし先延ばしにして
10くらいしかやらない。これがあなた」
デイジー「すいませんでした、ぐうの音もでません」
ピーチ「わかればよろしい」
ルイージ「あ、そういえばロゼッタは呼ばなかったの?」
ピーチ「…一応、消極的な文面ではありながらも参加お誘いのメールは出しておいたけど。
メールが返ってこないってことは、ロゼッタも自粛したのね。
まあ、妥当だと思うわ。自信を無くすだけだもの。2年後に期待ね」
マリオ「まあ、な」
マリオ(今頃、どうしてるかなあ)
~WORLD1-2 ノコノコ地下洞窟~
ロゼッタ「…………………………………………」
ロゼッタ「…………………………………………」
ロゼッタ「…………………………………………」
ノコノコ「……あれ、なにやってるんだろう」ヒソヒソ
ノコノコ「一見、おかしなことをやってるように見えるけど…
不思議と、近寄りがたい神秘性があるよな」ヒソヒソ
――私、ロゼッタは、朝早くから。
――すこし凸凹が痛いかもしれない石畳の上で、靴だけ脱いで。
――正座をして目を瞑り、無心になって、瞑想中。
――呼吸は静かに、大きく、ゆっくりと。
周りのノコノコたちは、その気になればいくらでも攻撃できるでしょうが。
静観してくれているのか、特に動きは有りません。ちょっとした気配くらいなら…まあ、わかりますからね。
ロゼッタ(しかし、どういうわけかTIME UPになりませんね。
…ありがたいので、そのまま利用させてもらいますが…
ステージって…謎が本当に多いです)
時計(無意識だろうけど、アンタがPAUSE掛けてるからな!)ピタッ!
どこかで地下水の滴り落ちる音がします。
その音すら、穏やかな心に取り込むつもりで。
さあ、2時間くらいたったところで…問題解決の禅問答を、始めましょう。
問題は、何か。
全体的に実力が足りず、ちょっと数が多かったり強かったりする敵を倒せない。
――全面的な解決は難しいと判断。問題の噛み砕きと妥協を要求します。
問題は、何か。
敵を倒す手段が、踏みつけの他は回数や威力に制約がありすぎる。
――猫化は完全に物理攻撃に頼ることになるので望み薄。
――分類上は魔法攻撃であり、まだ制御の余地があるファイアを、第二の攻撃手段にすべき。
――ファイアを使用するにも、バックファイアが辛すぎてまともに扱えない。
問題の噛み砕きと妥協を要求します。
問題は、何か。
私にとって、今のファイアは実用にも練習にも反動が大きすぎるため、工夫をしなければならない。
――魔法ならば、火球の大きさ、速度、温度などを適宜調整して負担軽減を試みるべき。
――具体性を持たない。問題の噛み砕きと妥協を要求します。
問題は、何か。
ファイアについて、敵にまともなダメージを与えられるだけの威力を持たせながら、
パワーダウンしない程度のバックファイアに留めるようにしなければならない。
――まず、試し撃ちしながらファイアボールの大きさを微調整していき、
魔法回路の損傷や手への熱的負担が許容範囲内になるポイントを探す。
――おそらく威力を下げ過ぎることになるため、今度は速度を持たせて物理的に威力を上げ、
十分な攻撃力を確保する。
――それほどまで速度を持たせることができるとは思えない。解決案の提示を要求します。
――ファイア状態には拘らず、体力作りを最優先させる。
たとえば、死なずにタイムアタックをひたすら行っていれば、頻繁に死ぬより効率もよい。
――ファイアの練習時間を失い、本末転倒。解決案の提示を要求します。
――サヤカによれば、一流の野球選手でも、何千球もの投げ込みは続けないし続かない。
――つまり元々、休養日が必要。その日にたとえば「走り込み」を充てればよい。
――それに、体力が付くことは、ファイアボールによるヒットアンドアウェイを狙う上でも、
ジャンプを織り交ぜた多彩な攻撃パターンを構築する上でも、決して無駄にはならない。
ロゼッタ「…………………………………………」
ロゼッタ「…………………………………………」
ロゼッタ「…………………………………………」
ロゼッタ「どうやら、方針が決まりましたね」パチッ
まず、これまでのようにファイア状態になります。
次に、込めるチカラに細心の注意を払いつつ、そーっとファイアーボールを形作ります。
もやもやと空間が燃え出した瞬間、魔法回路を制御……っ!
ファイアロゼッタ「ぐ、ぐぐぐっ……思った通り、大変な作業、ですがっ!
魔法Lv.が高くて、助かりました、ねっ!」
一発で成功した自分を褒めてあげたいところです。
繰り返しますが、炎魔法の適性自体は私にはありません。
しかし、魔法全般の共通項にあたるテクニックならば、それなりに応用できるみたいです。
手のひらから、数ミリほど浮いた状態で――直径5cmくらいの大きさの火の球が現れました。
…そのまま、キープ。
魔法回路、無視できるほどの微々たるダメージ。
しかし、熱さによる手のダメージはそれなりに入ってきています。
チリチリと、手のひらが炙られている。放り投げたくなるのを、歯を食いしばって、なんとか堪えます。
30秒ほど維持したところで、「ダメージ1つ分」となったのか、ファイア状態が解けてしまいました。
お次は、先ほどの大きさのファイアボールを作り…すぐに、投げてみます。
投げたそばから、新しいファイアボールを製造し、また投げることを繰り返します。
…いい感じです。次の炎を呼び出すまでに手は十分に冷めてくれるらしく、
異常に熱くなることはありませんでした。半永久的に投げ続けられそうです。
しかし、繰り出すファイアボールは…とても威力がある様には見えません。
実際、ノコノコたちは…すこし慌てながらも、逃げるどころか踏みつけて遊んでいます。
…ねずみ花火扱いですか、すこし傷つきます。
少し魔法の制御を弱めて、元の威力に近づけてみます。
――このくらい、でしょうか。
火の球は…直径20 cmくらいまで大きさを戻します。
威力が上がったのは確かでしょうが、5秒もキープしないうちにダメージを受けてしまいました。
また、最低でも30秒は間を空けないと、急激に温度が上がった手が冷め切る前に次の炎を呼び込んでしまうらしく。
とても使い勝手がいいとはいえません。
――ならば。
直径を、少しだけ小さくし直します。直径…10 cmといったところでしょうか。
スターピースと同じくらい。私にとって、握りやすさで言うならかなり優れた大きさです。
25秒キープでダメージ。
半永久的に投げ続けるための、最低限必要なインターバルは10秒。
――おお、割とバランスがいいのではないでしょうか。
問題は威力、ですね。
ノコノコに頭を下げて、避けないでいてもらうことにしました。
ノコノコ「まあそのくらいなら、お安い御用ですよ」アハハ
――微妙に諦めモードも入ってませんか?マリオで慣れているのでしょうか。
バウンドしていく炎の球が、ノコノコに当たり…
ノコノコ「ぐっ…あ、でもなんとか耐えられるな」
2発目、3発目。4発目。
ノコノコ「あつっ!す、ストップストップ!」
さすがにダメージを受けたらしく、甲羅が外れてしまいました。
…なるほど。このくらいの威力ですか。把握しました。
ノコノコに礼を言うと、苦笑いしながら甲羅に入り直して去っていきました。
さあ、また一人で頑張ってみましょう。
……それにしても、本当に投げやすかったですね。というより……。
ロゼッタ「ここまで投げやすいなら、バウンドさせる必要もないんじゃないでしょうか」
もともとファイアボールをバウンドさせて撃つのは、
予備動作が楽だとか狭い所でも投げやすいだとか、理由があるのでしょう。
マリオ達がそのように撃っているので、私も真似してきましたが。
まあ、そもそもファイアボールが大きいと、バウンド前提でしか投げられなかったんですけどね。
でも、整備された球場の芝とかならともかく、凸凹な地面が至る所にある中で。
こんな小さなファイアボールを投げようものなら…たちまち影響を受けて、
あらぬ方向に進んでいってしまう気がします。
では、純粋にぽーんと放り投げることにしましょうか。
ファイアロゼッタ「それっ!」
かつて模倣したサヤカの投げ方を必死に思い起こしながら、投げてみます。
ファイアボールは、5,6メートルほど飛んで、そのままバウンドしていきました。
――あんまり強く握れないこともあり、こんな飛距離になりましたが。
ロゼッタ「ほう、割としっくりきますね。これならば、私の努力次第で改善できそうですね!」
~オリンピック地方~
デイジー「……ハアアアアアッ!!」クルクルクルクルクルクルクルクル
キノピオ「おおっと!デイジー選手の47回転半アクセル、見事に成功!
これはかなりの高得点が期待できますね!」
キノピコ「ええ、さきほどのピーチ選手は回転不足評価でポイントを落としましたし、
逆転したかもしれません!」
キノピオ「…あっ」
電光掲示板に、得点結果が表示され――!
ワアアアアアァァァ!
デイジー「よっしゃああああああああ!」ガッツポーズ
キノピコ「おお、やはり!デイジー選手、ピーチ選手の得点を越え…単独3位に躍り出ました!
これで、銅メダルはほぼ確定か!ピーチ選手、惜しくも表彰台から滑り落ちました!」
キノピオ「…………」
キノピコ「あ、ピーチ選手から電話が入りました。
『未だに公私混同するキノピオは後で罰ゲームね』とのことです。
よかったね、キノピオ!」
キノピオ「!?」
キノピコ「それにしても、マリオ選手とルイージ選手は凄いですねー!」
キノピオ「」
キノピコ「なんと、前人未到の128回転スピンと64回転スピンですよ!
マリオワールドで鍛えられている人は違いますね!
巷では『アイツら出禁にしろ』という冗談すら飛び出るほどですよ!」
観客(冗談じゃねえよ)
~WORLD1-2 ノコノコ地下洞窟~
ファイアロゼッタ「えいっ」ボウッ! ポンッ!
ファイアロゼッタ「えいっ」ボウッ! ポンッ!
ファイアロゼッタ「えいっ」ボウッ! ポンッ!
ファイアロゼッタ「えいっ」ボウッ! ポンッ!
ファイアロゼッタ「えいっ」ボウッ! ポンッ!
ファイアロゼッタ「えいっ」ボウッ! ポンッ!
ファイアロゼッタ「えいっ」ボウッ! ポンッ!
ファイアロゼッタ(まあ、サヤカに投げ込みの常識範囲までは教えてもらわなかったので。
数千球は多いらしいので、とりあえず――1日500球くらいにしておきましょう!
それに、FPや精神疲労は無理ですが、HPならばTIME UPで死ねば元通りですからね!
投げ込みをやった次の日は、腕を休めて骨、筋組織の増強に充て…1-1を走破し尽くす!
とりあえず、300秒を切ることを目指しましょうか!
こんな感じに、ひたすら交互にこなしていきましょう!
しんどい、ですがっ。努力有るのみ、ですねっ!)
ファイアロゼッタ「えいやっ」ボウッ! ポンッ!
~オリンピック地方~
キノピオ「レディー… ゴー!」パンッ
ソニック「うおおおおおおおぉぉぉぉ!」ダダダダダダダダ
マリオ「なんのおおおおおおおおおおおぉぉぉ!」ダダダダダダダ
キノピコ「ゴーーーール!」
スピードスケート500 mリザルト!
1 st SONIC 0:03.290
2 nd MARIO 0:04.942
マリオ「だあぁ!また完敗だ、ちくしょう!加速もMAXスピードも全然勝てないぞ!」
ソニック「へんっ、実力が違うぜ!欠伸が出るぜ、まったく!」
マリオ「くっそー!」ジタンダ
キノピコ「リングが損傷激しくなったので氷を張り替えまーす。
しばらくお待ちくださーい!」
~夜、フェアリーランド~
ロゼッタ「くー…」スヤァ
ロゼッタ「……」
ロゼッタ「……………………ふわぁ?」
ズキンッ!!
ロゼッタ「……!?」ガバッ
ロゼッタ「…がっ――――くぅっ!?」
ロゼッタ「ああ、あああ!?右腕が……いた、いたたっ!?
……どうしてしまったのですか、私の腕は!?」
ロゼッタ「がああっ――!!」ゴロゴロ
~翌朝~
ロゼッタ「…………」
きっと今の私は、魂が抜けたような顔をしていることでしょう。
ロゼッタ「……………………は、ははは。
涙目になりながら右腕を抑えてうずくまるばかりで
結局あれから一睡もできませんでした。
これがかの有名な『筋肉痛』なるものですか。
アスリートの皆さんは、冒険者の皆さんは――日頃からこのような痛みと戦っているのですね。
本当に頭が下がります、ははは……」ズキズキ
――とりあえず、予定は遂行、しましょう。さあ、1-1へ。
――腕を振る動作などに影響がなければいいのですが。ほんとうに。
~WORLD1-1 スーパーベルの丘~
クリボー「それで戻ってきたのか……事情は分かったけど、300秒切るって姐さんには無理じゃね?」
ロゼッタ「無理でもやるのです!その心意気こそが大事なのです!」グッ
猫クリボー「じゃあ、幅跳びくらい覚えないとな!」
ロゼッタ「……幅跳び、ですか。そういえば。
マリオ達が物凄い速さで幅跳びを繰り返しているのを見たことがあります。
速すぎてよく連結動作が分からなかったのですが、どのようにするのか知っていますか?」
クリボー「えーっと、走って、シュッとしてドン、じゃなかったっけ」
猫クリボー「いや、走って、ザザーッとしてバーン、だろ?」
ロゼッタ「……無理言ってすいませんでした。自分で頑張ってみます」アハハ
――マリオ達に連絡をすれば一発解決するかもしれませんが、
――それだと現状がバレて…ちょっと面白くないですからね。
なんでしょう。こう……成長を見て驚いてほしい、という変な欲が出ていますね。
我が強くなったのでしょうか、あるいはふてぶてしくなったのでしょうか。
とりあえず、400秒を切ったら一度帰りましょうか。
…我ながら、酷い管理者ですね、ごめんなさい。
ロゼッタ「とにかく、最初に走るのは確定みたいですし…
ひたすらゴールまでたどり着きながら、ちょっとずつ実験していきますか」
ロゼッタ「…………」タッ タッ タッ
ロゼッタ(右腕は痛いですが、なんとか持ってくださいよ…!)ズキズキ
スーパーベル「そんなアナタにパワーアップを!」リリーン
ロゼッタ「あ、ハートアップです!貰っておきましょう!」
スーパーベル「」
猫ロゼッタ「いっきますよー!」ニャー!
猫ロゼッタ「…………」タッ タッ タッ
猫ロゼッタ「……………………あー」ピタッ
猫ロゼッタ「基礎固めしようというときに、これはない、ええ。
四つん這いとか…いつもと走り方が違いすぎますよね、うん。
腕を痛める方針ともまるで合致していません。
すいませーん!クリボーさん、
ちょっと体当たりして猫状態解除してもらえませんかー!」
クリボー「…お、おう」トッ トッ トッ
ロゼッタ「どうもありがとうございます!
今後は取らないように気を付けなければなりませんね」ティウン ティウン ティウン
クリボー「一部ファンがすっげー悲しむな」
猫クリボー「このシリーズ全否定だな」
ロゼッタ「???」ハテ
ロゼッタ「さあ、仕切り直しと行きましょう!」
クリボー「意気込んでるとこ、悪いんだが…
もたもたしてる間にタイム進んでるぞー?諦める?」
ロゼッタ「ああっ!?しまった!」タッ タッ
時計「あと10秒ッスよ!!!」
ロゼッタ「ゴール、ポールへっ!飛びつきますっ!!」ピョンッ!
ゴオオオォォォォン…………! COURSE CLEAR!
クリボー「おお、間に合ったのか!やったな!」
ちびロゼッタ「うあああああぁぁ…頭が割れるぅ……」ドクドク
ちびロゼッタ「あ、このままひどい状態だと継続ダメージ、があ…!」
ちびロゼッタ「」チーン
クリボー「…………」
猫クリボー「これ、クリアなのかな?MISSなのかな?」
クリボー「フラグ順番的にクリアでいいんじゃないかな?」
ロゼッタ「…………」タッ タッ タッ
COURSE CLEAR!
ロゼッタ「…………」タッ タッ タッ
COURSE CLEAR!
ロゼッタ「…………」タッ タッ タッ
MISS!
ロゼッタ「…………」タッ タッ タッ
COURSE CLEAR!
クリボー「凄い形相で淡々とこなしてるな」
猫クリボー「微妙に完璧じゃないのは御愛嬌ってやつかな」
ロゼッタ「とりあえず、1-1の死亡率0%も目指しますよぉーっ!!!はあああああぁぁっ!」タッ タッ タッ
クリボー「…やけっぱち?」
~次の日~
ロゼッタ「……困りました」
両脚が筋肉痛になったのは、まあ想定内として。
…あれ。これ、立てますかね…?が、頑張れば、なんと、か!
右腕の痛みが…少しは収まりましたが、治り切っていません。
も、もしかして…言いたくありませんが、言ってて悲しくなりますが、年なのでしょうか。
…あれ、年齢と共に遅くなるのは、治癒時間ではなく発症開始でしたっけ?
ともかく、このままではファイアボールをとても投げられそうにありません。
なんとか立つことは出来ましたが、走り込みも当然出来そうにありません。
ロゼッタ「もう、鍛えられるところなんて…」
ロゼッタ(…………)ジーッ
左手くらいしか残ってないですね。
鍛えたところで特に意味などない気もするので――。
……いや、ちょっと待ってください。その考えは早計かもしれません。
ファイアを第二の、そしてかなりのウェイトを持つ攻撃手段とする以上、
万が一右腕を負傷した時などの場合に備えて……
左腕でもファイアボールを撃てるよう鍛えておくのは、
それなりに…いえ、かなり意味があるのではないでしょうか。
体の左右バランスを保つ上でも、同じくらい鍛えておいて損はなさそうです。
そういうことなら、左手でも投げるようにしましょう。
右手、左手、走り込みの順でサイクルを回してやるといいかも知れませんね。
どうしてもきついなら、走り込みのあとに完全休養日を設けて4日サイクルとすればよいのです。
投球自体にも足腰は当然使いますからね。
あまりよくわかりませんが、ここで、人によってはツッコミを入れたくなるのでしょうか。
「左利きでもないのに、練習もしていないのに。そんなに簡単に左で投げられるようになるかよ!」と。
はい。
簡単ですよ?
ファイアロゼッタ「空間イメージング…『左右反転』だから…こんな感じですか?」
空間把握しながら、全ての動作を左右逆にして。振りかぶって…左手で、ぽーん。
ファイアロゼッタ「…………♪」ニヘラ
いまのところ、左右の筋力はほぼ同じですし。鏡像を再現する位なら楽勝です。
ファイアロゼッタ「では、今日は左手で500球投げますか!
――せぇーのー!」サッ
テーレッテレー!
ロゼッタの 基礎体力レベルが Lv.2に 上がった!▼
ロゼッタは スイッチピッチャーに なった!
利き腕とは 逆側で投げた場合でも 球速が落ちない!▼
~3か月後~
チコ「急がなきゃ、急がなきゃ!」
ママは旅に出る、と言ってたけど。
結局は、フェアリーランドでひたすら修業するってことだよね。
第一、ワープボックスで移動するしかないんだから。
慌てふためいていた僕たちも、そのことに気付いてからはようやく落ち着きを取り戻した。
チコの中には、ワープボックスを潜り抜けてママに会いに行こうとするコもいたけれど。
ママの集中力を削いじゃあ駄目だよ、と言って、我慢してもらった。
――僕だって、本当は会いたいよ。
でも、都合がいいというか、悪いのか。
ママにどうしても会いに行かなきゃならない用事ができたから、仕方ない。
急がないと、大変なことになっちゃうかも!
何処までママは進んでしまったんだろう…。
あ、こっちからママの強い気配がする!とりあえず元気そうでなによ――。
1-2「よっ」
チコ「…………」
チコ「…………へっ!?まだ1-2なのぉ!?」
――ママったら、そんなに苦労してるの、かな。
死にそうな目に遭い続けるよりは、よっぽどいいけど。
えっと、僕は「ザンキシンセイ」ってやつをしてないんだけど、ステージに入っちゃって大丈夫かな?
…きっと大丈夫だよね!えいっ!!
チコ「あ、ママー!元気にしてt」パァァ
ファイアロゼッタ「はあああぁぁっ!!」ボウッ! ブンッ!
ビュンッ!…ゴンッ!
チコ「……えっ」
ファイアロゼッタ「次は左手ぇっ!!」ボウッ! ブンッ!
ビュンッ!…ゴンッ!
ファイアロゼッタ「右手ぇっ!!」ボウッ! ブンッ!
ビュンッ!…ゴンッ!
ファイアロゼッタ「まだまだぁっ!!」ボウッ! ブンッ!
ビュンッ!…ドゴンッ!
テーレッテレー!
ロゼッタの 基礎体力レベルが Lv.9に 上がった!▼
ファイアロゼッタ「よし!安定して左右とも時速105 kmくらいは出てますねっ!いい感じですっ!
しかし、先はまだまだ長いですよっ!この勢いで参りますっ!」サッ
チコ「」
チコ「マ、ママなの!?」
ファイアロゼッタ「はい?」
チコ「…………」
ファイアロゼッタ「チ、チコ!?一体どうしてここに…!?」
チコ「えっと、ママにどうしても伝えなきゃならないことがあって、それで…」
ファイアロゼッタ「……っ!いけないわ!このままだと、TIME UPで――
残機申請していないチコの記憶が消えちゃう!?
チコッ、ママに早く捕まりなさいっ!ゴールに向かうからっ!」
チコ「え、う、うん!…勝手にステージに入ってきちゃって、ごめんなさい!」ガシッ
ファイアロゼッタ「反省しているならいいわ。ママも今まで、ごめんね。…さあ、行くわよ!」タタタッ!
チコ(ママ、速くなってる!)パアァ
クリボー「仕事なんでな、邪魔するぞー!」トコ トコ トコ
ファイアロゼッタ「手投げファイアっ!」ポーン
クリボー「いてっ!」
ファイアロゼッタ「怯んだ隙に振りかぶって…っ!はあぁっ!」ビュンッ!
クリボー「ぐわぁ、やられたー!」コイーン
チコ「凄い、凄い!!」
ファイアロゼッタ「一杯、一杯特訓したのよ?ふふふ…」タタタッ
タワークリボー「「「「「「「それが油断に繋がるかもな!」」」」」」」
ファイアロゼッタ「っ!?」
チコ「クリボーが7体も!ぶつかるっ!?」
ファイアロゼッタ「…とみせかけ、てっ!イエェイ!」クルッ シュタッ
タワークリボー「「「「「「「おおー!」」」」」」」
チコ「……横宙返り!?」
ファイアロゼッタ「なんだか、ダッシュ反転直後に少しでも離れようとジャンプしたら…
偶然使えるようになったわ!……ときたま失敗して頭から落ちるけど(ボソッ)」
タワークリボー「「「「「「「あはははは」」」」」」」
ファイアロゼッタ「そこ、笑わないっ!死にたくなかったら笑わないっ!
ファイアボール撃ちますよ!
…ああ、もう!とりあえずゴールを優先しますので!『また後で!』」
タワークリボー「「「「「「「おう!」」」」」」」
COURSE CLEAR!
ファイアロゼッタ「……ふう」
チコ「クリアできてよかったね!」
ファイアロゼッタ「ええ、そうね。じゃあチコは、ちょっとステージの外で待っていてくれる?」
チコ「……あれ、どうして?」
ファイアロゼッタ「私もそろそろ帰ろうと思っていたところだけど、『これ』を配ってからね?
みんな、楽しみにしてくれてるから。うふふ…」サッ
ファイアロゼッタ「というわけで、はい、お待たせしました!
沢山ありますから好きなだけ食べてくださいね!
種類はちょっと少ないですが!」
クリボー「わーい!今日はサンドイッチか!」
クリボー「ムシャ…何度食べても飽きないな、姐さんのパン料理!すっかり虜になっちまったぜ!」
ファイアロゼッタ「パン料理くらいしかレパートリーがないんですけどね、ははは…
む、そもそもサンドイッチって料理に入るんでしょうか」
ノコノコ「当たり前だよ!そもそもからして、パン自体が手作りなんだろ!いやあ美味い!
食べ出したら止まらなくなるんだよな!」パクパク
ノコノコ「あ、俺のやつ、トーストお願いします!」
ファイアロゼッタ「お任せください!…えいっ!」ボウッ!
ノコノコ「おお!見事な焼き加減!……うめぇ!
すっかりファイアボール使いこなしてるじゃないっすか!」
ファイアロゼッタ「あ、よかったらマスタード使ってください。それと、こちらの…
ホイップクリームと3種ベリージャムのスイーツサンドイッチも召し上がってくださいね」ハイッ
ノコノコ「うおおおおおお!さっすがぁ!」
ファイアロゼッタ「色々と皆さんにはお世話になっていますからね。
無限増殖とかファイアボールの特訓とか」
クリボー「お互いさまってやつさ!うおお、俺、ここに配属されて本当に良かったぜ!」ムシャムシャ
ノコノコ「全くだな!」パクパク
ワイワイ ガヤガヤ…!
ファイアロゼッタ「…あ!すいません、そろそろ行かないとTIME UPになるのでっ!
あと、ちょっとしばらく来れなくなりそうです!」
軍団員「「「「えええええー!?」」」」
ファイアロゼッタ「ま、またそのうち顔を出しますから!それではっ!」タタタッ
チコ「ふふ、さすがママ。敵さんにも分け隔てなくご飯を振る舞っているなんて!
すっごく優しくて、僕もすっごく誇りに思うよ!表情も明るいし、安心しちゃった!
1-1のクリボーや猫クリボーたちにも配りに行くっていうし、僕の用事は待っててあげようっと!
あれ…………僕の、用事?……………………えっと――」
ファイアロゼッタ「ふう。配り終えて、無事ステージクリアも間に合いました。
さて、では1-1にも行きましょうか。チコ、あと500秒…いえ400秒だけ待っていてね?」
チコ「あわわわわ!あの、その、えーと!ちょっと急いだ方がいいんじゃないかなあ!?
…って、ママったらステージに入って行っちゃったよ!あわわわわ…!」
まさか、また隕石が…なんてことはないでしょう?」
チコ「えっと、そこまでのことじゃあ、ないんだけどね!?い、いや、そこまでのこと、なのかな!?
と、とにかくはやく、ほうき星に帰ってきて!これがメールを印刷したやつ!」
ファイアロゼッタ「…???ええ、わかったわ」ペラッ
『ロゼッタ…貴方、司会進行だけはやるって回答したらしいのに、
日程が近付いてきたからアイランドツアーのパーティ会場に連れ出そうとしたら、
ほうき星がもぬけの殻っていうのは…どういう了見かしら?
リハーサルも終わって、観客も既に続々と集まってきてるのよ!
せめて本番までには間に合わせるために、早く帰ってきなさいよっ!
事と次第によっては シ・メ・ル♪
ピーチ』
ロゼッタ「」
ロゼッタ「」
ロゼッタ「…………ワープブロックまで全力疾走ぉー!!」タタタタタッ
チコ「お、おー!」フヨフヨ
~アイランドツアーボードマップ ロケットレースギャラクシー~
ワー ワー!
サッサト ハジメロー! オクレテルゾー!
キノピオ「う、宇宙を駆け抜ける、ロケットレースギャラクシーへようこそ!
このボードのルールはズバリ、最初にゴールした人の勝ち!
なお、ブースターを使えばサイコロの数字がパワーアップ!
使う数を増やすほどたくさん進めるので、有効活用していきましょう!
あ、ちなみに。ゴールは250マス先となっております。
ゴールに近づくほど、止まると危険なマスが増えていくので、ブースターは変に序盤で使わず、
どんどん溜めておいた方がいいかもしれませんね!
……はて、『25マス先じゃないの』ですって?なんのことでしょう?」
マリオ(控室)「ゲームの根幹を揺るがすから『サイコロ使うな』とは言わないけどさ。
マス移動なんてちょっとしたことにロケットやブースター使うくらいなら、走った方が早くね?
轢いたやつからアイテム奪えるとかの特殊能力があるわけでもないんだろ?」
ルイージ(控室)「シィーッ!」
おいマリオにルイージ、結構面倒見てやってんだろ?
最近のあいつ、どうよ?本当に頑張ってるのか?」
マリオ「ああ、結構頑張ってるぞ。ま、楽しみにしておいてくれ」ニヤリ
ワリオ「そいつぁよかった、信用しといてやるよ、ガハハハハ」
クッパJr.(控室)「このボードのギャラクシーアレンジBGMって凄くいいよな!
アイランドツアーの価値の3分の1くらいを占めていると言っても過言じゃないぜ!」
ヨッシー(控室)「やっぱりそう思いますよね!ほんと壮大で!『永遠のスター』を思い出しますよ!」
~ゴール地点~
ロゼッタ「ゼェ、ゼェ……な、なんとか間に合いました……ゼェ、ゼェ…
……いえ、普通にアウトですよね。
司会進行のはずが、ゴール地点のお出迎え役に甘んじているということは、
明らかに間に合っていませんね、とほほ…。
……ああ、ピーチ姫の怒りが……怖い……です」ガクブル
アシスタント『カメラに向けて優雅に手を振る 笑顔で』カンペ
ロゼッタ(は、はい!)ヒラヒラ
参加者の順番決定!
1番 ピーチ
2番 テレサ
3番 ワルイージ
4番 デイジー
ロゼッタ(……よりにもよってピーチ姫が参加してるじゃないですか…!
ここ現実世界なんですけど…!命を失うとそれっきりなんですけど…!)
ピーチ「真っ先に到着してロゼッタに肉体言語で説教してあげるわ…」メラメラ
デイジー「アカン、とりあえずピーチを止めなきゃ…!やるぞー…!
ロゼッタの命が懸かってるんだ…!」アワワ
~ボーナスミニゲーム プールでフラッグ集め~
ピーチ「はああああああっ!!!」ゴロゴロ ジャバジャバ
デイジー「ブースター3個取らせてたまるかー!その3ポイントフラッグはわたさーん!」ゴロゴロ
ピーチ「邪魔するのなら容赦しないわよ、デイジー!」クワッ
デイジー「こここ怖くなんてないもん!」ゴロゴロ
ワルイージ「1ポイントフラッグを堅実に集めて2位目指すぜ、俺って賢い」
テレサ「3ポイントフラッグをピーチかデイジーが取った瞬間に俺の能力で奪えばいいんだナ?」
ワルイージ「……ミニゲームに勝てたとしても後で殺されるからやめとけ」
テレサ「確かニ。お化けながら怖いからやめとコ」ブルブル
好きなものはママと、ママが作ってくれた星くずパンで…
え、自己紹介タイムじゃない?ご、ごめんなさい!
ぶ、ブースターゲットの大チャンス!
バトルミニゲームでーす!
みなさんから、1こずつブースターを集めミニゲームで勝負します!
1位になれば、なんと全部もらえますよ!
…それでは、ブースターを集めますね」チラッ
残り 231マス ピーチ ブースター ×12
残り 196マス テレサ ブースター × 0
残り 175マス ワルイージ ブースター × 0
残り 224マス デイジー ブースター ×10
ピーチ「私の旨味が少ないんだけど」ピキピキ
デイジー「それは運が悪かった、とか作戦が下手だった、でお互い諦めようよ…」
~バトルミニゲーム よくみて!宝石マンホール!~
ピーチ「本当に運ゲーじゃないの!!」ガンッ
デイジー「マンホールの中の宝石が、今から飛び込もうとする私たちに見えるわけがないのである」
キノピオ「か、観客は内部構造を見ることができているので、リアクションで判断するとかどうでしょう!?」
デイジー「それって、もはや競技としてどうなんだろう…まあ、いいや。適当にえーらぼっと!」
ピーチ「何か策が…音響?超音波?いえ、周囲の足跡から設置者が抱えた重量を読み取って……」ブツブツ
――フィニッシュ!
デイジー「わーい、いっちばーん!ピーチ、ブースターは貰っちゃうね!」ホックホク
ピーチ「こんのLUCK全振りっ娘がぁ!」
デイジー「観客は喜んでるからいいんだもんねー!」エヘヘ
~ボーナスミニゲーム 回してフィギュアカプセル~
キノピオ「ロボットアームを操作し、フィギュアを回転させて見本通りにしてください!
ただし、X, Y, Z軸回転それぞれについて、許容誤差2°以内に収めて
2秒キープしないと成功と認められません!問題は全部で3問あります!
…え?90°ごとの制御が可能な機能?そんなものありませんよ?」
ピーチ「くっ、回転の仕組みもおおよその必要回転量もなんとなくわかるけど、操作がシビアね…!」ウィーン
デイジー「えっと、こっちがそっちで、上、じゃなくて右?えっと…!?訳がわかんないよー!」ウィーン
ワルイージ「そーっとそーっと…フッ、お先にしつれーい!伊達にルービックキューブ1級の免状持ってないぜ!」シュパッ… シュパッ…
ピーチ「なんですって…!?」
デイジー「意外なところに伏兵が…!?」
キノピオ「これは想定外だ!ワルイージさんの操作技量に観客が拍手を送っています!」
テレサ(揃いかけのカプセルを奪うとかダメかナ?)ウィーン
2 nd ピーチ 2:36.484 /3問 最大誤差 1.89°
3 rd テレサ 4:59.301 /3問 最大誤差 1.65°
4 th デイジー 5:58.086 /3問 最大誤差 1.45°
デイジー「…いいもん。慎重にやったから最大誤差は小さくて済んだもん」グズッ
ピーチ「ふふ、いい気味ねえ」
デイジー「なにおー!」
ワルイージ「弱い者同士の争いは醜いねえ、ヤレヤレだぜ」フッ
ちょっと様子を確認してみましょう!どうぞ!」
~ゴール地点~
カメラマン「…………」サツエイチュウ
ロゼッタ「えっと…このイベントに関するトークなどをしないで、私は大丈夫なのでしょうか。
というより、こんな私の姿を撮っているばかりで、いいのですか?」
カメラマン「い、いえいえ!ぜひともそのまま続けちゃってください!
随分楽しんでいるようですし!気に入ってくださいましたか?」
ロゼッタ「はい!最初はナニコレって感じでしたが、すごく楽しいです!
暇つぶしに貸してくださったアシスタントさんに感謝ですね!
アームの応答もすごくいいですし!」シュパパパババババ
カメラマン「こ、これは映えるぞ…!みなさん、ご覧ください!」ゴクリ
観客「」ポカーン
ロゼッタ「次の見本は…
X軸方向に 34.68°
Y軸方向に 126.31°
Z軸方向に -64.09° といったところでしょうか!」シュババババババ
アシスタント(全方向に1回ずつの入力で終わらせ続けている…だと…!?)
ロゼッタ 0:09.085 /3問 最大誤差0.02°(50回平均)
ワルイージ「」
テレサ「スゲー」
デイジー「空間把握能力MAXの人は違うなあ」
ピーチ「…誰がこの記録塗り替えられるのかしら」
~ボーナスミニゲーム のぼってハシゴレース~
キノピオ「スタッフさん曰く『宇宙のボードということで…ハシゴの長さも銀河級に大きくしてみました!』とのことです…」
ピーチ「……えっと、頂上が見えないんだけど」
キノピオ「『星々を渡り歩いて、切り立った崖を、わざわざ必死になって探した』とのことです…」
デイジー「……何mくらいあるの?」
キノピオ「『10 kmくらい』とのことです…」
デイジー「!?」
ピーチ「秒速10 mで登るとして、16分40秒ね。とっとと始めるわよっ!」
ワルイージ「しょうがないなー!」ヤケクソ
デイジー「本当にやっちゃうの!?棄権しないの!?馬鹿じゃないの!?」
キノピオ「あと、ガボンからの伝言で『鉄球がとんでもない速度で落下するけど大丈夫?
まあ遠慮なく落としまくるけど』とのことです…」
ピーチ「」
デイジー「」
ワルイージ「」
テレサ「」
2 nd デイジー
3 rd ワルイージ
4 th ピーチ
キノピオ「壮絶かつ地味な戦いを制したのはテレサさんだ!
ハシゴ移りも非常に軽々と行っていました!
……なんだか何度か鉄球がすり抜けていたのは目の錯覚でしょうか?」
ピーチ「ゴホッ…ゴホッ…ああ――半ばで王冠を落としていなければ――っ!」ボロッ
デイジー「実質一人だけ20 km分を課せられたピーチが1位でいいよ、もう」アキレ
ピーチ「ルールは守るわ」キリッ
ワルイージ「お、おう」ヒキッ
~ボーナスミニゲーム 隙間へ逃げろ!~
ピーチ「……まずいっ!移動方向間違えたっ!?ブロックに潰される!ふんぬぅーーーー!!!」グググググッ
デイジー「ここは協力するわ!ペラペラになるなんて御免よ!」グググググッ
ピーチ「デイジー、あなた――!ありがとっ!」
デイジー「いいってことよ。どのみち私も潰されかけないし、ねっ!」ギチギチ
観客「す、すっげー!プレスブロックに潰されそうになりつつも、
無理やり押しのけて空間を作って生き延びようとしてるぞ!」
観客「なんて怪力なんだ!ハシゴレースの後とはとても思えねえ!」
ワルイージ「オイコラ司会者、あいつら2人とも失格だろうが!さっさとジャッジしろよ!
必死こいて逃げ延びてる俺が馬鹿みたいじゃねーか!」
キノピオ「は、はいぃ!」
ワルイージ「チッ…みんな、お姫様2人の乱舞っぷりを喜ぶばかりでさー。
俺の存在感、どこにいっちまったんだ全く」
テレサ「俺の存在感も薄いから気にするナ!フヨフヨだゾ、フヨフヨ!」
ワルイージ「お化けのお前は当たり前だろうが!…やっぱりルイージの対ってのがインパクト薄いのか?
いやいや、今更ライバルをマリオってことにするのもなんだかなー。
せめて主役を張れる物語が欲しいぜ」
~ゴール地点、時間がかかっているのでトークショー展開中~
解説「――ところでロゼッタさんは、クッパタワーに挑戦されるおつもりですか?」
ロゼッタ「クッパタワー?…すいません、あまりよくわかりません。どのような施設なのですか?」
解説「挑戦者やライバルたちの分身を作り上げてミニゲームで戦わせ、
挑戦者を無理なく鍛えてくれる訓練施設のことですよ。クッパも粋なことをしますよねー」
ロゼッタ「……あの、えと。たぶん…挑戦しないと、思います。すいません…」
ロゼッタ(仮にクッパの感覚で弱く設定されていても、私などでは勝てない可能性の方がずっと高いですからね…
仕方がありません。もっとフェアリーランドで鍛えなくては、話になりません)
解説「そうですか。いや、残念ですね」
ロゼッタ「…………」
ロゼッタ(挑戦者の、分身…………………………………………)
ロゼッタ(…………何かこう、特訓のヒントが、隠されている気が、します。
このイベントが終わったら、ちょっと検討してみましょうか)ポン
おっと、ここでビリであった姫さ…ピーチさんが、溜めていたブースターを一気に開放するつもりだ!
…え?一度に使用可能な数は4個まで?そんなルールありませんよ?」
ピーチ「最後の勝負よ!途中のバッドイベントなんて、全部飛び越えてあげるわ!」
――ブースター53個使用!
――54倍サイコロ!!
キノピオ「ピーチさんは…残り157マスです!現在のサイコロの目は0, 54, 108, 162, 216, 270であるため、
50%の確率でゴールインということになりますっ!」
デイジー「はっはっは、ピーチくん。あなたの運の悪さなら、ここで0を出して
観客の大爆笑をもたらしてくれると信じているよ!」ノコリ 109マス
ワルイージ「…俺、今は一応トップだけど、デイジーもテレサもブースターをかなり持ってるからなぁ。
ここでピーチがゴールして、俺は2位で終了するってのも悪くはないのか?
…いや、なんか後ろ向きな発想な気がするな、ううむ」ノコリ 59マス
テレサ「ケケケ、ゴールしちゃったりしたら呪ってやるゾー」ノコリ 94マス
~ゴール地点、互いに中継状態~
ロゼッタ(…………)ドキドキ
ロゼッタ(0か54か108 0か54か108 0か54か108 0か54か108…)
ピーチ「そりゃっ!」ポーン
キノピオ「運命の結果は……162だぁー!!」
デイジー「うそおおおおおお!?」ガーン
ピーチ「やったわ!全力前進っ!!私の……優勝よ!」ゴオオオオオオオオオッ
ロゼッタ「な、なんということでしょう!終わってしまいました!
あああ、ピーチ姫が、ものすごい速さでどんどん、近づいてきます!
こ、こないでくださぁい!!拒絶します!」ポワーン
アシスタント「…えっ」
私は恐怖から、無意識に、持ってきていた杖を振るってしまいました。
…それが、事態をひどく悪化させることにも気づけずに。
ピーチ「さあロゼッタ、覚悟しなさ――」ゴオオオオオオオッ
ロゼッタの ピッタリゲート!
ピッタリ とまらないと ゴールあつかいに ならない!
ピーチは はねかえされて 5マス もどされた!▼
ロゼッタ「あ」
ピーチ「きゃあっ!」ゴツンッ オリカエシ!
カメック「私の魔法が!?ボードマップが違うんですけどぉ!」
ポチッ。 ――だれかのところへワープ!
キノピオ「る、ルーレットの結果……デイジーさんのいる場所へワープします!!」
ピーチ「…は?」
シュインッ!
ワルイージ「…………」1 st
テレサ「…………」2 nd
デイジー「や、やあ」3 rd
ピーチ「」3 rd
キノピオ「あわわわわわわわわわわわわわわわわ…
うううううう後ろにワープしちゃいました。どうか気を落とさないで…くださいねっ!」ガクガクブルブル
ピーチ「…………ふふふふふふふふふふふふふふふ、タンコブできちゃったぁ」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
デイジー「般若がおるでぇ」ガクガクブルブル
ロゼッタ「あ、あ、ああああああああああああ!?」ガクガクブルブル
マリオ「」
ルイージ「」
ワリオ「ぎゃははははははははははははははは!こりゃケッサクだぜ!腹いてぇ!」
~ボーナスミニゲーム ガッポリ横取りブースター~
デイジー「ちょっと待ったぁ!!こんなミニゲームないでしょ!?」ビシィッ
ピーチ「ブースター寄越しなさいゴラァ!!」
デイジー「ぐふぅ」バタリ
テレサ「ギャァー!成仏されるゾー!!」ボロッ
ワルイージ「ア、ハイ。俺が持ってるブースター全部差し上げます」スッ
ピーチ「チッ、これ以上持てないのね、残りは捨てるわ」
――ブースター 9 9 個使用っ!!
――1 0 0 倍サイコロっ!!!
キノピオ「サイコロの目は……500だぁ―――――っ!!
ロケットがけたたましい轟音を上げてゴールに突撃してゆきますっ!!」
ロゼッタ「」
ピーチ「ツラヌキィ――――ナグーゥリィィィ――!!!」ドグシャッ!
ツラヌキこうかの フライパンで
ピッタリゲートは こなごなに くだけちった!▼
ピーチ「まあ、FPに限りのある状態のロゼッタの魔法程度じゃ、こんなものよね」ズシン ズシン
ロゼッタ「」ガチガチ
ピーチ「さぁてロゼッタ、何か言いたいことはあるのかしら?私はいーっぱいあるのだけど?うふふふふ」ゴゴゴゴゴゴ
ロゼッタ「――――なんでもしますから命だけは勘弁してください」ドゲザ
ピーチ「……ん?今、なんでもしますって言ったわね?」
ロゼッタ「はっ!このロゼッタ、ピーチ様のためならば、物理的に不可能であることや致命傷を被りかねないこと、
あと破廉恥なことでなければ全力で努めさせていただきます!」
ピーチ「……ほう?二言はないわね?」ゴゴゴゴゴ
ロゼッタ「……はい」ブルブル
ピーチ「……………………………………………」
ピーチ「よし♪許す!」ニコッ
ロゼッタ(ホッ)
デイジー(いかん!アッサリすぎるっ!そこで安心しちゃいかんよロゼッタァ!!)
マリオ「あーあ…知らんぞー」
ルイージ「相当な罰ゲームを思いついた顔だよね…」
私の出番はもちろんのこと、ピーチ姫やデイジー姫もお役御免…すなわち抜け出してよい状態である、とのことでした。
あとはマリオが「アベコベ!クッパ火山」ボードにて、クッパとの対決で場を持たせてくれるみたいです。
私は、2人に連れられて、キノコ王国に向かうことになりました。
一体、何を命令されるのでしょうか…………。
連れられてきたところは、どこかの立派なスタジオでした。
あれよあれよと着替えさせられて…………連れてこられたのは…撮影現場。
ロゼッタ「あのー、この衣裳、なんなんですか?
…破廉恥なことは駄目っていう私の条件に引っ掛かりそうなんですが」
デイジー「…コスプレ?」
何故だか知りませんが。
キャピキャピした装飾の変身ステッキの玩具を持たされ、
露出度合いがあるようであまりないようで、やっぱり少しある感じの少女服を着せられ。
年不相応の、ゴスロリミニスカート魔法少女の出来上がり。
――――ものすっごく恥ずかしいんですが!辱めじゃないですか!
すると、ピーチ姫の口から――とんでもない言葉が、飛び出しました。
ピーチ「ささ、昔の自分を思い出して――
『亜空の魔女ロゼりん 此処に見参!』って感じでポーズ取ってみて!
最新鋭カメラでしっかり撮らせてもらうから!セリフとかがあると尚良し!
…あ、撮影した写真に関する著作権・肖像権その他、各種権利は私に属するものとすることを念頭においてね」
デイジー「エ、ナニソレ」
ロゼッタ「ごふぅっ!」グサッ
ロゼッタ(酷い罰ゲームですね……!何も知らないデイジー姫がキョトンとしています。
…………で、でもピーチ姫には既に知られていることですし!
そうですよ、開き直ってしまえば!ま、まだマシだと、思いますっ!痛くないですし!
ピーチ姫の気が変わらないうちに…!こうなったら恥を捨てるのよ、ロゼッタっ!)
ピーチ「さあ、早く!日が暮れるわよ?」
デイジー「え?え?ええ?」アタフタ
ロゼッタ「――わかり、ました」ゴゴゴ
ロゼッタ(スウゥ…)
ロゼッタ「おたすけ☆ウィッチ ロゼりん、此処に見参!観念しちゃえ☆悪党どもよ!」ビシィッ
デイジー「」ピシッ
ピーチ「」ピシッ ガシャーン
ロゼッタ「……ピ、ピーチ姫?」カアァ
ピーチ「……あ、な、ナンデモナイナンデモナイッ!うん、そんな感じ!
さあ、終わりたかったら私をさっさと満足させてみなさい!ポーズをとり続けるのよ!」カシャッ
ロゼッタ「受けてみなさい、星々の怒りを!とんでけ、シューティング☆スター!」ブンッ
ピーチ「いいわよ!」カシャッ
ロゼッタ「天に代わって、亜空の魔女が――お仕置きよ☆」ウインク
ピーチ「――っ、いいわ、すごくいい!ロゼッタもノリノリじゃないの!(震えながら)」カシャッ
ロゼッタ「敵は凶悪、味方は皆無……それでも私、諦めないんだからっ!」ガバッ
ピーチ「這いつくばりながらも敵に立ち向かおうとするその出で立ち…最高よロゼッタ!
最高にヒロインしてるじゃないの!」カシャッ
デイジー「なにこれ」プルプル
デイジー「ナニコレ」プルプル
デイジー「な ん だ こ れ !?」プルプルプルプル
~1時間後~
ピーチ「はい、ストップ。お疲れさまでした!
いや、本当に素晴らしい写真が撮れたわ!ありがとうロゼッタ!」スッキリ
ロゼッタ「顔から火が出ると思うくらい、恥ずかしかった、ですがっ…」カアアァァ
ロゼッタ「どうせ、ピーチ姫のことですから、真剣にやらなければ納得していただけないと思いまして……っ!」カアアァァ
デイジー「あっれー、いつまでたっても痛みが発生するなー。
この夢、いつになったら覚めるのかなぁ、アハハハハ」ゴンッ ゴンッ
ロゼッタ「デ、デイジー姫?泣きながら壁に頭をぶつけ続けて、何をやっているのですか!?」
デイジー「…はい?」ウツロメ
ピーチ「現実逃避をしているだけよ、気にしなくていいわ」
ロゼッタ「はあ。…では、着替えてきますね。いい加減、いつもの服に戻りたいので」
ロゼッタ(ああ…一時の大恥でしたが、これにて終了です。よしとするしかないでしょう…)
ピーチ「ええ、そうしてちょうだい。そのあと、すぐにほうき星の天文台に向かうから」
ロゼッタ「……え?どうしてですか?」
ピーチ「じゃないと、表紙に乗せる画や挿絵を撮影した意味がないじゃないの、おバカさんねー。
まあ、多少は画像修正を行うけれどね」
ロゼッタ「…………………………………………………………………………は?」マッサオ
~ほうき星~
チコ「あ!」
フヨフヨ フヨフヨッ!!
チコ「僕は一足先に帰ってきてたけど…ようやくママの乗ったクッパシップが到着だ!ママお帰り――」
ロゼッタ「い゛や゛でずぅ゛――――――っ!!ぞれ゛だげば、ぞれ゛だげばご容赦を゛――――っ!!」ポロポロ
ピーチ「なんでもするって言ったじゃない。二言はないんでしょー?」ズンズン
チコ「」
チコ「ママ、号泣しながらピーチ姫の脚に縋り付いたりしてどうしたの!?そのまま引き摺られてるけど!
……ピーチ姫、ママに何をやったの!?乱暴でもしたの!?」
ピーチ「別に、大したことはしてないわよ?ただ、これから…
ロゼッタ著の『星に願いし亜空の魔女』シリーズをちょーっと校正して読むに堪えるようにして、
ロゼッタの魔法少女決めポーズも客寄せのために中に散りばめて、
学術文献とライトノベルを併せ持つ形で、キノコ王国完全バックアップで出版しようとしてるだけだから」
ロゼッタ「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」ポロポロ
チコ「」
ピーチ「大丈夫よ、ロゼりんって名前は頻繁に登場しても、ロゼッタの名前は一切出さないから。
もちろん絵のモデルがロゼッタであることも隠しておくし」
ロゼッタ「わ゛がる゛びどに゛ばわ゛がりまずよお゛お゛お゛お゛!!」ポロポロ
ピーチ「あ、あと…原本についてはね、ロゼッタが誤って廃棄処分したりしないよう、
王国国会図書館で シ ッ カ リ 管理させてもらうから。ああ、素晴らしいわ!
これでキノコ王国の空間魔法技術は100年分は加速できるわね!」ホクホク
ロゼッタ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」ポロポロ
チコ「」
ピーチ「デイジー、ロゼッタをちょっとばかり拘束しておいてちょうだい!私一人で探し出すわ!!」ダダダッ
デイジー「了解。……ごめん、ロゼッタ」ガシッ
ロゼッタ「ばーな゛―じーでーぐーだーざーい゛――――っ!」ジタバタ
チコ(発奮状態のピーチ姫は、探し回ること1時間…
ママがため込んだ『お話』の原本を…本棚の隅っこから見事探り当て。
『全10巻どころか続編が53巻も出てるじゃないの……!なんてこじらせ方をしているの…
これも徴収ねっ!素晴らしいわ!写真が足りないくらいだわ!』
と呆れと喜びの絶叫を上げながら。ホクホク顔でほうき星を去っていったよ)
チコ「……ママ?」ユサユサ
ロゼッタ「」チーン
チコ「(精神的に)死んでる……!」
――ママは、涙の跡を残し、部屋の隅で体育座りをしたまま、二日後の朝までピクリとも動きませんでした。
――僕たちは……今回ばかりは心配しても意味がないかとママをそっとしておいて、ワイワイガヤガヤ、
星くずパンを食べて過ごしました。
――え?ほったらかしだなんて酷いって?……ヒドクナイヨ?アハハハハ。
~数日後、WORLD1-2 ノコノコ地下洞窟~
ファイアロゼッタ「はああああああああああああああぁぁっ!!」ボウッ! ブンッ!
ビュンッ!…ドゴンッ!
ファイアロゼッタ「命、爆発ゥ――ッ!!」ボウッ! ブンッ!
ビュンッ!…ドゴンッ!
ファイアロゼッタ「フルパワァ――――ッ!!」ボウッ! ブンッ!
ビュンッ!…ドゴオオォォンッ!
ノコノコ「…………姐さん、戻ってきたのはうれしいんだけど」
クリボー「……………………どうして涙でぐしゃぐしゃなんだろうな」
ファイアロゼッタ「修行三昧で全部――忘れてしまいます――――っ!
後生ですから、忘れさせて、ください――っ!」グズッ
~キノコ城~
ピーチ「――こ、これは読む側もなかなか、苦痛だわ……
私はここまで酷くなくて本当に、本当によかった…!今だけはディメーンに同情するわ…!
あと何回、顔を強張らせればいいのかしら…!?早く読み終えて校正に回したいのだけれど――っ!」ピクピク
ピーチ(この時の私は、知る由もなかった。
本筋を弄らないまま、ちゃんとした凄腕執筆者に手直しさせ、
ちゃんとした体裁で世に送り出したこれらの本が数年後……
表紙に惹かれた学生から数式に惹かれた研究者までが読み漁る年間ベストセラーになることを。
キノコ王国にちょっとした技術革命を起こすことになることを。
…そして、印税を一応持って行ったときにロゼッタが泡を吹いて倒れる、ということを)
月日は暫し、巡り……。
~8月、WORLD1-1 スーパーベルの丘~
ロゼッタ「反復横宙返りっ!」クルッ シュタッ クルッ シュタッ
ロゼッタ「連続ヒップドロップっ!」クルリン ドシンッ! クルリン ドシンッ!
ロゼッタ「走り幅跳びっ!」ピョーン
ロゼッタ「ふむ、まだまだ神経は尖らせなければなりませんが、一通りこなせるようになりましたね!」
時計「スタート地点からあんまり動いてないッスけど、残り300秒ッスよ」
ロゼッタ「…ああ、そろそろ向かいますか」
COURSE CLEAR!
タイム:451
ロゼッタ「ほっ、いい汗かきました!もう、250秒くらいあればゴールできますね!」ルンルン
~WORLD1-2 ノコノコ地下洞窟~
ファイアロゼッタ「ハッ!!」ボウッ! ブンッ!
ゴオオオッ! ズバーン!!
ファイアロゼッタ「フンッ!!」ボウッ! ブンッ!
ゴオオオッ! ズバーン!!
ファイアロゼッタ「ハァーッ!!」ボウッ! ブンッ!
ゴオオオッ! ズバァーン!!
テーレッテレー!
ロゼッタの 基礎体力レベルが Lv. 17に 上がった!▼
ファイアロゼッタ「……うん。左右とも、時速145 kmくらいは出ていますね。
…そろそろ、1-3に向かってもいいのではないのでしょうか」
今度は遅刻しないように…忘れないようにしましょう。
もっとも、私は観戦、応援をするだけで、参戦するつもりなどさらさらないんですけれどね。
一応残機制ではあるということですが…まだまだ実力不足ですし。
歴戦のファイター達に直に攻撃されるなど、あまりにも怖い。パスです、パス!
そんなわけで、あと1カ月のうちに。
せめてWorld1はクリアしておきたいなあ、と思うのですよ。
ぼーっとしていると、1年経ってしまいそうですからね…。
ピーチ姫の方は、本当に私のことを「時たま挑戦しに行くくらい」と考えているようですが。
うん、勘違いさせておきましょう。その方がいい気がします)フウ
ファイアロゼッタ「それではっ!いざ!現在状態に加えて、更にファイアをストックしておいて――
1-3へ、まいりましょう!」オーッ
~WORLD1-3 てっぺん目指せ!ノッポ山~
ファイアロゼッタ「えいっ」ピョン
ファイアロゼッタ「それっ!」ボウッ!
パックンフラワー「ギャア!」バタリ
ファイアロゼッタ「ここをこう登って…」タタタッ
パックンフラワー「!!」カプッ
ファイアロゼッタ「引いてかわして、踏みつけるっ!」ポコッ
パックンフラワー「キュー…」バタリ
ファイアロゼッタ「あの場所まで着きました!!」
ファイアロゼッタ「……………………あら?何か違和感が…」
MISS回数:0回
そしてその奥に、巨大パックン!」ブルッ
――あのときの恐怖が、引き裂かれた自分が、ありありと蘇る。
――鍛えたはずなのに、足が中々動かない。
――まだ、ダメなのですか。
ファイアロゼッタ(どうしましょう)
涙ぐみながらも、早まる鼓動を収めつつ…じっと、じいっと、遠くの巨大パックンを眺める。
流石に私には気付いていない巨大パックンは、余裕っぽそうに、
ガチガチと歯を噛み合わせていて踊っていて…。踊っていて…。
ファイアロゼッタ「……あれ?よくよく考えてみると。素朴な疑問が。
ここから巨大パックンまで、『たかだか』50メートル。
…ファイアボール届きますよね?ここから投げては駄目なのでしょうか。
よし、念のため右目のチカラを開放して――――ロック、オン」グググ
ロゼッタは あいてに ねらいを さだめた!▼
ロゼッタ「――――ハッ!!!」ボウッ! ブンッ!
ファイアボールが、綺麗な軌跡を描いていき…
巨大パックン「ギャッ!?」ボンッ!
パックンフラワー「!?」
ファイアロゼッタ「いやいや、そんな…………」
ファイアロゼッタ「いやいや、まさか…………」
ファイアロゼッタ「――――ハッ!――――ハッ!――――ハッ!!」
――ボンッ! ――ボンッ! ――ボンッ!
巨大パックン「ぎゃあああああ」バタリ
パックンフラワー「」
距離のせいで勢いが減衰したため一撃、というわけには行きませんでしたが…
無事、ゴールまでの道のりが開かれました。
ついでに手前で怯えるパックンフラワーにも1発。
近いおかげで一撃です、嬉しいですね。のんびりゴールへと向かいましょう。
ファイアロゼッタ「…………あれ、なんだか拍子抜けなんですけど…こんなに弱い敵、でしたっけ…」
――つまり、ファイアが効く敵、特に位置が固定された敵に関しては…
数十メートル手前の安全圏からファイアボールを投げまくればいいのですね、把握しました。
ファイアロゼッタ「……すっごく楽じゃないですか!ファイアボールを鍛えておいてよかったですね!」パアアア
~WORLD1-4 プレッシーのザブンリバー~
プレッシー「振り落とされないようにするんじゃぞー!」ジャバッ ジャバッ
ファイアロゼッタ「わわ……!このステージは、いわゆる――滑り降りるのみ、
コースアウトしたら即終了のスライダーステージ、というものですね!
し、慎重に進路制御の指示を出さなければっ!
――ここは、ひとつっ!」サッ
――ボンッ!! ――ボンッ!! ――ボンッ!!
ファイアロゼッタ「数十メートル先の水上に――ファイアボールの水しぶきで誘導線を描きます!」
プレッシー「危なっ!?首元に炎びゅんびゅん飛ばすのをやめるんじゃ!」ワワワ
~WORLD1-5 オン!オフ!スイッチサーカス~
ファイアロゼッタ「わあ、サーカスというだけあって、とっても華やかな電飾と仕掛けですね!
…この青いフリップパネルを踏んで、どんどん黄色に変えていけばいいのでしょうか?」フミッ フミッ
カメック「…おや?ロゼッタ姫ではありませんか。私、クッパ様の誕生会でお世話になったカメックの1人です。
ようやく、こちらまで到着したんですね。待ちくたびれました」
ファイアロゼッタ「あ、ははは…遅くなってしまい、誠に申し訳ありません」ペコリ
カメック「しかし、ここに来たからには、にっくき敵と思い…しっかりお相手させてもらいますよ。
お手並み拝見です――魔法攻撃っ!」ポワポワーン
ファイアロゼッタ(ステージに杖を持ち込めて、いいなあ。
挑戦者の私の場合、ステージに『一時預かり』されるらしく手元に置いておけないんですよね…。
まあ、咄嗟にズルしてしまいそうですし、ある意味良かったんですけど…)
ファイアロゼッタ「とりあえず魔法速度はないので、落ち着いて横に避けて……!」ヒョイ
カメック「…むむ!思いのほか素早いですね…!」
ファイアロゼッタ「とても嬉しい褒め言葉をありがとうございます。
さあ、次はこちらの番です。……ハァッ!」ブンッ
ゴオオオオッ!!
カメック「――!?なんとっ!」シュインッ
バシーーン!
――惜しいっ!私の一撃は、テレポートでギリギリかわされてしまいました。
――誰もいない空間へファイアボールは突撃し、そのまま壁に跳ね返って奈落に落ちていきました。
――しかし、カメックは大層驚いている様子。ちょっぴりテンションが上がります。
カメック「なるほど、なるほど。ここまでファイアボールを昇華しているとは、たいしたものです、ロゼッタ姫。
しかし、それでは。私のような俊敏な相手には当たりませんよ!
モーションに時間を掛けすぎているうえに、一度動作し始めたら
方向はほぼ調整できないようですからね!」
ぎくっ…。ええ。それは、かねてからの課題でした。
はるか手前から一方的に投げつけられるのなら、それに越したことはないのですが。
いざ対峙してお互いに射程圏内、みたいな状態では…
早々と方向を定める上に何秒も掛かってしまう投球動作は、致命的なビハインドとなります。
今のところは、動作が短くて済む…手投げのファイアボールを織り交ぜることでなんとかするしかありません。
ファイアロゼッタ(あとは…幸い今回については、相手の移動方法が『空間転移』であるということですねっ!)
ファイアロゼッタ「はあっ!」ブンッ
カメック「なんの!」シュイン
――見切りましたっ!
ファイアロゼッタ「先読みですっ!!」ブンッ
ヒュー……
カメック「――ぎゃっ!?」
ファイアロゼッタ「怯んだ隙に、追撃っ!」ブンッ
カメック「お、おみご、と……」ボンッ バタリッ
ファイアロゼッタ「……ふう。問題は、相手の出現タイミングに間に合わせるため……
手投げしか選択肢がなくなることですね。そのせいで一撃で倒せません…」
これは、後々問題になりそうです。対策を考えねば…いけませんね。
~WORLD1-城 対決!クッパのハイウェイ城~
クッパ(偽)「ガッハッハ!キックボムをどんどん投下してやるぞ!
ちなみにワガハイはキックボムを車に9回当てる……
猫引っ掻きで直接ワガハイを狙えば3回当てるだけで倒せるぞー!」
ファイアロゼッタ「親切にありがとうございます!
…よし、赤点滅していないキックボムを狙って……今です!」
グキィッ!!ボキッ!!
ロゼッタ「」ティウン ティウン ティウン
ロゼッタ「――っ……あ、ああ……………足首を……挫きました……っ!」ウズクマリ
ロゼッタ「……え、あれ!?普通、蹴れるだけの軽さになってくれているはずなのでは!?
とてもこれ、蹴り上げられそうにないんですけれど!」ヨロヨロ
クッパ(偽)「だから、せいぜい50 kgくらいしかないぞ」
ロゼッタ「基準が酷い!」ガーン
ロゼッタ(まずいです、キックボムを使えそうにありません!こうなったら!)サッ
ファイアロゼッタ「ストックフラワー、使用っ!ケガも回復っ!」ググーン
クッパ(偽)「ふむ?それで一体、どうすると…」
ファイアロゼッタ「噂で聞いたことがあります。
クッパを倒す基礎の基礎は…ファイアボール連打だとっ!!」スッ
クッパ(偽)「えっ」
ファイアロゼッタ「ファイアーッ!」ブンッ ブンッ ブンッ ブンッ ブンッ
クッパ(偽)「ぎゃ!?ぐへえっ!?ぐわああああ!?」
瓶詰妖精「」HELP!
ファイアロゼッタ「…………」
瓶詰妖精「」ア! イツゾヤノ オンナジャナイ! タスケナサイヨ!
ファイアロゼッタ(ニコーッ)
瓶詰妖精「」ナンカゲツ トジコメラレテルト オモッテルノ! タスケテッテバ!
ファイアロゼッタ「…………」
瓶詰妖精「」・・・タスケテ クレナイ?
ファイアロゼッタ「そのあと、1発殴ってもいいのなら助けてあげますよ?」ニコッ
瓶詰妖精「」ハア!? フザケテンノ!?
ファイアロゼッタ「えーっと、適当にマグマの海に放り込んでおきますか。
どの辺がいいでしょうか…できるだけ熱くて、
何かの拍子に沈んだ時のために深そうなところがいいですね」キョロキョロ
瓶詰妖精「」・・・・・・
ファイアロゼッタ「…………」
瓶詰妖精「」・・・タスケテ クダサイ
ファイアロゼッタ「わかりました」
パリーン!
妖精「ふう、やっと出られたー!そして……トンズラよっ!べーだ!」ピューッ
ファイアロゼッタ「ふふふふ、そういうこと…」スッ
ファイアロゼッタ「すると…」カマエ
ファイアロゼッタ「――もっと、痛いことになります、よっ!」ブンッ
妖精「へっ?」クルリ
ゴオオオオオオッ!!
妖精「ぎゃあああああああ!?」ヒダルマ
ファイアロゼッタ「…というわけで、大変遅くなり申し訳ありませんが
妖精をおひと方、救出いたしました。お返ししますね」
妖精(悪)「」プスプス
妖精(善)「…………あ、はい」ガクガクブルブル
ファイアロゼッタ(…ちょっとやりすぎてしまったでしょうか)
案外実力が付いているとか!…だと、いいですね。
ではこの勢いで…World2に向かいましょう!
……ただ、去年の11月のマリオの伝言に
『絶対に2-2は挑むな』
とあったのが気掛かりですが…そう言われると、却って気になる…」
~WORLD 2-2 触って!吹いて!引き出し山脈~
ファイアロゼッタ「…………」
プロペラリフト「…………」シーン
ファイアロゼッタ「…………え?あれ?あれれ?
どこかに起動スイッチでもあるのでしょうか?探してみましょう」
TIME UP!
TIME UP!
TIME UP!
TIME UP!
TIME UP!
2-2「ポイッ」
ロゼッタ「…………よぅし、このステージは無視しましょう!そうしましょう!
ええ、それが賢明です!……マリオたちは一体どうやってクリアしたのでしょうか」ブルブル
~マリオの家~
マリオ「肩車からの仲間投げや仲間踏みで、残機犠牲にしつつ強引に突破したぞ。
そのときの死亡は死亡回数にはノーカウントだ。
あ、ちなみにからくり屋敷系統は単純に扉を蹴破った」
ルイージ「…いきなりどうしたの、兄さん?」
マリオ「いや、なんか呟かなきゃいけない気がしたんでな」
~WORLD2-5 ダブルチェリー峠~
ファイアロゼッタ「…………」
ファイアロゼッタ「……………………」アトズサリ
ファイアロゼッタ「……………………」
ファイアロゼッタ「………………………………ひっ」アトズサリ
サワッ
ファイアロゼッタ(分身)「――!?ちょ、ちょっと何をするのですか!」
ファイアロゼッタ(本体)「え、わかっていますよね?あなたも私なのですから。
では、引き続き……」
ファイアロゼッタ(分身)「わかっては、いますけど…頭では、理解していますけど…ううう…」カアァ
ファイアロゼッタ(本体)「はい、顔」サワッ
ファイアロゼッタ(分身)「くすぐったいです…」
ファイアロゼッタ(本体)「次は胴体ですね」ペタペタ
ファイアロゼッタ(分身)「ひゃんっ!胸、触らないでください!」
ファイアロゼッタ(本体)「腕、脚――なるほど、順調に筋肉は付いていそうですね。
中々自分では確かめにくいので」フニフニ
ファイアロゼッタ(分身)「――――っ!」カアァ
ファイアロゼッタ(本体)「では腰も……」ナデリ
ファイアロゼッタ(分身)「嫌…やめ、て……」カアアァァァ
ファイアロゼッタ(本体)「ふむ、この肉付きは…」ギュッ
ファイアロゼッタ(分身)「ストップ!ストップ!ストォーップですっ!!」カアアァァァ
ファイアブロス「なんかすごくエロい」
ステージの…いや、冒険のCERO上げたいんすか?」ジトー
ファイアロゼッタ(分身)「ううう、辱められましたぁ…」グッタリ ボワン
ファイアロゼッタ「…あ、消えてしまいました。よもやダメージ扱いとは、
分かってはいましたが、よっぽど嫌だったんですね…尊い犠牲でした。
中々、自分の体を詳細に、丹念にチェックすることって難しいので。
でも、おかげで――だいぶ把握できました!」
ファイアブロス「…………変態?痴女?」ヒキッ
ファイアロゼッタ「違いますよっ!?改めて考えると説得力ないかもしれませんけど!
…誤解を解くためにも、一度お見せした方がよいでしょうね。
ディメーンが使っていた魔法の、応用版……!
デイジー姫にお借りした漫画からヒントを得た、この魔法を…!
形から入るために、印もしっかり、結んでですね…!」サッ
ファイアブロス「……印?」
ファイアロゼッタ「いまは杖がないので、碌に強い状態にはなりませんが…参りますっ!
Sランク空間魔法――
実 分 身《リアルアバター》っ!」
ボカンッ!!
ファイアロゼッタ(副)「分身体、登場なのですっ!」シャキーン!
ファイアロゼッタ「……やりました!1発で成功です!」
ファイアブロス「おお!これって影分し」
ファイアロゼッタ「「実分身です」」
ファイアブロス「え、どうみても――」
ファイアロゼッタ「「実 分 身です」」
ファイアブロス「」
ファイアロブロス「……じゃあ何が違うんですか?」
ファイアロゼッタ(副)「原作と違ってですね――」
ファイアブロス(原作とか言っちゃってるし)
ファイアロゼッタ「……ヒップドロップ!」クルリン ドシンッ!
ロゼッタ(副)「ふんぎゃぁ!痛いじゃないですか、いきなりっ!」ティウン ティウン ティウン
ファイアロゼッタ「まあまあ、これが一番説明が楽ですから」
ファイアブロス「はあ……………………」
ファイアブロス「…………!?」
ファイアブロス「あれ……!?ダメージを受けても、パワーダウンするだけ!?
煙になって消えたりしないんですか!?」
ファイアロゼッタ「その通りです!この分身は、FPこそ本体に比べ削られていますが…
本体とほぼ同等のHPを持ち、更に最大HP、最大FPは本体と全く遜色ありません!
また、繰り返しの実分身を制限する…すなわち、同時に3人以上が存在することはないという制限こそありますが、
基礎体力、魔法行使力などの行動制約も一切ありません!
つまり、回復を欠かさないなどの措置をしてその気になれば…
そのまま本体と同戦闘力の別個体として生き続けられるくらい頑丈です!
一定時間の接触で本体と融合することもでき、その場合はそれまでの経験値を本体に還元できます!」ドヤァ
…実は、若干誇張が入っています。
難解な数式の解法結果から導かれるため説明は割愛させていただきますが…
魔法の精度とは関係なしに、術式上…基礎体力レベルの終端点…成長限界があるため、
必ずしも同様に鍛えれば同戦闘力、とは限りません。
ただ、限界はLv.50くらいと考えられるため、私にとっては十分に余裕があると言えるでしょう。
ロゼッタ(副)「……あ、言ったそばから――消えちゃいますね、すいません」ポワン
ファイアブロス「…あれ?」
ファイアロゼッタ「……まあ、今の分身は杖がないせいで、生存最低限のHP、FPすら持たせられなかったので。
時間で消えても仕方がありません。
…しかし、杖さえ使える状況になれば!
格好の特訓相手として、召喚することができるということです!
中々便利だとは思いませんか?」
杖が使えて残機制でもある、というスマブラの舞台は、またとない機会です。
凄腕ファイターたちが戦う傍らで、応援がてらほんのすこしトレーニング会場をお借りして、
自分自身とひたすら戦えばいいのです!…………杖、使えますよね?
私としては、中々の作戦だと思っています。
ファイアブロスは、少し思案した後、呟きました。
ファイアブロス「ふぅん…本体と分身のスペックは一緒、初期燃料の差だけってことですか。
下手すると、分身体が本体を打ち負かして、なり替わりそうですね。
この手の作戦のありきたりなオチだと思うんですけど…
いやまあ、漫画やアニメの話なんですけどね?」
ファイアロゼッタ「!?」
ファイアブロス「せめて、区別はつくようにしておかないと…
本体に従うことが馬鹿らしくなってきた分身体が、
『自分が本体だ!あっちが偽物だ!』とか周囲に吹き込んで、
大変なことになりかねませんよ?そのあたり、大丈夫ですか?
いやまあ、漫画やアニメの話なんですけどね?」
ファイアロゼッタ「……………………だ、大丈夫ですよ!分身体は友達、怖くない!」ビクビク
ファイアブロス「大丈夫かなあ…」
とりあえず、他の人に紹介するとして…分身体ロゼッタ、では言いにくいでしょう。
フレンドロゼッタ?…なんだか、パッとしません。
仮案として、フランス語「友達」という意味を内包する…
「アミーボロゼッタ」と呼ぶことにしました。…かえって分かりにくかったでしょうか?
~WORLD3-4 ラブリーガーデン~
ファイアロゼッタ「はあああああああああっ!」ガガガガガガガガガガッ
チャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリン……。
・・・・・・1 UP!
チャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリンチャリン……。
・・・・・・1 UP!
ファイアロゼッタ「私はっ!いつの間にかWorld3まで来ておいてっ!
ゴール直前でっ!一体何をやっているのでしょうかっ!
そこに無限コインがあるからっ!仕方がないですよねっ!
なんだか――不思議なっ!魔力がっ!ありますっ!」ガガガガガガガッ
時計「残り10秒ッスよ!!!」
ファイアロゼッタ「何故かっ!すごく、愉しいのでっ!TIME UP覚悟で続けますっ!」
時計「!?」
TIME UP!
ファイアロゼッタ「うっ…でも、悔いなし…………わぁい、残機は増えた…」バタリ
~WORLD3-5 土管の入り江~
ファイアロゼッタ「…………」キョロキョロ
水面「…………」
ファイアロゼッタ「……………………」スゥー
ザバーンッ!
ファイアロゼッタ「……………………」ブクブク
ファイアロゼッタ「…………………………………………」ブクブクブク
ファイアロゼッタ「――――――――っ!―――――――――っ!!」モガキ
ファイアロゼッタ「――――――――――――――――――っ!!!!」テンジョウ ナグル
ファイアロゼッタ「――――」ガハッ
ファイアロゼッタ「」チーン
~マリオの家~
トゥルル トゥルル…。
マリオ「ん?こりゃあ珍しい、ロゼッタからじゃないか。……むしろ電話番号教えてから初めてかかってきたかな、はは。
……もしもし?マリオだが一体なんn」
ロゼッタ『マリオォ!お願いですっ!水の中で自在に泳ぎ回りつつ息を何分も持たせるには、
どうすればよいのですかーっ!?お願いしますっ、ご教授ください!
…あああ――水面恐怖症になりそうなのです!』ブルブル
マリオ「無酸素運動でも十分動けるだけの体力づくりと、気合と根性」ドーン
ロゼッタ『』
マリオ「あー、もう大丈夫か?悪いけど、ちょっとイベントが目白押しで、
今もキノコ城に向かおうとしてたところなんだ。それじゃ!」ピッ
~3-5ステージ前~
ロゼッタ「…………………」
ロゼッタ「うわあぁん!!」ダダッ
ロゼッタの 残機が 150 減った!▼
テーレッテレー!
ロゼッタの 基礎体力レベルが Lv. 18に 上がった!▼
ロゼッタの 残機が 95 減った!▼
テーレッテレー!
ロゼッタの 基礎体力レベルが Lv. 19に 上がった!▼
COURSE CLEAR!
ちびロゼッタ「ゴホッ! ゴホッ! …ふ、ふふ、水も滴る、いい、オンナ…
じゃなくて、いい幼女、なのかな…
ようやく、ゴール、ポストに、たどりつき、ました――
溺死って苦しいなあ…脳に、ダメージ、残ってないかなあ……
ファイアフラワー、ストックしなおそうっと…」ガシッ
~WORLD3-列車 突入!キラーエクスプレス~
猫キラー「最近、ファイアボール撃ちまくって調子に乗ってるってぇ?
奇遇だな、こっちも撃つのは得意だぜ、猫キラー砲台がなあ!」ゴオォォ
猫キラー「吹っ飛ばせー!かっ飛ばせー!」ゴオォォ
猫キラー「追尾するぜー!覚悟しやがれー!」ゴオォォ
ファイアロゼッタ(風切る高速列車という不安定な足場に、更にファイアの効かない猫キラーが多数――っ!?
そして、高速列車である以上、ある意味当然ですが
ここは『強制スクロール』…っ!
こ、これはっ!?非常にまずい!今までの私のスタイルが全く通用しません!
…仕方がありません、姑息な手段かもしれませんが…
砲台ボックスの中に入って、身を潜めながら…ちまちまと進みましょう!
よろしくお願いしますね、砲台ボックスさん!
…ちょっと、重い、です、けど!)アセリ
猫キラー「あり?アイツ、どこに行きやがった?」
ファイアロゼッタ(よし、こちらファイアロゼッタ!
このまま、しゃがみ歩きする感じで列車先頭へ向かいます…)ソロリ ソロリ
猫キラー「なあ、あの砲台ボックス…歩いてねぇ?」ヒソヒソ
猫キラー「あぁ……青いボックスに紅いドレスがはみ出てるな」ヒソヒソ
猫キラー「身長が大きすぎて隠れきれないんだな」ヒソヒソ
猫キラー「阿呆だなあ、あっはっは」ヒソヒソ
猫キラー「「「「狙い撃ちだぁ」」」」ゴオオオォォ
砲台ボックス「!」ポロッ
ファイアロゼッタ「きゃああああああ!完璧な隠密作戦がどうして!?」タタタッ