302: Mii 2018/10/23(火) 19:45:07 ID:1fjcNIyA

ふと、悪戯心が働いて、ベッドから身を起こします。
全体の照明は消したまま、童心に帰って…薄暗い部屋を探検することにしました。

探検とは大げさだなぁって?いえいえ、この部屋の広さをなめてはいけません。
さすがはピーチ姫の寝室。壁伝いに1周するだけで150…いえ、200メートルは優にありそうです。
そんな中を、目新しい物を訪ねて、のそのそと彷徨って回る。
私からすれば立派な探検と言ってよいでしょう。

今にも動き出しそうな、躍動感に満ち溢れた銅像。
…近づいたら目が赤く光って剣を振りかざそうとしたなんて馬鹿な話が、
ああああるわけありませんよね、あ、はは、ははは。

中から何か飛び出てきそうな絵。
…触れようとしたら表面が波打っていたのはきっと気のせいです。目の錯覚です。

デイジー姫がお菓子箱を取り出したガラス棚。
…いかにも貴重なトロフィーや盾が飾られているようでしたが、それよりも
「絶対にロゼッタを絶命させるスイッチ」とかが仕込まれていそうで、
まともに見ることができませんでした、はい。…トラウマって怖いですね。

 

303: Mii 2018/10/23(火) 19:48:28 ID:1fjcNIyA

眺めるたびに口を小さくポカンと開けつつ、へぇ、とかほぅ、とか月並みの感想とため息しか出てこない自分に苦笑いしていたところで、
到着したのは衣裳棚。これがまた、本当に大きいこと。引き出しが何十個あるのでしょうか、数える気にもなりません。

試しに、大変無礼ではありますが一つ開けてみました。

暗がりで、はっきりと見えたわけではないのですが、
如何なる社交場に出ても恥ずかしくないこと請け合いの立派なドレスばかりです。

こ、ここまでするのが普通なのでしょうか。ちょっと眩暈がします。
…き、きっと来賓対応回数が尋常でないピーチ姫だからこそなのでしょう。そういうことにしておきましょう。

情けなくも現実逃避をしつつ視線を泳がせて…ふと、目に入った小さな引き出しがありました。

 

304: Mii 2018/10/23(火) 19:52:32 ID:1fjcNIyA

気付いたのは本当に偶然。何せ、ほぼ反対側にあった隅っこの引き出しですから。
非常に些細なことなのですが、数センチだけ閉まり切っていなかったのです。

閉めておいてあげましょう…そんな、軽い気持ちで私は近づいていきました。

取っ手に指を掛けた…その時です。

ロゼッタ(……?この感触…術式が仕込まれている?)

興味が勝ってしまった私は、閉めるはずの引き出しを
ゆっくりと…ゆっくりと開けて、中にあった袋を取り出してみました。

…私の解析が正しければ…どうやら、『固定化』の魔法が掛けられているようです。
何故?という気持ちが渦巻きます。

 

305: Mii 2018/10/23(火) 19:58:07 ID:1fjcNIyA

固定化魔法の使い道は、主に2つ。

一つは、ケーキ作りの時にもピーチ姫が漏らした通り、
「本来柔らかい・脆い物体の強度、硬度を高めて破壊されないようにする」というもの。

もう一つは、「物体の状態を保存して、時間による腐敗、風化、劣化を防ぐ」というものです。

どちらの使い方にせよ、一般に衣服について固定化を掛けるのは無駄としか言いようがありません。

強度のためならば、普通の服を固定化するよりも、最初から魔法の力を編み込んだ戦闘服を用意した方がよほど頑丈で長持ちするものを作れます。
そして、魔法の力を編み込んだ服については固定化が発動しない、という歯がゆいことになる始末。
「どうしても本来は頑丈にできないもの」を無理やり強化するときのみ、固定化が意味をなすと言っていいでしょう。

状態保存のためというのもおかしな話です。衣服なのですから、速やかに服屋に修繕してもらうか、
修復不可能なほど損傷が激しければ捨ててしまえばよいのです。
「国宝級のアイテムが傷ついた、専門家が到着するまで是が非でも保全しなければならない」みたいな、
ごく限られた状況下でのみ価値が出てくる。その程度の魔法なのです。

どうしても、どうやっても結論が出なかったので…失礼に失礼を重ねて、袋を開封してみることにしました。
私にしては、かなり大胆な行動かもしれません。

 

306: Mii 2018/10/23(火) 20:03:26 ID:1fjcNIyA

と、その時です。

ーーヤメナサイ。
ロゼッタ(…え?)

ーーーーソレ、アケテハ ナラナイ!
ロゼッタ(…っ!!)ビクッ

身の毛もよだつ恐怖感と共に…
どこからともなく聞こえる声に、思わず手を放しました。
取り返しのつかないことをしでかしたのでは、とパニックに。

盗もうとする輩へのトラップが仕込まれていたのでしょうか。
もう瀕死になるのはこりごりと、ぶわっと汗を噴き出しながら遮二無二、後ずさります。

 

307: Mii 2018/10/23(火) 20:07:29 ID:1fjcNIyA

五秒。十秒。三十秒。
ロゼッタ(…………何も、起こらない)

ほっとして、へたりとその場に座り込みました。
…しかし、落ち着いて考えてみれば、どこか変な話です。
警告の段階で諦めれば回避できるトラップなど、ピーチ姫の部屋にまで侵入した不届き者への仕打ちにしては
…これまた随分と手緩くはないでしょうか。

ロゼッタ(…………)スッ

血迷った…かどうかはわかりませんが、もう一度近づき、落とした袋を再び抱えます。

ーーアケテハ ナラナイ!

ロゼッタ「…………感情のこもっていない人工知能の声…というわけではないですね」

何故でしょう、どこか警告者自身が震えている気がします。

ロゼッタ「かといって、ピーチ姫の声、でもない」

こんなに気弱そうなピーチ姫はちょっと想像できないですしね。

 

308: Mii 2018/10/23(火) 20:08:51 ID:1fjcNIyA

ああ、そうですか。

ロゼッタ「…これは、私の心の声ということですか」

第六感というものか、はたまた虫の知らせというものか。
時計の秒針が二回りほどする間、考えて…意を決して、開けてみることにしました。

 

309: Mii 2018/10/23(火) 20:13:32 ID:1fjcNIyA

ファサッ…。

ロゼッタ「……なんでしょうか、これ?」

「ソレ」を広げてみたものの、最初はいまいちピンと来ませんでした。
そんなに警告を発するようなものには思えないのですが…。

青と赤が半分ずつくらい…いえ、青い下地が今にも赤に浸食されようとしている、
という方が正しいでしょうか。視る者全てを遠ざけてしまうような…禍々しい、酷い有様のドレスです。

ロゼッタ「というより、まさかこれって…夥しい量の血ですか!?痛々しいですね、一体どういう状況でこんなことに…」

そこで、ようやく私は気づく。

…このドレス、どこかで、見たことがないでしょうか。それも頻繁に、日常的に。
ああ、そうでした。血の部分がなければ、私が日頃身に着けているドレスそのもーー

 

310: Mii 2018/10/23(火) 20:15:41 ID:1fjcNIyA

ドクン。

視界が、ぼやける。

ドクン。

なぜでしょう、息が苦しくなる。動悸が、激しくなる。

ドクン。

全く理解できないまま、津波のように押し寄せてくる感情。フラッシュバック。
激痛。
嘔吐感。
後悔。
絶望。

ナニモ カンガエラレナイ。

気付けばドレスは手をすり抜けてカーペットに落ち、体は抵抗もなく横倒しとなり――
ほどなくして、私の意識も失われていたのでした。

 

311: Mii 2018/10/23(火) 20:19:16 ID:1fjcNIyA

「――――っ!――――っ!!」

ロゼッタ(…誰かが、私を、呼んで、いる?)

その人が、とっても悲しんでいる気がして…静かに、瞼を開けました。

ピーチ「ロゼッタ、ロゼッタ!目を覚まして!お願い!」ボロボロ

ロゼッタ「……………………」パチッ

ロゼッタ「…………ピーチ…姫…?」

ピーチ「……ああ、ロゼッタ!よかった……!!」

ロゼッタ「…すいま、せん。私、昨日寝付けずに。部屋を探索していて、それであのドレスを見つけて、それで…」

ピーチ「もういいの、わかったから。話さなくても大丈夫。大丈夫、だから……っ!!」ダキッ

泣き腫らしたピーチ姫にソファにて待つように言われ、待つことしばし。

荒れていた私の精神も少しずつ安定してきたところで、ハーブティーの淹れたカップをお盆に、ピーチ姫が戻ってきました。
私が黙ってそれを一口飲むのをきっかけに、ぽつぽつと言葉を紡ぎ始めました。

 

312: Mii 2018/10/23(火) 20:21:13 ID:1fjcNIyA

『今』の私の記憶にはないけれど、マリオカート参戦にあたって、『未来』の私が、
筆舌に尽くしがたい、とてもつらい思いをしたこと。

状況全てを把握しているわけではないにせよ、『未来』の私が病室のごみ箱に…汚れきったドレスを捨てたらしいこと。

病院関係者からそれを受け取り、一時は捨ててしまおうとしたけれども、どうしても捨てられなかった、というピーチ姫の想い。

ピーチ姫は、時たま嗚咽を漏らしながら…赤裸々に語ってくれました。

ピーチ「…はは、ここまで血が染み付いて赤黒くなってると、キノコ王国の技術を以ってしても、元の状態に戻すのは無理なんだって。
強引に漂白しようとすれば、元の透き通る青い色まで台無しにしちゃう。

惰性で固定化まで掛けて、これ以上ボロボロにならないように…不衛生にならないようにはしてみたけど、
いつか解決策が見つかるわけでもないのに…我ながら女々しいわよね、全く…」

ロゼッタ「……………………」

 

313: Mii 2018/10/23(火) 20:27:45 ID:1fjcNIyA

ピーチ「おそらく、悲惨な状態のドレスを見ることで、断片的ながら記憶が繋がったのね。
それも、まるで知りようのないはずのロゼッタの心の奥底に眠っている恐怖が、悲しみが暴走して。
…ふう、もはや、百害あって一利なしの代物になっちゃったみたい。

ようやく今度こそ、捨てる決心がついたわ。このことは、綺麗さっぱり忘れなさい」

ピーチ姫は立ち上がって、座ったままの私の頭を優しく撫でる。
私はただ…撫でられるがまま。

そして一呼吸おき、ピーチ姫は改めて、ドレスを前にして両手をかざす。

きっと、今から魔法で焼き尽くそう、滅しようとでもしているのでしょう。
手が眩く輝きだしています。

ロゼッタ「…………」

ロゼッタ「……………………っ!」サッ

私はーー思わず、ドレスをテーブルから掴み上げ…胸元に抱え込んでいました。

 

314: Mii 2018/10/23(火) 20:30:47 ID:1fjcNIyA

ピーチ「…え、ロゼッタ、どうしたの?」

魔法の向ける先を失ったピーチ姫が、困惑してこちらを見やります。

ロゼッタ「…………正直言いますと、今でも…このドレスを見るだけで吐き気がします。
…ですが、初見時のような激しい嫌悪感、というものはありません。

それよりも…ピーチ姫との絆を…信頼関係を…感じて、とても嬉しいのです。
…私に、向き合う時間を、いただけませんか?」

特訓の疲労と合わせて、辛さは倍に。それでも、ほのかに感じるこの暖かさ、心地よさを捨て去るのは…惜しいと、感じてしまいました。

ピーチ「……で、でもまた発作が起きたら…!」

ロゼッタ「大丈夫です、そもそも吐き気や嫌悪感は食事の方で慣れっこになっていますから、不本意ながら!
…今ここで、このドレスが失われることの後悔の方が、大きい気がするのです。
どうか、私の我儘、お許しいただけませんか…?」

ピーチ「……ハア、わかったわよ。一度言ったら、ロゼッタって案外頑固だものね」フフ

ピーチ姫の顔に若干ながら笑みが戻って、私としてもうれしい限りです。

 

315: Mii 2018/10/23(火) 20:35:11 ID:1fjcNIyA

ロゼッタ「……ピーチ姫」

ピーチ「ん、なぁに?」

ロゼッタ「私、頑張りますから。今まで以上に、一刻も早く記憶を取り戻せるように」

ピーチ「…そう、わかったわ!私ものんびりしてられないわね!明日の朝ごはんも覚悟しておいてちょうだいよ!」

ロゼッタ「あ、はは、はい。お手柔らかにお願いいたしまーー」ビクッ

ピーチ「……ロゼッタ?」

ロゼッタ「…………」プルプル

ロゼッタ「すいませんとりあえず今は吐きそうですいや吐きます」ウプッ

ピーチ「えっあっちょっと待ちなさい私に向かって倒れ込んでこないでえええええ!!!」

ーーとりあえず、とっさにピーチ姫がドレスを投げ飛ばしてくれたおかげで、血濡れのドレスは汚れずにすみました。

え?その他?ノーコメントでお願いします。
何事かと今更駆け込んできたデイジー姫に、ピーチ姫が腹いせで回し蹴りを食らわせたのも、たぶん私のせいではありません。

 

316: Mii 2018/10/23(火) 20:39:20 ID:1fjcNIyA

ズラズラッ…

ピーチ「さあ食べなさいロゼッタ、限界に挑戦よ」ユラァ

デイジー「コノ恨ミ晴ラサデオクベキカァ…」ユラァ

ロゼッタ(うわぁい、お二方とも目がマジです、睨み殺されそうです。
保身のためにも、料理を全部平らげなければならない模様です)ガクブル

ーーまあ、でも。
頑張ろうという思いが沸々と湧き上がってきて、
私はフォークとナイフをせっせと動かし続けたのでした。

 

317: Mii 2018/10/28(日) 12:42:08 ID:RX8TEHWE

ピーチ「…焚きつけた私たちが言うのもなんだけど、かなり食べたわね。ひぃ、ふぅ、みぃ…15皿も。
すごいじゃない!これで私も、心置きなくケーキ作りに向かえるわ!じゃあ行ってくる!」ダッ

デイジー「やれやれ…ピーチ、タフだなあ。じゃあ、私たちも行こうか!
星の精さーん、とりあえずピーチフラッシュを25%くらいで…」

ロゼッタ「…いえ。今日は30%に挑戦してみようと思います。昨日からの体力増強など微々たるものですが、
余裕を捨てればこのくらいはカバーできるはずですから」

チョール「…え、いいの?ほいっと」パアアァァァァァ

ロゼッタ「ぐっ…………!さすがに、辛い、ですねえ…!!でも、気力次第でなんとかして…みせますっ!」ギチギチ

デイジー「お、おおーっ!なんかロゼッタ燃えてるねー!必死に歩いてていつの間にか疲労骨折とかやめてよねー、キャハハ」

ロゼッタ「いざとなったらスーパーキノコでごまかします!」キリッ

デイジー「うん、私ね、ロゼッタの持ち味のおしとやかさも好きだよ?あんまり打算的にならないでね…?」

 

318: Mii 2018/10/28(日) 12:44:33 ID:RX8TEHWE

ロゼッタ「サヤカ、ママが荷物持ってあげるわ。手がふさがってたら不便でしょう?」

サヤカ「…手が震えてるけど、だ、大丈夫なの?」

ロゼッタ「だ、大丈夫よ!…たぶん」

サヤカ「そ、そう……?」

サヤカ「ちょっとトイレ行ってくるー!待っててね!」

ロゼッタ「ええ、わかったわ。…さてと」スクッ スッ・・・ スッ・・・

デイジー「ええっとロゼッタさん。何をやっていらっしゃるのかな?」

ロゼッタ「はい。サヤカが戻ってくるまで、スクワットをして少しでも体を鍛えようと。
大したスピードではありませんが…時間を有効活用ですっ」ノロノロ・・・

デイジー「私含めてすっごく恥ずかしいからやめなさい」

 

319: Mii 2018/10/28(日) 12:46:13 ID:RX8TEHWE

射的屋「お、なんでい。また来てくれたのかい?」

ロゼッタ「投げ方もなんとなく学びましたし、今度はしっかり投げて景品を手に入れて見せますっ!
サヤカ、これはリベンジ戦なの。応援していてね!」

サヤカ「ママ、頑張れー!」

デイジー「(事前に魔法の杖を一度回収したと思ったら、スターピースの引き出しをやってたのか…)
いいカモだなー。おー、がんばれー(棒)」

射的屋「……なんだ、その。流石に良心が痛むから、景品どれでも1個持ってけよ。
散々スターピース恵んでもらったし」

デイジー「前回と合わせて、200個超えたんじゃないかなあ」

ロゼッタ「」ズーン

サヤカ「よしよし」ナデナデ

 

320: Mii 2018/10/28(日) 12:48:47 ID:RX8TEHWE

デイジー「ねえねえ、私もちょっとだけやってみていい?見てるだけってのもつまんないし」

ロゼッタ「…はい、では残り少ないですが差し上げます…まだ非常用の第3倉庫以降がありますし…」

デイジー(一体いくつスターピースの備蓄があるんだってばよ)

デイジー「んーと。握りやすい、このスターピースでいいや。狙い定めて…えーい!」

ヒュゥー……ガコンッ!!

デイジー「あ、普通に当たった」

ロゼッタ「」

射的屋「うおっ、そっちのお嬢さんはとんでもなく上手いじゃねぇか!
しかも、侵入禁止のラインから体を全く乗り出さない正々堂々っぷり、惚れ惚れするぜ!
ほれ、景品どうぞっと」

デイジー「ありがとー!じゃあロゼッタもご厚意に甘えて、景品選びなよ!」

ロゼッタ「……はい」グズッ

ロゼッタ(もっともっと…強くならなければ…!)

 

321: Mii 2018/10/28(日) 12:51:36 ID:RX8TEHWE

~夜~

デイジー「くー」スヤァ

ロゼッタ「――――――――97」

ロゼッタ「――――――――98」

ロゼッタ「――――――――99」

ロゼッタ「――――――――100」

ロゼッタ「――――――――101」

マール「…こんなに夜遅く、何をやっているの?照明も付けずに。
百鬼夜行の真似ごと?お百度参り?」

ロゼッタ「ハァ……ハァ……は、話しかけないで、くださいよ。どうせ寝られないので、
体を鍛えるために『しゃとるらん』なるものをやっているだけですから。
この部屋、おあつらえ向きな広さをしていますし」

チョール(思いっきり歩いている時点で本来ならリタイア扱いじゃがのー。
まあ、運動すること自体に意義があるから立派なことじゃ)

 

322: Mii 2018/10/28(日) 12:53:05 ID:RX8TEHWE

マール「まあ、必要なら『すっきり爽快』で補助できるけどね、何度も言うように精神摩耗には効果がないのよ。
ストレス貯め込み過ぎないようにね」

ロゼッタ「まだまだ、です。とりあえず100往復するまでは終われません」

マール「100往復なら今さっき終わったじゃない」

ロゼッタ「…あ、そうでした!…確かに疲労がたまっているようですね、終わりにしましょう」

マール「はい、引っ掛かった。片道ごとにカウントしてるから、まだ51往復目ー。
……本当に疲れてるじゃない」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「…………なら、のこり半分もこなすまでですっ!」テクテク

マール「…ピーチちゃんに怒られるかもだし、強制的に眠らせようかな」

チョール「やめてあげなさい」

 

323: Mii 2018/10/28(日) 12:55:11 ID:RX8TEHWE

―――30%、35%、40%。

自分の限界を見定めつつ、少しずつピーチフラッシュの効果を高めていく。

―――40%、45%、20%、20%。

時には限界を見誤り、内臓の方が深刻なダメージを受けていてドクターストップ。
お腹を押さえて身悶えながら、ベッドで1日寝たきり、なんてことも。

…それでも、めげない、投げ出さない。

今までとは比べ物にならない量の栄養素よ、筋力と健康の糧となれ。
昨日より、百歩…いえ、千歩多く足を踏み出せる自分を目指せ。

ロゼッタ「ピーチ姫がケーキを作り終えるまでに、
自分の力だけで体をカンペキに動かせるようになりますよ…!」

デイジー「それはペースを考えてもあまりにも無謀で不可能な話なんだけど」

ロゼッタ「ですよねー」ガックリ

 

324: Mii 2018/10/28(日) 12:56:59 ID:RX8TEHWE

~ギャラクシー~

マリオ「よっしゃあー!240枚目のスター、ゲットだぜ!」

ルイージ「あっといっちまい!あっといっちまい!」ルンルン

ヨッシー「明日はクッパの誕生日ですし、ケーキできてるでしょうからさっさと食べに行きましょうよ!
(さっそく、最後の一枚も油断せず取りに行きましょう!)」

クッパ「心の声と逆になってるぞー」

マリオ「しっかし、ちょいと先読みして『241枚集めきったぞ』ってメールをピーチに送ったんだが、
全然返事がないな…何かリアクションが欲しいんだが…」

ルイージ「ケーキ作りに精根尽き果ててグロッキー状態になってるとか」

マリオ「はっはっは、まさか。ピーチに限ってそれはない」

ヨッシー「ないない」

クッパ「ないわー」ガハハ

 

325: Mii 2018/10/28(日) 12:59:47 ID:RX8TEHWE

~クッパ城~
ピーチ「…………」フラフラ

デイジー「……」ジーッ

ピーチ「右を見ても、ケーキ。左を見ても、ケーキ。

前を見ても、ケーキ。後ろを振り返っても、ケーキ。

上を見上げても、ケーキ。下には片づけ損ねて踏ん付けた廃棄ケーキ…

口の中も、寝る所も、みんなケーキ…」ウワゴト

ロゼッタ「」

 

326: Mii 2018/10/28(日) 13:01:58 ID:RX8TEHWE

ピーチ「飴にも負けず、風邪にも負けず――
氷にも焼成炉の熱さにも負けぬ丈夫な体を持ち――
欲はなく怒る暇もなく、いつも無表情に働いている――

一日にケーキ40ホール分とクリームと余りのフルーツを食べ――
あらゆる工程を、自分の感情を挟まずに――
よく指導し状況把握し、そして忘れず――
ケーキとケーキの間の陰の小さな仮眠スペースにいて――

東に腐りかけのフルーツあれば、行って勿体ないと自分で食べるしかなく――
西に疲れたカメックあれば、行って回復魔法を掛けてやり――
南に死にそうなノコノコあれば、行ってもう働かなくてもいいと言い――
北に不注意による配分ミスがあれば、作り直しにすぐさま取り掛かりつつ、
お願いだからやめてと言いながら、味の悪い大量の不良品を頬張り――」ブツブツブツブツ

デイジー「……ピーチがここまでなるなんて。なんて魔境なの…!」

ロゼッタ「あわわわ…」

 

327: Mii 2018/10/28(日) 13:03:57 ID:RX8TEHWE

ピーチ「大体、カメックたちったら酷いのよっ!交代制で働いて、負担は遥かに小さいくせに、
ちょっと感心したり褒めたりしたら、すぐにミスをするんだからっ!
超特大ボウルを頭上から落とされたときとか、
きょだいキノコと毒キノコを間違えられたときなんかは殺意を覚えたわ!」

カメック「で、ですからー、何かの間違いじゃないですか?流石にそんな素人は我らカメック部隊に居ませんって」

ピーチ「実際に気絶したり毒に苦しんだりしたでしょうが!言い訳無用!」

カメック「ひいいいいいいいい!」

デイジー「どうどう、抑えて抑えて」

 

328: Mii 2018/10/28(日) 13:05:39 ID:RX8TEHWE

ピーチ「……ふ、ふふ、ふふふふ。オーッホッホッホッホ!でも安心しなさい、デイジーにロゼッタ。
紆余曲折あったけれど、まもなくケーキは完成するわ!クッパの驚く顔が今から楽しみで仕方がないわ!」

デイジー「……そのこと、なんだけどさ。やっぱり、作ったケーキ、クッパが心停止するくらい大きすぎるんじゃあ…」

ロゼッタ「そ、そうですよ!」アタフタ

ピーチ「今から楽しみで仕方がないわ…!」ゾクゾク

デイジー「だから、ちょっと頭を冷やしてだねー」

ピーチ「ああ、今から楽しみで仕方がないわぁ……っ!
仕上げに取り掛かるから、貴方たちは首を長くして待っておきなさい!」グヘヘ

デイジー「ソウデスネー、ワカリマシター」

ロゼッタ「タノシミデスネー」

 

331: Mii 2018/11/01(木) 23:02:59 ID:G5zCGrJU

ロゼッタ(ああ、そうだ。忘れずに、伝えておかないと)

――クッパの誕生日が来る、ということは。
マリオ達がパワースターを集め切る、ということ。

それは、星くず祭の終わりを…私の帰還を意味するのだから。

 

332: Mii 2018/11/01(木) 23:03:45 ID:G5zCGrJU

サヤカ「…ええーっ!今夜で星くず祭、終わっちゃうの!?」

ロゼッタ「……ええ、そうよ」

サヤカ「…………嫌、嫌だ!それって、ママとお別れしないといけないってことでしょ!絶対絶対、反対なんだから!」

前もって理解はしているはずのサヤカ。しかし…気持ちの整理がそう簡単に付けられるはずもありません。
私でもこんなに辛いのです、幼いサヤカにとってはなおのことでしょう。
それだけサヤカにママとしての役割をこなせていたのだ、と嬉しくもありますが――。

あちこち回って、キャッチピースをして、いろいろな話で盛り上がって。
本当に楽しいひと時でしたが、終わりの時が近付いてきたようです。

 

333: Mii 2018/11/01(木) 23:05:46 ID:G5zCGrJU

サヤカ父「こらサヤカ、ロゼッタさん…いや、ママを困らせるんじゃない!」

ロゼッタ「…心配しないで、サヤカ。お別れしても、ママの心の中に、サヤカはずっといるから。
サヤカの心の中にも、ちゃんとママがいて――これからずっと、見守っていてあげるから。……ね?」スッ

サヤカの頭を優しく撫でようとします…が、サヤカ自身の手によって、乱暴に跳ね除けられてしまいました。
パシン、という高い音が響きます。そのまま泣きながら走り去っていくサヤカを…私は、すぐに追いかけることはできませんでした。

ロゼッタ「申し訳、ございません…」

サヤカ父「一体全体、どうしてあなたが謝るんですか。感謝してもしきれないくらいのものを頂いたというのに…。
本当に、ありがとうございました」フカブカ

ロゼッタ「いえ、私は大したことは…」

サヤカ父「サヤカが別れをあんなに惜しんでいるというのが、大したことをしてのけた何よりの証拠ですよ。
…さてっと、よそは祭の終了時期を知らないみたいですが、私は店じまいの段取りに移らせてもらいますか。
仕込をやめてキリ良く在庫を売り払って、最大の利益を叩きだして見せますよ!」ニヤリ

サヤカの父親に元気をもらって、体の制約に逆らいゆっくりと…しかし確実な足取りで、ようやくサヤカを追いかけ始めるのでした。

 

334: Mii 2018/11/01(木) 23:08:16 ID:G5zCGrJU

デイジー「綿飴にそれほど仕込要素ってないんじゃあ…無理に安く売り払うくらいなら、
なんなら今日の最後に定価で私たちが残り全部買い取るよ?仲間たちに配って食べてもらうからさ!
だから気にせず日が暮れるまで仕込を続けて、売り上げの限界に挑戦したらいいのよ。はい、前金のコイン!」ドサッ

サヤカ父「おお、こんなに大金を軽々と…いや、そこまで贔屓にしてもらっては、流石にズルいというものですよ。
受け取れません。 叩き売り価格でなら喜んで売らせて頂きますが」

デイジー「むう、頑固な人ねー。じゃあ、泣きついてくるのを待ちましょうか、なんてね」

サヤカ父「それにしても…前々から思っていましたが、貴方たち一体何者なんですかねえ」

デイジー「ひっみつー!気になるなら、今度『大会』があるときに観光に来るといいよ!
じゃあ、私もロゼッタの護衛しに行きまーす!」

サヤカ父「……護衛?」ハテ

 

335: Mii 2018/11/01(木) 23:10:10 ID:G5zCGrJU

サヤカ(ママがいなくなるだなんて、そんなの、嫌だよう)

――公園の奥にある、一本の大きな木。たぶん、公園の中で一番大きい木だと、思う。

お日様ポカポカ状態で、幹にもたれ掛かって目をつぶると、あたたかくてすっごく安心できた。

――まるで、ママに抱きしめられているみたいで。

残念ながら、30分もしないうちに、はだ寒い、雨でも降りそうなくもり空になって――
いまのわたしの気持ちみたいで、また涙がこぼれてきた。

さらに30分くらい…経ったかな。
ママ…ううん、ロゼッタさんが、落ち着いたというか、疲れ切ったというか…ゆっくりと現れたの。

 

336: Mii 2018/11/01(木) 23:11:59 ID:G5zCGrJU

ロゼッタ「ハァ、ハァ……くっ、2週間近く経つというのに、
50%を克服するのに四苦八苦しているというのですか、我ながら情けないですね…っ!」

――ロゼッタさんと、バッチリ目が合っちゃった。
今さらながら、慌てて木の裏側に隠れたの。意味なんか、ないのに。

サヤカ「ロゼッタ…さん。どうして、ここがわかったの?」

ロゼッタ「…ねえサヤカ、そのまま…隠れたままでいいから聞いてちょうだい」

サヤカ「……」

ロゼッタさんが、優しく、静かに語り掛けてくる。

ロゼッタ「ママはね…本当は、もはや、この惑星の住民ではないの。だから、星くず祭が終わったら、
サヤカと一緒にサヤカの故郷に帰ることはおろか、キノコ王国に…この星に留まるすら許されないのよ」

サヤカ「……っ!?」

 

337: Mii 2018/11/01(木) 23:13:36 ID:G5zCGrJU

ロゼッタ「そして…ママには、サヤカみたいに私のことを待ってくれている者が、星がたくさん…たくさんいるの。
その子たちの行く末を見届けてあげることが、ママの使命であり責任であるのよ」

サヤカ「…………」

ロゼッタ「ちょっと難しかったかしら。でもこれだけは言っておくわ。
ママは、サヤカのママになれてとても幸せだったし、いつまでもサヤカにママと思われたいと願っている。

さっきは『ロゼッタさん』なんて呼び方をされて、すごく悲しかったわ。
今夜お別れするときは、今まで通り、『ママ』って呼んでくれることを期待しているわ」

サヤカ「……」

ロゼッタさん…ううん、ママが立ち去る音が聞こえる。
でも、どうしても勇気が出せなくて…わたしは、じっとしているだけだった。

 

338: Mii 2018/11/01(木) 23:16:03 ID:G5zCGrJU

ザッ…。

サヤカ父「よっ、サヤカ」

サヤカ「うひゃあ!?お父さん、いきなり頬っぺたを突っつかないでよ!それに、お商売は!?」

サヤカ父「お前が泣き去る姿が目に焼き付いて、居ても立っても居られなくなってな、一旦探しに来ちまった。
……結婚の妄想が恐れ多くなるくらいのママじゃないか、こんな別れ方でいいのか?サヤカは満足なのか?」

サヤカ「…だって」

サヤカ父「バッカモーン!そんなメソメソする子に、お父さんは育てた覚えがないぞ!情けない!
感謝の印にプレゼントを送ってママをビックリさせるくらいの気持ちでいないでどうする!」

サヤカ「え、えええーっ!?そういう流れなの!?」

サヤカ父「…あー、コホン。もちろん、お金がかかるプレゼントはナシだ。
そんな余裕はないし、あの人たち…相当なお金持ちっぽいからな、
大してありがたくも無いだろう。

いいか、サヤカ自身の気持ちをこめたプレゼントを探し当てること、
それが今日のサヤカの宿題だ!期限は今日の夕方までっ!よーい、スタートゥ!」ババーン

サヤカ「そ、そんなぁーーーっ!」ダッ

でも…パパ、背中を押してくれて、ありがとう。ちょっぴり勇気が出てきたの。

 

339: Mii 2018/11/01(木) 23:18:10 ID:G5zCGrJU

~キノコ城~

ピーチ「……ZZZ」グー

デイジー「戻ってくるなりパタリと寝ちゃったよ…まあ、ケーキ完成したならいいの、かな。
あーあー、PC付けっ放しにしてー!…ああ、マリオのメールを読み損ねてる!
…スター集め切った!?超重要事項なんですけど!起きろー!」ゲシゲシ

ロゼッタ「まあまあ、酷く疲れている様子ですし…」

デイジー「そんなこと分かってるけどさ、ピーチに指示してもらわないと私たちも動けないでしょ!」

ロゼッタ「今夜に星くず祭の終了を宣言してもらって、クッパの誕生日を祝って、明日の朝にはクッパシップでこの惑星を発つ。
それだけ分かっていればなんとかなりますよ」ペロッ

 

340: Mii 2018/11/01(木) 23:21:38 ID:G5zCGrJU

デイジー「しかもそれだけじゃないよ、他のメールもワンサカ、リアルタイムで来てる!
さすがピーチ、この量を普段は読み切ってるのか…!なになに…?

『ご当選おめでとうございます!厳選なる抽選のうえ、貴方は選ばれました!
クリックして進んで、すぐに会員登録を…』

…え、何?お姫様に詐欺メール送る、怖いもの知らずがいるの?

『体の節々が痛むそこの貴方!今ならこの健康青汁が、なんと毎月10コインで届きます!』

…十分ピーチは健康だよ!?一時的に不調に陥ってるけど!

『ニンテンドーからのお知らせ【次回作の打合せについて】』

…これは保護だね、絶対。消すなよ?絶対に消すなよ?

『(本文がありません)』

……悪戯かしら?差出人…『なっちゃん』って誰よ…あれ、じゃあ悪戯じゃないのかな?
ううむ、さっぱりわからん…

『ピーチ姫、こんにちは!私たち、フェアリーランドの妖精なの!
キノコ王国と友好を深めたくてメールを出させてもらったわ!ついては条約を結びたいんだけれど…』

軽っ!?内容に対して砕け過ぎじゃないかしら、この文面!?国家間のやりとりがこんなんでいいの!?」

 

341: Mii 2018/11/01(木) 23:23:53 ID:G5zCGrJU

ロゼッタ「……」ペロペロ

デイジー「ふう…ところで、何食べてる…というか舐めてるの?自分から間食するなんて珍しい」

ロゼッタ「ふふ、ピーチ姫が、余った材料でキャンディをいくつか作ってくれたんです。
今舐めているのはココナツキャンディというものらしいですよ。甘い物をたべてばっかりだと太りそうですが。
デイジー姫もおひとつどうですか?」

デイジー「へー、食欲が出てきたのは凄くいいことよ。じゃあ遠慮なく。
…あ、これはびりびりキャンディだね。ピリッとした刺激がたまらないんだよねー。
じゃあ、いただきまー…」チラッ

ロゼッタ(1本目を舐め終わって、2本目に移ろうとしている)

 

342: Mii 2018/11/01(木) 23:25:35 ID:G5zCGrJU

デイジー「……ロゼッタ。私、やっぱりそっちのキャンディの方がいいなあ。交換してくれないかしら?」

ロゼッタ「目移りするのはわかりますが、駄目ですよ、いくらデイジー姫の頼みと言えども。
この綺麗な赤い色を見た時から、食べようと決めていたのですから」フフン

デイジー「いや、ロゼッタが食べるとあんまりよろしくない気が…」

ロゼッタ「ピーチ姫が手ずから渡してくれたお菓子に、流石に致死トラップが仕掛けられているはずはないでしょう。
それでは、どんな味か確かめてみましょう」ペロッ

デイジー「致死じゃないけどさぁ…」

ロゼッタ「アツゥイ!!」 HP -1

デイジー「うん、ファイアキャンディだからねー」

 

343: Mii 2018/11/01(木) 23:29:37 ID:G5zCGrJU

サヤカ「…ママへのプレゼント、間に合うかなあ」

あれこれ迷ったあげく、四つ葉のクローバーの花冠に決めたはいいけれど。
公園のどこを探しても、三つ葉のクローバーしか見つからない。
まだ夕方まで時間はあるけれど、さすがにこのままじゃまずいかも…!

「お、おやおや?お嬢ちゃん、こんなところで何をしているのかなあ?」

不意に、声を掛けられちゃった。

サヤカ「…えーっと、誰だっけ?」

タコ焼き屋「酷いなあ、タコ焼き1パック、サービスしてあげた仲じゃないかー…グフフ」

サヤカ「あ、タコ焼き屋のおじさん!あの時は、ありがとうございました!
お店の方は放っておいていいの?」

タコ焼き屋「いいのいいの、道楽でやってることだし、儲けなんて気にしないよ。
そんなことより、俺のロリコ…いや迷子センサーが発動してね。何か困りごとかい?」キリッ

サヤカ「迷子じゃないよ?でも、四つ葉のクローバーを探してるのに、全然見つからないの…」

タコ焼き屋「それは困ったね…よし、俺も一緒に探してあげようじゃないか。
そ、そそそそのかわり、キミの写真、1枚取らせてもらって構わないかな!?
それさえあればおじさん、百人力だよっ!」

サヤカ「えっ?」

 

344: Mii 2018/11/01(木) 23:32:00 ID:G5zCGrJU

タコ焼き屋「よし、一眼レフの準備オッケー!さあ、さあさあ」

サヤカ「え、えええ……?」ヒキッ

ボカッ!!

タコ焼き屋「ぐふっ……」バターン

「やれやれ、危ない危ない。危うく変態の毒牙に掛かるところだったよ~?」

サヤカ「…この人、変態さん?」

「そうだね…おっと、四つ葉のクローバーを探しているんだっけ~。
どれどれ…お、これなんか、どうだろう?」サッ

サヤカ「…ああっ!四つ葉だ、こんな一瞬で見つかるなんて、凄い!お兄さん、何者?」

「フフッ、『幸運』の花言葉を持つ四つ葉のクローバーだもの、
クローバー側としてもそうやすやすと見つけさせるわけにはいかないと思っている。
見つけるにはコツがあるのさ。植物の気持ちになって、相手の警戒心を解くことが大事なんだ。

サヤカ「な、なんだかすごいね」ゴクリ

「まあ、初心者には難しいよね。でも大丈夫!植物に成り切れる、すごいアイテムがあるんだ。
ちょっと試してみるかい?」スッ

サヤカ「うん、お願いします!」

 

345: Mii 2018/11/01(木) 23:34:23 ID:G5zCGrJU

「どうだい、順調に四つ葉のクローバー、探せてる?」

サヤカ「ウン!」

「それはよかった。…ところで。クローバー、もといシロツメクサの花言葉って、
葉の数で変わる上に、同じ枚数でも真逆の意味を併せ持ってたりして、複雑で興味深いんだよね~。

例えば、平凡な三つ葉のクローバーにも、『約束』とか『私を思い出して』とかがある一方、
コワーイ花言葉があるんだけど、知ってる?」

サヤカ「ンー、ワカラナイ」

「そっか。答えはねえ……………………『復讐』だよ」

サヤカ「ヘー。ヨツバ、ヨツバ」

 

346: Mii 2018/11/01(木) 23:35:48 ID:G5zCGrJU

ロゼッタ「…………」ジーッ

サヤカ父「…こうして貴方に綿飴づくりを見せられるのも、今日で最後ですか。
私としてはあくまで商売道具であって、それ以上でもそれ以下でもないですが…
ここまで気に入って貰えると、ちょっとむず痒いですね」

ロゼッタ「……そう、ですね。すっかり気に入ってしまいました」

デイジー(ピーチに頼めば、綿飴機の一つや二つ簡単に調達してくれるだろうけど…
まあ、野暮ってもんだよね。…あはは、童心丸出しで覗き込み続けるロゼッタが自然と客引きになって、
ますます繁盛してるや。でも正直、私はちょっと退屈かなあ、ふあああ)

 

347: Mii 2018/11/01(木) 23:37:41 ID:G5zCGrJU

~夕方~

ロゼッタ「……サヤカ、遅いですね…」

デイジー「確かに、遅いなあ」

サヤカ父「大丈夫ですよ、サヤカならきっと今頃、ロゼッタさんへのプレゼントのため駆け回っていることでしょう。
おっと、ばらしたことは内緒にしておいてくださいね?」

ロゼッタ「え、プレゼントですか!それは楽しみですね!ふふふ…………」

ロゼッタ(……………………おかしい。喜ぶべきはずなのに、妙な不安が拭いきれずにいる。
…何か、嫌な予感が…する)

デイジー「あ、あれって…クッパシップ!マリオ達、キノコ王国に戻ってきたんだ!
よし、迎えに行きましょう!…って、あれ?ロゼッタ、どうしたの?そっちじゃないよ?」

ロゼッタ「すいません!私、やっぱりサヤカを探しに参ります!デイジー姫はそちらに向かわれても構いませんよ!では!」ダッ

デイジー「ええ!?そんなこと言われても…」ポリポリ

デイジー「しょうがないなあ、私も付いてくー!」ダダッ

 

348: Mii 2018/11/01(木) 23:39:28 ID:G5zCGrJU

サヤカ、サヤカ。

あちこち、あてもなく駆け回る。

サヤカ、どこにいるの!?

…現在、ピーチフラッシュの効果は50%。正直、中々キツイ負荷ですが。
ここまであちらこちらへ動き回ったのは、今日の中で初めてかもしれません。

今日の昼前、サヤカに語り掛けた場所から、更に奥。
ピリッとした違和感――『ナニカ』を察知して、公園の奥にやってきました。
私の後ろを、デイジー姫がピッタリ付いてきています。心強いですね。

 

349: Mii 2018/11/01(木) 23:41:02 ID:G5zCGrJU

右へ曲がり、左へ曲がり、左へ曲がり、前へ突っ切り、右へ曲がり。

前へ突っ切り、左へ曲がり、右へ曲がり、右へ曲がり、左へ曲がり。

デイジー「あっれー?この公園、こんなに広かったっけ?ハッ、もしや幻術!?」

ロゼッタ(…デイジー姫も、気付きましたか。しかし、これは五感を狂わされているわけではない、と思います。

何者かによって、実際に『空間が歪められている』という説明が妥当ですね)

――デイジー姫。速やかに、私に杖を戻してください。緊急事態です。

そう、言おうとした矢先でした。

目の前に広がる、一面のクローバー畑。
その中央に倒れ伏す、サヤカ。

 

350: Mii 2018/11/01(木) 23:43:51 ID:G5zCGrJU

デイジー「サ、サヤカちゃん!!」ダッ

ロゼッタ「!!!」

デイジー姫がサヤカに真っ先に気付き、駆け寄っていく。
すぐさま、私も可能な限り全力で…全力で駆けていく。

ぐったりしたサヤカを抱き寄せ、オロオロするデイジー姫を…

ロゼッタ「…はああっ!」ドンッ

なけなしの勢いを以てして、突き飛ばす。

デイジー「……え」

思わずサヤカを放してしまい体勢を崩していきながら、驚き目を見開くデイジー姫。
その視線の先には、『誰も映っていない事でしょう』。

デイジー「え、嘘、なんで?サヤカちゃんは?ロゼッタは?どこに行ったの!?」マッサオ

 

351: Mii 2018/11/01(木) 23:46:21 ID:G5zCGrJU

ピーチ「ZZZ…」

ピーチ「ZZZ…」

ピーチ「ムニャ…あ、ちょっと、マリオ、何やってるのよ…みんな見てるわよ…むしろ凝視してるわよ…」

ピーチ「ぐぅ…まだやるの?…え、そ、そんな回数まで?正気?この…変態!」

ピーチ「…ああ、ちょっと!もう無理!壊れる、壊れちゃうからぁ!やめてぇ!」

ピーチ「これ以上速度貯められたら鍵扉どころかキノコ城全壊するわあっ!!」ガバッ

ピーチ「……ゼェ、ゼェ…なんだかおっそろしい夢を見ていた気がするわ…」

 

352: Mii 2018/11/01(木) 23:49:07 ID:G5zCGrJU

ドンドンッ!

デイジー「大変よ、ピーチ!サヤカちゃんとロゼッタが攫われたのっ!ウワーン!」

ピーチ「……なんですって!?詳細を手短にっ!!」カクセイ

デイジー「ご、ごめんなさい。わ、私、なんにもできなかった。それどころか、ロゼッタに庇われちゃったっぽいの…」ポロポロ

ピーチ「詳細って言ったのに…え、庇われた?基礎体力で圧倒的に上回るあなたが?」

デイジー「グズッ…えっと、倒れたサヤカちゃんが目に入ったから、2人で駆けこんだんだけど…
一番乗りしたばっかりの私を、ロゼッタがドンッて押しのけて…
それで、気が付いたらサヤカちゃんもロゼッタも視界から消えてて…」

ピーチ「…その説明から推測するに、ロゼッタは最初からあなたを突き飛ばす目的で駆け込んだっぽいわね。
…罠のネタが分かってた?…………ロゼッタが得意な魔法って、確か」

デイジー「…………空間系の魔法」

ピーチ(…………っ!)

デイジー「ど、どうしたの急に?」

 

353: Mii 2018/11/01(木) 23:50:31 ID:G5zCGrJU

ピーチ「デイジー!私が眠りこけてた間、メールを盗み見たりした!?」

デイジー「あ、うん、ごめん」

ピーチ「今は許すわ。それで、意味深なメールが飛んでこなかったかしら?」

デイジー「…うーん、詐欺メールと通販と任天堂と妖精と…あ、『なっちゃん』って人から空メールが送られてたよ」

ピーチ「……っ!ビンゴじゃ、ないのっ!!デイジー、現場へ案内して、いますぐっ!」ダダダッ!

デイジー「りょ、了解っ!!」ダッ

 

354: Mii 2018/11/01(木) 23:53:33 ID:G5zCGrJU

マリオ「……あ、ピーチから電話だ」Prrrr

マリオ「おー、寝てたのか?こちとら無事にパワースターを241枚集めて、まもなくキノコ王国に着陸…」

マリオ「……………………」

マリオ「はああああああああああっ!?マジか!
おう、わかった、場所の案内をすぐ頼む!それじゃっ!」ピッ

クッパ「どうしたのだ、そんな大層な剣幕で」

ルイージ「い、一体何があったの?」

マリオ「かなり確証の高い推測、という段階だが。…………

ロゼッタが――
ディメーンの野郎に空間転移で攫われたらしい」

クッパ「なんだとぉ!?」

ルイージ「なんだって!!?」

ヨッシー「…??」

 

355: Mii 2018/11/01(木) 23:55:04 ID:G5zCGrJU

デイジー「ディメーン?って誰のことよ!」ダダダッ

ピーチ「割と新参の敵よ!現実に絶望し、予言書に従い世界を作り替えようとしたノワール伯爵っていう奴の手下…
というのが表の顔だったんだけど、実は伯爵をも利用して、ピュアハートの力で世界を征服しようとしていた極悪非道な奴!
倒し切ったはずなのだけど…!」ダダダッ

デイジー「強いの?」ダダダッ

ピーチ「戦闘力的には私たちの足元にも及ばないけど、次元を超えた転移魔法で好き勝手移動できる厄介者ね。
人の心を操る魔法も持ち合わせているみたいだし、ゲリラ戦法に出られたらどうしようもないわ。
油断した隙を衝いて一撃で葬らないと、人質取られ放題よっ!」ダダダッ

デイジー「厄介極まりないねっ…!そいつがそこまで賢くないことを祈るよ!」ダダダッ

 

356: Mii 2018/11/01(木) 23:57:21 ID:G5zCGrJU

ユサ、ユサ。
誰かが、倒れている私の体を乱暴に揺さぶる。

ロゼッタ「…………うぅ」ムクッ

「ようやく目が覚めましたか。呑気なんですから、全く」

視界には天井…では、ありません。
緑のような、青のような、赤のような…定まらない色、距離感の隔壁。
その光景は、横にも、前にも、地べたにさえも広がっています。
平衡感覚がおかしくなりそうです。

どうして、自分はこんなところで倒れているのか。
…いえ、その前に。そうだ、あの子を、救い出さないと!

ロゼッタ「サヤカっ!どこ、どこにいるの!?」

「…その『サヤカ』というのが、ここに迷い込んだ小さな女の子で合っているのなら…
ほら、そこに寝かせてあります。幸い、気絶しているだけのようですね」

女性の言葉にハッと振り返ると…そこには、無機質な地面を枕にして、すぅすぅと寝息を立てるサヤカの姿。
…間違いない、今度は『先ほどのように』幻覚ではありません。
感極まって、涙ぐみながら抱きしめます。

 

357: Mii 2018/11/01(木) 23:59:34 ID:G5zCGrJU

「…感動の対面であるのは重々承知の上ですが、我々には、とにかく時間がありません。
あなたにも、強制的に協力して頂きますよ」

……ああ、いけない。こちらの女性のことを、すっかり忘れてしまっていました。
今さらですが、敵ではないと願いたいですね。

ロゼッタ「あなたは…ええと、どちら様、ですか?」

実は、記憶を失う前の私の知り合い…という線もなくはなかったのですが、杞憂だった模様です。
問うと、彼女は左手で眼鏡をくいっと持ち上げ、しっかりと掛け直し…

ナスタシア「わたくし、ナスタシアと申します。
…まあ色々あって、ピーチ姫のサポートの元、ディメーンに関する諜報活動を行っておりました。
結局、後手に回ってしまっている有様ですが、この通り…」

そう自嘲するナスタシアの右腕は…肘から先が、ありませんでした。

 

358: Mii 2018/11/02(金) 00:01:47 ID:MuNJghdo

ロゼッタ「…た、大変ですっ!はやく治療を…いえ、杖がなければ無理な話でしたか…」ガックリ

ナスタシア「ご心配なく。最低限の治療と痛み止めは済ませました。…少しは魔法の知見があるようですね」

ロゼッタ「…む、ちょっといいですか?この傷跡…
通常の衝撃、斬撃では有り得ないほどスパッと斬られています。
まるで、空間ごと『無くなった』ようですね」

ナスタシア「…っ!失礼しました、かなりの魔法の使い手と見受けられます。一瞬でそこまで読み取るとは…!
その通りです。辛うじてメールのボタンを押すことはできましたが、
次の瞬間には肘の先がPCごと消し飛ばされていました。
あと1秒、腕を引っ込めるのが遅ければ…体ごと消し飛んでいたかも知れません」

ロゼッタ「…いえ、たまたま私の得意分野であっただけですよ」

――して、対峙しなければならない敵とは。

 

359: Mii 2018/11/02(金) 00:05:10 ID:MuNJghdo

ナスタシア「…この異空間の製作者、『ディメーン』。かつてマリオ達に負け、滅ぼされた存在。
…厳密には私も滅ぼされるべき存在だったのですが、恩赦を頂きました。

用心深いピーチ姫は、キノコ王国の災いとなり得る強大な、あるいは特異体質の敵と戦った場合、
仮に倒したとしても、一定期間は生存・潜伏を疑い続けて、調査を惜しまないようですね。
私も、ノワール伯爵亡き今、ピーチ姫の元で情報収集にあたっておりました。

さすがにもう大丈夫でしょう…と高を括っていたところに、このありさま。
…しかし、自分の不甲斐なさを悔やむのは後で結構。
…ここで、伯爵様が『守って見せた』世界を傷付け、滅ぼしてしまっては…
悔やむことすら、一生許されなくなってしまう」

そう、強い口調で言い切る彼女には、疲労と焦りが垣間見えました。

ロゼッタ「そもそも、マリオ達によって滅ぼされたといいながら復活しているのはなぜなのですか?」

ナスタシア「…わかりません。もともと幻影や分身体を使って神出鬼没な行動を取る男でしたから。
咄嗟に入れ替わって、本体は生き延びていたのかもしれません。
一応、転移魔法を行使できるのは本体だけ…というのは分かっているのですが」

それはそうでしょう。分身体まで転移魔法を好きに使えるならば、
本体が寝ている間に世界征服など楽にできそうです。

 

360: Mii 2018/11/02(金) 00:14:25 ID:MuNJghdo

ナスタシア「…今は、何故復活できたのかは後回しです。それよりも都合が悪いのが、
以前よりもかの道化師の転移能力が上がっているらしいことです。
本当に、一刻も早くなんとかしなければ…!」

「それは、無理な相談だね~」

空間把握に長けている私は、すぐに気付きましたが…やや遅れたナスタシアは、大層驚いたのか、
後ずさって尻もちをついてしまいました。

おどけた表情の仮面と、ひょうきんな服装。なるほど、この道化師が…。

ディメーン「ボンジュール、マドモアゼル ロゼッタ。 ボクは不死身の道化師、ディメーンさ。以後、お見知りおきを。
戻って来てみたら、ボクについて噂しているものだから驚いたよ~」

ロゼッタ「私の名前を何故知っているのかはさておき…私たちを、ここに捕らえる目的は一体なんですか?
…まあ、十中八九、交渉材料なのでしょうけど」

ディメーン「分かってるなら、話が早くて助かるよ。この数年で、ボクもケッコー、チカラを付けたけど…
確実に勝つためには必要だからね~。

絆の力とか、一致団結とか、ボクは大っ嫌いなんだけど…芋ズル式に崩壊していく綻びになってくれるなら、
ちょっとは好きになってあげてもいいかな」

ロゼッタ「…………戯言を」

 

361: Mii 2018/11/02(金) 00:17:49 ID:MuNJghdo

ディメーン「それにしても、ロゼッタ。キミには驚いたよ!
色々観察してて、デイジーって子より圧倒的に劣る能力しかないことがわかった。
そのくせ、デイジーって子をまず転移させようとしたら、
罠に『ギリギリで』気付いて捨て身で助けちゃうんだから。
興味を惹かれたのと、その勇気に免じて、デイジーがキノコ城に駆けていくのは見逃しておいてやったよ」

ロゼッタ「…それはありがとうございました」

ディメーン「…おっと。ピーチ姫ご一行がご到着だ。ちょっと表の世界に行ってくるね~。
キミたちは、そこで遠慮なく寛いでいるといいよ。お茶は出せないけどね、んっふっふ」シュンッ

――――ピーチ姫。どうか、無事でいてください。

 

362: Mii 2018/11/02(金) 20:54:06 ID:MuNJghdo

シュパッ。

ディメーン「やあ、お久しぶり…」

ピーチ「ヒステリック・ボムゥーーっ!!」カッ!

ドドドドドドドカアァァーン!!

ピーチ「これにて一丁上がり!……と、行ってくれればよかったんだけれどね」

ディメーン1「そうは問屋が卸さない、ってね!残念でしたー!」ケラケラ

ディメーン2「でしたー!」

ディメーン3「でしたー!」

ルイージ「わわ、分裂したよ兄さん!気持ち悪い!」

ディメーン1「失礼だね、芸術的と言ってくれないか?」

 

363: Mii 2018/11/02(金) 22:42:01 ID:MuNJghdo

マリオ「…どうしたよディメーン、今回はルイージに執着してないのか?」

ディメーン1「あーんな予言書、もはや何の未練もないね。そしてそこのトゲトゲくん、キミには御礼を言うよ。
確かに、預言書を盲信するより、我が身を信じて信じ切る方が遥かにエレガントだと分かったのさ。

そう…我が身を極限の境地に、真の頂に持って行ける最高の『参考書』を…ボクは手にしたんだよね~!
まさに天啓!いや、むしろ天命!世界は、ボクを見捨ててはいなかった!」

クッパ「最高の…参考書、だと!?」

ディメーン2「この世の理、全てが記された古文書さ。ボクが言えるのは、ここまで。後は勝手に想像したらどうだい?

ああ、そうだ。キミたちもやきもきしてるだろうから、本題に入ろうか。
薄々気付いている通り、ナスタシアとロゼッタ…あ、あと一人女の子がいたっけ。
まあ、餌の役割は果たしたから、もうどうでもいいか。

彼女たちは、ボクによって異空間に捕らえられている。
生かすも殺すも、キミたちの態度と…ボクの気分次第だね~」

 

366: Mii 2018/11/03(土) 17:36:06 ID:H.lk9j0s

デイジー「…な、何が望みなのよ!!」

ディメーン3「そうだなあ…たとえばここで、『主要メンツ、全員自ら命を絶て』と命令したところで、
流石に人質に対して重すぎる命令だから、命令が意味をなさないでしょ?」

ピーチ「まあ、当然ね。そこをはき違える私たちではないわ」

ディメーン3「というわけで、ボクからはただ1つ。『何もするな』」

デイジー「…え?それって、どういう…」

マリオ「…………要するに、どんな破壊活動も、攻撃も、ひたすら黙って…されるがままにしろってことか。
こちらがブチ切れて抵抗した時点で、彼女たちの命は尽きる。…我慢さえしておけば、とりあえず生き永らえると。
時間稼ぎの抜け道をあえて与え、思考を鈍らせ、己の鬱憤晴らしを兼ねて戦意を吸い取ろうとする…ありがちな作戦だな

(頃合いを見計らって、どうせ何か仕掛けてくるだろうがな)」

ディメーン1「なんか耳障りな言い方だけど…ピンポンピンポン、だーいせーいかーい!
さっすがヒゲヒゲくん。抵抗1回につき、もれなく御一人様、三途の川へご招たーい!

ほらほら、ボクの方が先にバテて、御免なさいもうしませんって土下座して謝るかもしれないよ?
可能性があるっていいことだよね~!」

マリオ(趣味も手癖も悪いぜ、まったく)

 

367: Mii 2018/11/03(土) 17:39:59 ID:H.lk9j0s

デイジー「」ブチィ

ピーチ(癪に障ることこの上ないけど、先手を取られた以上…仕方ない。
なんとか解決策を考えないと…)ギリッ

クッパ「…フン。面白いじゃないか、ワガハイは別に構わんぞ?受けて立つのだ!
せいぜい楽しませてもらおう!」

ルイージ「そりゃないよ、見損なったよクッパ!
そりゃ、クッパにしてみればキノコ王国のことなんてどうでもいいかもしれないけどさあ…!」

クッパ(…黙って耐え切ってやるわ!って意味で啖呵切ったんだけどなー)ションボリ

マリオ(俺は分かってるぞ)ポンポン

ピーチ(私も私も)フフ

ピーチ「…分かったわよ、じゃあそれd」

ダダダダッ…

デイジー「お嬢様打法――――ハリセンビンタァ!!!!」バチコーーン!!

 

368: Mii 2018/11/03(土) 17:49:28 ID:H.lk9j0s

ディメーン1「…………」キンッ

デイジー「チッ。普通に、変な壁で防がれちゃったか。でも、こいつが本物みたいね!」

ディメーン1「…ハァ。マドモアゼル デイジー…なにやってくれちゃってるのかなあ?」

ピーチ「ちょっと、馬鹿っ!何勝手に攻撃してるのよっ!?」

デイジー「まだピーチ、OKの返事出し切る前じゃない。取り決めの違反行動には当たらないもんねーだ!」

ピーチ「大馬鹿者っ!」バシンッ

デイジー「…痛っ――ちょっと、なにするのよ!」

ピーチ「そういう言葉の綾で済む問題じゃない!!」

デイジー「…へ?」

ピーチ「あんな危険行動をする奴に、迂闊に言質を取らせたら…
どんなことをされるか、想像くらい付くでしょう!?」

 

369: Mii 2018/11/03(土) 17:53:01 ID:H.lk9j0s

ディメーン1「……フライングかあ、いけないなあ。はーい、全員オリジナルに戻ってね~」

ディメーン2「おー」シュバッ・・・

ディメーン3「りょーかい」シュバッ・・・

ディメーン「……さってと。まあ、1回は…1回だね。ちょっと――用ができたよ。
いやいや、面白くなってきたね~。帰ってきたとき、どんな顔してくれるかな~」シュン!

デイジー「…あ」サァッ

 

370: Mii 2018/11/03(土) 17:56:57 ID:H.lk9j0s

ディメーン「…ふふふ、想定外の出来事だけど、ますます面白くなってきたね…!
ワクワク、ゾクゾクが溢れてくるよ~!」シュン!

ロゼッタ「今ですっ!」

シュッ!!

ディメーン「……っ!」クルッ

ロゼッタ(何があちらであったのか知りませんが、今はおいておき。
空間が歪むのを感知して、思い切り投げた…残り少ないスターピース。
事前に引き出しておいたのは不幸中の幸いでした。

…しかし。

あまりに弱い。弱すぎる勢い。コツンという音がして、終わり。
10メートルほど先のディメーンに当たりこそしましたが、まるでダメージがありません。
所詮、私の腕力と投球技術ではこの程度です。

 

371: Mii 2018/11/03(土) 17:59:57 ID:H.lk9j0s

ディメーン「うーん、本当にキミ、空間移動に対して勘が冴えてるね~。
なんなら、弟子にしてあげようか?なーんちゃって」

そんなことを言われたところで、慰めにもなりません。
――おまけに。

ディメーン「でもね、どんなにお粗末な攻撃だろうと、ボクを狙ったのはいただけないな。
そんないけない事をする愚か者には、相応の罰が、報いが必要だよね~」

――あまりにも不吉な言葉を吐き出させる原因としてしまったようでした。

 

372: Mii 2018/11/03(土) 18:02:36 ID:H.lk9j0s

ディメーン「ちょーっと、その子、起こさせてもらうよ?」

――掲げられた両腕が光り、サヤカに投げかけられる。
単なる覚醒魔法のよう――魔法が行使されて、しばし。
サヤカが、ゆっくりと両目を開けていきます。

サヤカ「……あれ?ここ、どこ?…………ママっ!?どうして、何がどうなってるの?
…あ、クローバーを見つけてくれたお兄さん!」

ディメーン「ははは、子供は単純でいいよねえ。ちょっと親切にするだけで、あっさり人を信じるんだから。
でも、おかげで色々と計画が捗ったよ、ありがとう」

サヤカ「…お兄、さん?」

――どんな誑かし方をしたのか知りませんが、その時とはおそらく…打って変わって冷えた口調に、
サヤカは困惑しているのでしょう。…あんな輩をサヤカに見せてはいられません。
手を引っ張り、私の体の陰に隠れさせます。

 

373: Mii 2018/11/03(土) 18:05:54 ID:H.lk9j0s

ロゼッタ「…あの人に、何をされたか覚えてる?」

サヤカ「……えっと、四つ葉のクローバーを集めやすくなるアイテムだよって言われて、
変な葉っぱを頭に付けることにしたの。

本当にどんどん見つけられたんだけど、なんだか意識がぼんやりしてきて、
体が勝手に動き続けて…あんまり、何をして何をされたか、覚えてない……」

ロゼッタ「……そう。怖い思いをさせちゃって、ごめんね」

抱きしめて安心させてあげたいのはやまやまですが、警戒を怠らず、道化師を睨み続けます。
効果があるかどうかはすこぶる怪しいものですが。

サヤカ「それと…結局、プレゼント間に合わなくて…ごめんなさい」ションボリ

ロゼッタ「……いいのよ、十分」

敵を見据えながらも、少し震えているサヤカを後ろ手で…撫でてあげます。

 

374: Mii 2018/11/03(土) 18:11:41 ID:H.lk9j0s

ディメーン「いやあ、実はさっき、ピーチ姫と我慢対決をすることになってね?」

――ディメーンは、絶対的な立場から、面白そうに顛末を語って聴かせます。
その内容に、私も、ナスタシアも、凍り付いてしまいました。
どうしてそこまで、堕ちることができるのか。
サヤカは現実離れしすぎているのか、ポカンとするのみ。

…理不尽な理由をでっち上げられ――誰か、1人が、殺される……!?

――更には。

ディメーン「まあ、ルールを知る由もなかったキミたちは可哀想だよね。そ・こ・で!
生きるチャンスを、与えようじゃないか。イッツ、チャンスターイム!
話し合いでも、多数決でも、殴り合いでもいいからさぁ。

キミたちで、犠牲者一人決めて、該当者を始末してくれない?
ボクも決定に従い、黙って観てるからさ!」

到底、受け入れがたい選択を、迫ってきたのです。

 

375: Mii 2018/11/03(土) 18:17:22 ID:H.lk9j0s

固まって動けない3人の足元に、フッと…1本のナイフが転移されてきました。

ディメーン「ルールせつめーい!今から10分以内に、誰か一人の息の根を止めること!
使いたかったらそのナイフ、使ってもいいよ~!
んっふっふ、ボクに効かない魔法を施した特製ナイフだけどね!

10分以内に決着が付かない、付けようとしない場合は、
仕方ないけど全員お陀仏になってもらうから、そこんとこよろしくね~!
どのみち、全滅してることすら、表の世界にはばれないからね~!
まだ、逃げ道を用意してあげているんだから感謝してよ~?

それじゃあ…計測、開始しまーす!サイコーのショーを見せてくれ!」

ディメーンが、猟奇的に、満面の笑みでこちらを眺めています。
私は、何も考えられず、指一本動かせません。

――ナスタシアが、ため息を一つ付いて、確かな足取りで…
隻腕でナイフをしっかりと握り締めました。

狙うは…私――――の後ろでビクッと震えた、サヤカ。

 

376: Mii 2018/11/03(土) 18:21:54 ID:H.lk9j0s

サヤカは、状況を飲み込むことができず、ただただ呆然としています。

ロゼッタ「何のつもりです、ナスタシア!協力し合うと言ったばかりではないですか!」

ナスタシア「だからこそ、ですよ。自分の命が惜しいとか、そんな世俗的判断ではありません。
単純に、どう考えても、私と貴方の2人が生き残った方が、戦力となるだけの話です。
サヤカには…運がなかったと諦めてもらうよりほかにありません。

そもそも、私か貴方かどちらか1人でも退場した時点で、サヤカも確実に死にますよ?
何を躊躇うというのです?一時の情で戦局を見誤ってはなりません」

サヤカはようやく危機を理解して――理解してしまって、
口をパクパクさせながらどんどん蒼白になっていきます。

ロゼッタ「でもっ!」

ナスタシア「お黙りなさい!この男は、やるといったらそれ以上でもそれ以下でもないことを
平然としでかす男です!私が一番知っています!」

確かに、正論そのもの、かもしれません。
私には、反論に使える具体的な材料などありません。
でも……。

 

377: Mii 2018/11/03(土) 18:28:06 ID:H.lk9j0s

ロゼッタ「……………………一つ、聞かせてください。
確かにサヤカは非力ですが、それを言うなら私も戦う術を全く持たない。
…貴方だってそうでしょう、一体何の能力があるというのです?」

ナスタシア「…暗示、催眠術などの精神操作を少々。
体力も、片腕のみとはいえ…少なくとも子供よりはあるつもりですが?」

ロゼッタ「精神、操作…」

ディメーン「ま、僕にはバレバレ!おまけに全然効かないけどね~!」

ナスタシア「分かっているから暴露したんですよ!それに、弱った時になら効くかもしれないでしょう、
寝首を掻かれないことですね」

ディメーン「油断しても戦力差甚だしいことを理解してる、ナスタシア?
己惚れるのもいい加減にしてほしいものだね」

ディメーンは嘲笑するだけ。
そんな中、私は…考え、考え、考える。

…そして、どうしようもない絶望の結論に至り…全てを割り切ったのです。
それしか、策はないのだと、分かってしまったので。

 

378: Mii 2018/11/03(土) 18:33:00 ID:H.lk9j0s

サヤカをやや乱暴に振り払い。ゆっくり、ナスタシアの方に歩いて行き。

ロゼッタ「なるほど…そういうことなら、ナスタシアを死なせるわけには参りませんね。
そのナイフで刺す役目、せめて私にさせてください。
…あ、不意打ちでナスタシアを刺すとかはしないのでご安心を」

え、と固まるナスタシアの手から――指を引きはがし優しくナイフを貰い受け。
鋭い切っ先を、サヤカに向ける。

 

379: Mii 2018/11/03(土) 18:35:53 ID:H.lk9j0s

サヤカ「…ママ?嘘…だよね?」

この世の終わりという表情のサヤカ。しかし、動じてはなりません。
しっかりと、言い聞かせなければ。

ロゼッタ「ほーら、左右に動いちゃ駄目よ。怖がって避けられると、上手く心臓に刺さらないでしょ?
却って痛いことになっちゃうのよ?」

サヤカ「……………………っ!」

絶望して、足がすくんで逃げ出すこともできず、大粒の涙を流すサヤカ。

ロゼッタ「大丈夫、何も考えなければ痛くない、痛くないわ。
痛かったとしても一瞬で済むから、さあ」

サヤカ「いつものママに戻って!お願い!」ボロボロ

3メートル、2メートル、1メートル。
サヤカとの距離が、ほぼ0になって――。

ナイフを、心臓に、違うことなく突き刺しました。

 

380: Mii 2018/11/03(土) 18:40:48 ID:H.lk9j0s

サヤカ(ああ、もう…どうでも、いいや。
わたし、悪い子だったから、やっぱりママに嫌われたのかな。
パパも、ごめんなさい――さよなら……)



サヤカ(…あれ、…………痛くない。ここは、天国?)

思わず目を瞑ってしまったけれど、どこも痛くない。
恐る恐る目を開けたら……

ママの振り上げたナイフは、そのまま腕を捻られて…
ママの胸に、深々と…刺さってた。

 

381: Mii 2018/11/03(土) 18:42:30 ID:H.lk9j0s

時が、止まったみたい。

ロゼッタ「ディメーン、ピーチ姫に伝えてください。
私は、邪悪な脅しなどに屈することなく…勇敢な最期を遂げた、と」

――怖い思いさせて、ごめんね。
そんな声が聞こえた、かもしれない。

ママはニコッと笑って…笑ったように見えて…
次の瞬間、ドバっと血を吐いて倒れ込んだ。

ナニガ オコッテイルノカ、ワカラナイ。

ナスタシアさんとかいう女の人が、絶叫しながらも必死に駆け寄ってくる。
私は、体中に浴びちゃった赤い血で、一瞬なんにも考えられなくなって……
たちまち泣きじゃくって、ママにすがりついていたの。

 

382: Mii 2018/11/03(土) 18:45:07 ID:H.lk9j0s

サヤカ「ママ、ママ!」ボロボロ

必死に、何度も何度もママを呼ぶけれど、目を閉じたまま…全然返事がない。
ナスタシアさんが、へなへなと座り込んでしまった。

ディメーン「ほいほーい、空間把握で心停止かくにーん。
これにて、チャンスタイムしゅうりょー!

いやいや、泣ける話じゃないか。即興にしては上出来だよ!
じゃあ、僕は一旦あちらの様子を伺ってくるかな、アデュー!」シュンッ

サヤカ「あああああああああ!」ボロボロ

ナスタシア「…これが…これが、貴方の出した答えというのですか。
理解不能、です。理解したくも…ありません」

 

383: Mii 2018/11/03(土) 18:49:06 ID:H.lk9j0s

サヤカ「ナスタシアさんっ!魔法使いなんでしょ!
魔法で、ママを蘇らせてよ!一生のお願い!」ボロボロ

ナスタシア「…あいにく、そのような技術もなければ、魔法の力もまるで足りません…」

サヤカ「うええぇぇぇん!!!」ガバッ

ナスタシア「いくらせがまれても、不可能な物は不可能です!分かりなさい!」グズッ

クイクイッ。

ナスタシア「ですから、私には無理だと言っているでしょう!」クルッ

ロゼッタ「……あのー」ドクドク

サヤカ「……えっ」

ナスタシア「えっ」

 

384: Mii 2018/11/03(土) 18:50:54 ID:H.lk9j0s

ロゼッタ「倒れた体勢なので代わりに教えてほしいのですが。ディメーン、いなくなりました?
見張りの分身体とかもいないですね?」ドクドク

ナスタシア「……は、はい」

ロゼッタ「そうですか…………」フゥ

ロゼッタ「………………………………………」

ロゼッタ「痛い痛い痛い痛いっ!?現在進行形で吐き気千万、死んじゃいますっ!なんですかこの痛みゴホッ!?
ってまた血を吐いてしまいましたか!?何が痛みが一瞬で終わるですか、
そんな無責任なことを宣った人は出て来て反省してくださいよーーーっ!!!!
ナスタシア!早く、早く暗示で鎮痛を、鎮痛をお願いします!」ドクドクドクドク

サヤカ「」

ナスタシア「」

――びっくり。ママが生きていました。

 

385: Mii 2018/11/03(土) 18:54:58 ID:H.lk9j0s

ピローン。

ナスタシア「…は、は、はい。暗示を掛けました。……しかし、ど、どうして!?心臓が再び動き始めて…!?
いや、そもそもナイフの軌道は、心臓を的確に破壊したはず!」

ロゼッタ「ゴホッ…口の中も血だらけなので、背景説明もせず言葉少なに解説するとですねゴホッ、
今の私の体、50%…半分は魔法の力で動いているのですよ。

要するに、心臓がズタズタに破壊されて血液循環が停止し、ATP機構やらが働かなくなろうが、
各組織は出力50%確保…生存ラインぎりぎりで動き続けるくらいならできるみたいですね。
一か八かの賭けだったのですが、上手くいきました。今だけは特異体質に感謝ですね」

サヤカ「え、じゃあママって不死身なの!?」

ロゼッタ「…残念ながら、全ての力を生命維持に費やすから、まともに歩くこともできないわ。
それに、重要臓器の機能不全で死ぬことはないけど、ちょっとタイムラグを作れただけで、
このままだと出血多量によるHP切れで死ぬわね」

サヤカ「……っ!それじゃ、意味がないよ!!」

…涙が引っ込んだのもつかの間。
やっぱり、ママは死んじゃうんだ。それを知り、再び涙があふれてくる。
…でも、ママは――口元から血を流すことも気にせず、優しく語り掛けてきた。

 

386: Mii 2018/11/03(土) 19:00:17 ID:H.lk9j0s

ロゼッタ「ねえサヤカ、今でもママのこと、好きでいてくれている?」

こく、と小さく頷いた。

ロゼッタ「ありがとう。ママも、サヤカのこと大好きよ。
――このピンチを切り抜けるために、ママの命をサヤカに預ける。
だからサヤカも、ママの言うことを信じて…言う通りに動いてほしいの。
できる、かしら?」

サヤカ「…………わかった。私、頑張る」

ママは、私をしっかり抱きしめてくれた。血の匂いはきついけど…あったかい。

ロゼッタ「と、いうわけでですね。ナスタシア。
あと一回だけ、私の大博打に、付き合って頂けないでしょうか?」

ナスタシア「…わかりましたよ。どうやら、貴方たちと心中するしかなさそうですね」

やれやれと呆れた感じで、ナスタシアは肩をすくめて苦笑いする。
…そう。脱出するなら、3人揃って、一人も犠牲者を出さないで。

 

387: Mii 2018/11/03(土) 19:07:13 ID:H.lk9j0s

ロゼッタ「とりあえず、確証があるわけではないのですが。

『警戒無くこちらに戻ってきたディメーンに大きなダメージを与えることができれば、
異空間が崩壊して元の世界に戻れる』ことを大前提としますが、よろしいですか?」

ナスタシア「異議ありません。行使者が弱れば魔法の維持力も連動して弱まるのは道理に適っていますし、
そもそもその前提がなければ我々は本当に詰んでいますから。希望的推定もやむなしです」

ロゼッタ「そして、相手の魔法防御の高さや、こちらの魔法行使の制約を考えて、魔法による攻撃は論外。
一方で、物理防御は低そうです。

先ほど、自分では手を下さず離れたところから私たちで仲違いさせようとしたのも、
わざわざ特製ナイフを調達したのも、肉弾戦の万が一を恐れていることの証左…
物理的なダメージを与えるほかに道はない」

――空間把握だけで死亡を確認するあたり、ズボラな所まで私と似通っていますね。
全然嬉しくありませんが。これは是が非でも体力を付けないと。

ナスタシア「…残念ながら、その通りです。しかし、遠方に現れるディメーンを物理的に攻撃するなど…
さきほどのようにスターピースを投げる位しか術がない。他に策があるのですか?
言っておきますが、私でも貴方の投擲に比べて少しはマシ、という程度ですよ?
いえ、片腕というバランスの取れていない状態では負ける可能性すらあります」

 

388: Mii 2018/11/03(土) 19:12:52 ID:H.lk9j0s

ロゼッタ「…いえ。また、スターピースを投げてみようと、思います。
先ほどコツンと弱弱しく当てた時、僅かながら…ディメーンが条件反射で慌てて躱そうとしていました。
つまり、一度転移したら数秒は待機時間が必要になる、みたいに、連続の空間転移には制約がある。
速度さえ十分なら、スターピースを叩き込めるはずです。

おまけに先ほどの一発で…威力を過小評価している可能性も大です。
もう馬鹿な真似はしないだろう、とでも考えて、防御壁を張られたりはしないでしょう」

そして、温めていた作戦をサヤカとナスタシアに披露します。

サヤカ「……そんなこと、できるの?」

さすがのサヤカも、半信半疑。いえ、二信八疑くらいでしょうか?

ナスタシア「冗談じゃ、ないのですか?そんな意味不明で無謀な作戦、聞いたことがない!」

――いえいえ、ところがどっこい、大真面目な作戦なのですよ。

題して…「マリオネット作戦」という作戦名は、どうでしょうか。
おかしくなって、小さく笑うのを、2人は不思議そうに見ていました。

 

389: Mii 2018/11/03(土) 19:16:36 ID:H.lk9j0s

ピーチ(――ああ、ああ)

何が、サイコーのショーだ。こんなの、最低、最悪だわ。

戻ってきたディメーンが持っていたもの。――血濡れのナイフ。

ディメーン「いやあ、実に…実に素晴らしい寸劇が繰り広げられたよ。キミたちにも見せてあげたかったね、ふふ」

デイジー「……ロ、ロゼッタは?サヤカちゃんは?も、もちろん生きているわよね!?」

ディメーン「あー、うーん。どうだったっけな。
…あ、そうそう。ピーチ姫、ロゼッタから伝言があるんだった。
一字一句違えずに伝えるから、よーく聞くといいよ」ニヤリ

――『ピーチ姫に伝えてください。
――私は、邪悪な脅しなどに屈することなく…勇敢な最期を遂げた、と』だって。
――うん、間違いないね!

皆の目が、見開かれる。
デイジーの目から、一筋の涙が…こぼれ落ちていく。

 

390: Mii 2018/11/03(土) 19:18:25 ID:H.lk9j0s

デイジー「嘘よ…そんな、の」

ディメーン「そうかもね、そうじゃないかもね?
さあさあ、どうする~?もはや守るべき者がいなくなったと開き直って、
一気に反撃し出すかい?
まだ全員死んだわけじゃないから、我慢を続けてみるかい?
はっはは、究極の選択だねー!好きな方を選ぶといいよ!」

――狂っている。こんなことが、許されていいの!?

私たちのモチベーションは、もはや総崩れ。
ただただ、無気力、無抵抗。
あのマリオが、クッパでさえも、言葉を一言も発せず俯くまま。

キノコ王国のトップとして、時には少数を捨てなければならないのは分かっている。
でも、それでも…っ!

 

391: Mii 2018/11/03(土) 19:22:14 ID:H.lk9j0s

ディメーンは本当に、好き勝手に爆撃をしてくれている。あたり一面、焼け野原。
…いえ、私たちが動かないでいるから、まだ周辺住民には手を出さないでいる、と考えればマシか。

特に、今もしも城下に目を付けられでもしたら、どれだけの民が犠牲になることか。
星くず祭が開催中で、避難も一切済んでいないというのに。

戦闘力としては、いくら開きがあるとはいえ…
こちらの攻撃は当たらず当てられず、攻撃されるまま。ジリ貧ね。

――と、思った矢先。

マリオ「ピーチ、かわせっ!」

一瞬の隙を衝かれ、思いもよらぬ激痛が、頭を襲う。
ぐわん、ぐわんと脳が直接ハンマー攻撃でも食らい、揺さぶられるような感覚。

激しい発作に見舞われ膝をつきながらも、自分の体を確かめる。

ピーチ「……な、何?今、何が起こったの?マリオ、見えた?」

マリオ「よくわからんが…通常の魔法で、そうはダメージは受けないはずだ。
転移魔法を利用して、何かやろうとしたな?」

ディメーン「んー、60点だね。せっかく、余所見している間に頭部を切り離して痛みも感じさせず即死させようとしたのに…
頑丈だなあ、腹が立ってくるよ」ムカッ

――何よ、その反則行為。

 

392: Mii 2018/11/03(土) 19:26:23 ID:H.lk9j0s

ピーチ「…へえ、ずいぶんと器用なことができるようになっているじゃない。
馬鹿に凶器を持たせるといいことがまるでないわね」

ディメーン「褒め言葉と受け取っておくよ~。
…そう!これまで、物体全体の境界面が魔法行使の分解能だったボク!
しかし、偉大な古文書のおかげで、さらに細分化して、切り離しての操作が可能となった!
いやあ、僕って天才!?」

ピーチ「結局あなたって物に頼ってるじゃない。
そんなことができるのなら、陰からコソッと私たちを始末すればよかったのじゃないの?」

ディメーン「甘い甘い。これは『復讐』なんだよ?そんなの、何の意味もないじゃないか。
敵は分かっているのに為すすべもなく蹂躙される、そんな気持ちを味わってもらわなくちゃ!」

ピーチ(そんな気持ちなら、ロゼッタの訃報を聞いた段階で、なっているわよ…っ!
これなら曖昧なままのほうがどれだけよかったことか…っ!)

 

393: Mii 2018/11/03(土) 19:29:24 ID:H.lk9j0s

………ふと、違和感。
何か、つじつまが合わなく、ないかしら。
いえ、気のせいか。

…気のせいじゃ、ない。

……ロゼッタの訃報が嘘か否か?それは関係ないわ。
あの夥しい血、誰かが致命傷を負ったことは疑いない。
つまりどう転んでも、胸をなでおろす状況は有り得ない。

そうじゃ、なくて。
そもそも、壮絶な最期を遂げた、みたいな回りくどいことを、ロゼッタが意味もなくディメーンに語らせるかしら?
伝われば当然こちらの指揮は下がる、それはロゼッタも重々承知のはず。
その仰々しさで言わしめた、意味……。

 

394: Mii 2018/11/03(土) 19:32:38 ID:H.lk9j0s

ハッと、気付いた。
ロゼッタが死んでいるのではなく、『ディメーンを騙し通せて、生きている』としたら?
言葉に隠された意味も、ガラリと変わってくるのではないかしら…?

…そういう、ことね。

だとしたら、ロゼッタは『待っている』。

タイムリミットがあることも確実。
でも……一本の、細い、細い、光明が見えた。

 

395: Mii 2018/11/03(土) 19:40:46 ID:H.lk9j0s

気付かれないように、感付かれないように、自然に振る舞え、私。
どんな会合よりも、演説よりも、気を引き締め過ぎてしすぎることはない。

ピーチ「…もう、アッタマに来たわ、マリオ。
生きているかも分からない人と天秤にかけて、現実世界を危険にさらすわけにはいかない。打って出るわよ!」

マリオ「…っ!?いいのか!?」

ピーチ「仕方のない、ことよ。…じゃないと、ロゼッタが浮かばれないわ」ポロポロ

慌てず急げ。拍を調節しなさい。態度の急変を悟られないように。

 

396: Mii 2018/11/03(土) 19:42:09 ID:H.lk9j0s

ピーチ「それに、よく考えたら、人質たちが危害を加えられてるわけないじゃない。
そんなことしたらディメーンにとって、交渉材料を失うだけなんだから。違う?
あぁ、馬鹿な真似をしちゃったわ」

ディメーン「へえ?ナイフの件はどうなってるの?」

ピーチ「さっきの血はブラフ、どうせただのギミックよ。
悔しかったら、遺体の一部でも見せてみなさいよ」ハン

ディメーン「ふーん、そんなこと言っちゃう?案外薄情だね、お姫様」

ピーチ「ペテン師の言葉を聞くだけで信じるなんて馬鹿だもの。
私、現物を見て確かめるまで信じない性質だから」

ディメーン「あ、そう。じゃあ、言われた通り、死体を持ってこようか。待っててね」

ピーチ「……え、ま、まさか。……ううん、どうせハッタリよ!有り得ないっ!」

ディメーン「もう、おそーい!」シュンッ

ピーチ(…うん。こんなところ、かしら。あとは神に祈るのみね。
ロゼッタを信じるなら……ディメーン、『もう、おそい』のよ)

 

397: Mii 2018/11/03(土) 19:44:45 ID:H.lk9j0s

表世界から、異空間へと、世界が、繋がる。

空間が、歪み始める。

――ディメーンのお出ましですか。
チャンスは、たったの、一度きり。

そして……私、ロゼッタは……地に伏すことなく。
止め処なく血を垂れ流しながらも…人形のように生気を失った状態でありながらも…
ナスタシアに支えられ、しっかりと立っている。

『ディメーンの再度の転移の兆候を掴む瞬間まで、一切の感情、発奮を捨て、
HP保持に努めなさい』

ナスタシアの暗示が効きました、と、暗示が切れた瞬間に理解しました。
――ディメーンが現れるまで、あと3秒。

 

398: Mii 2018/11/03(土) 19:46:06 ID:H.lk9j0s

ロゼッタ「距離15、高さ3!」ビシッ

サヤカ「はいっ!」

サヤカの手には、やや小さめのスターピース。

『いい?私が指差しとともに距離と高さをメートルで指示するから、
転んでもいい、くらいの気持ちで、全力、最高速で…投げ切りなさい!』

『うん!一球にぜーんぶ込める!』

 

399: Mii 2018/11/03(土) 19:49:06 ID:H.lk9j0s

サヤカが、投球モーションに入ろうとする。
小さい体ながらも、狙い見極め、無駄の全くないフォームが見られるはず。

『でも、わたしの力じゃ、とても遠い距離まで勢いが出ないよ?』

『ふふ。サヤカの持つスターピースは、あくまで感覚をずらさないため。
敵に当てる必要はないの。……というより、サヤカの投擲が完璧なら、『絶対に当たらない』わ。

――ママの空間把握能力、信じなさい』

 

400: Mii 2018/11/03(土) 19:55:15 ID:H.lk9j0s

ナスタシアが、声高らかに……新たな暗示を。
私の脳は、命令を速やかに書き換える。

ナスタシア「ロゼッタ!この暗示宣言後、
『1秒間、生命活動維持をカット!サヤカの身体動作の完全相似模写を最優先とせよ!』」

ロゼッタ「ハイ」スッ・・・

サヤカが、脚を振り上げる。
私も、脚を振り上げる。

サヤカが、胸を張り、全身を躍動させ、スターピースに勢いを与える。
私も、胸を張り、全身を躍動させ、大きなスターピースに大きな勢いを与える。

サヤカの拳の中で、スターピースは…加速する。
私の拳の中で、大きなスターピースは…たちまち加速する。

サヤカに全てのモーションをクイックにしてもらって、更に相似拡大効果を上乗せ。
私の体は、サヤカに操られ、鈍い音を立てながらも、傷口を広げつつも、動く、動く。

『無意識に魔法の力を使って』、自分のまるで意図しない方向に、意図しない速さで、
セーブもなしに動くものだから、鎮痛暗示が意味をなさないほどに、痛い、痛い、痛すぎる。
組織の停止、無酸素状態の襲来までも。涙を堪え、歯を食いしばる。
――お手本があれば、動かすことは、できるっ!

ディメーンが現れる、1秒前。
でも、これで、届く――。

 

401: Mii 2018/11/03(土) 19:57:55 ID:H.lk9j0s

――しかし、大きな誤算に気付き、愕然としました。

――このままでは…勢いはあっても、当たらないっ!?

サヤカとの位置関係から、補正した距離情報を手短に伝えましたが、不十分だった…?

体格差を考慮した補正が間違ってしまっていた…?

いえ、サヤカが狙って投げるには高低差がありすぎる不慣れさが原因…?。

モーションを早めてしまったために、リリースポイントが狂った…?

身体動作にガタが来た、あるいは模写が不完全…?

とにかく、このまま投げては…当たらない事だけは、直感で分かってしまいました。
微妙にずれた、そっぽの方向に飛んで行って、終わりでしょう。

 

402: Mii 2018/11/03(土) 19:59:43 ID:H.lk9j0s

ロゼッタ(……万事休す、ですね)

――まあ、博打は博打なりに、最善は尽くしました。潮時というものでしょうか。
――最後の最後で、結局サヤカを裏切ることになってしまいましたが、許してくれるでしょう。

……なーんて諦めができるほど、人間、できてはいないのです。

なんとしてでもマリオやピーチと合流し、にっくき敵を叩きのめし。
ケガなんてどこへやらと全身完治させ。

また、サヤカと一緒に笑いながらキャッチピースをして。
一緒に綿飴を半分こするのです。

ロゼッタ(……………………わた、あめ)

 

403: Mii 2018/11/03(土) 20:03:17 ID:H.lk9j0s

ロゼッタ「……っ!」キッ

暗示が解けた、直後。スターピースが手元を離れる、直前。
神経を研ぎ澄まし、集中、集中、集中っ!!

生命活動さんは、1回じゃなくて2回お休み。
組織へ注がれようとした全身の魔力を奔流とし、投げる右手に萃(あつ)める。
耐え切れず、手首が腫れ、血を流し、どんどん裂けて行きますが、あとで何とでもなるでしょう。

血飛沫まで巻き込みながら、スターピースの周りが光り、空間が渦を巻く。

ロゼッタ「はあああああああああああぁぁぁーっ!!」

とうとう、私の体から離れた、スターピースは。

ゴオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!

自分でも信じられないくらいの高速で、うなりを上げて飛んで行き…
出現したばかりのディメーンの腹部に、しかと、突き刺さったのです。

 

404: Mii 2018/11/03(土) 20:07:38 ID:H.lk9j0s

ディメーン「か、はっ!?」

一条の弾丸に、気付いたころには、もう遅し。

――馬鹿な、何が起きた!

――まずい、空間が、割れていく!?

ボクの行動に、不備などなかった。なのに、どうしてアイツは皮一枚繋がって生きている!?
いや、生きていたところで、このスターピースの勢いはなんだ!?

景色はたちまち、表世界へ。

あの3人は墜落、しかしすぐさまピーチ姫が駆け込んでいく。
確実に助けられ回復を施されるだろう。

ディメーン「何故だ…何故だ!許さない許さない許さないっ!ふざけるな!」

初めて事が上手く運ばなかったことに、煮えたぎる湯のように怒りが込み上がってきた。

 

405: Mii 2018/11/03(土) 20:10:17 ID:H.lk9j0s

ピーチ「ロゼッタ!!やっぱり生きてたのね!」ポロポロ

デイジー「うわーん!」ダキッ

ロゼッタ「ぎゃふ(吐血)」チーン

ピーチ「…って、とんでもない重体じゃない!!
『みんなげんきになあれ』!『おねがいカムバック』!10連打ァ!!!!」パアアアアアアアアアアア

ロゼッタ「…ふう。なんとか、生き永らえちゃいました」パアアァァァ

ルイージ「びえええええ、よかったよおおおお」

デイジー「顔ぐっちゃぐちゃじゃん、気色悪いよ」グズッ

ルイージ「なんか理不尽だよぉ!」ビェェ

ピーチ「ナスタシアも。お疲れさま、そして本当に…ありがとう」

ナスタシア「ふふ、こちらこそ、意外性の塊の彼女に助けられました。本当に、いい友人をお持ちですね。
…ああ、やはり両手があると安心します」ホッ

 

406: Mii 2018/11/03(土) 20:15:26 ID:H.lk9j0s

サヤカ「ママ、ありがとう!うわーん!」ダキツキ

ピーチ「ああ、この子が噂のロゼッタの子供ね。本当に…本当によく、耐え抜いたわ。
ロゼッタに似たのかしらね」

ピーチ姫が、微笑みます。

ロゼッタ(サヤカが、血濡れではありますが満面の笑み…いえ、涙。ええ、これで一安心。
さあ…形勢逆転、反撃の狼煙と行きたい所!
…まあ、私の出る幕はないでしょうが!)グッ

サヤカ「…でも、さっきのボール…じゃなくてスターピース、周りに風を纏って、物凄い速さで飛んで行ったね。
一体、何をしたの!?わたし、あんなことやってないよ!?」

ロゼッタ「……どうしても、最後の最後でスターピースの軌道がずれることに気付いたのよ。
だから、体中の魔力を振り絞って、強烈なスピンを掛けながら強引に軌道修正したの。

回転体は、物理的に回転軸方向を保とうとする復元力が働くから…
回転軸方向が進行方向に一致すれば、おそらくブレを抑えられると思って。

まあ、体の限界も考えずに行き当たりばったりで試したから、
腕が雑巾みたいに千切れる寸前までダメージを受けたけどね」

 

407: Mii 2018/11/03(土) 20:24:05 ID:H.lk9j0s

サヤカは、一瞬息を飲み…ますます目を輝かせました。

サヤカ「凄い、凄いよ!ママ!物理?とか、理論は難しすぎて、よくわかんないけど!」ピョンピョン

ロゼッタ「ええ、まさか綿飴機から連想して機転を利かせられるとは。本当によかったわ!」

サヤカ「そうじゃなくて!…あ、えっと、それもそうだけど!

ママが投げたの、きっと『ジャイロボール』……

いや、それどころじゃない。『ハイスピンジャイロボール』だよ!」

ロゼッタ「…じゃいろ、ぼーる?」

サヤカ「一流の野球投手でも、投げられるのがほーんの一握りしかいない、すっごく強力な投球法だよっ!
初速からの減速を極限まで抑えられて、ストレートが物凄く伸びるボールになるの!

ママはそれをいきなり投げられたんだよ!」キラキラ

ロゼッタ「まあ、まあ!それは喜ばなければならないわね!」

…まあ、ズルをしているのだけれど。せっかくサヤカが飛び上がらんばかりに喜んでいるのだもの、
言わないでおきましょう。

 

409: Mii 2018/11/15(木) 22:21:39 ID:ziBygO06

と、そのとき。

ふたたびピリッとした空間のざわめきを感じ取り、慌ててそちらを見やります。
何事か、と不思議がっていたピーチ姫たちも、私に釣られて。

――分かりきってはいましたが、倒し切ったというわけでは…さらさらなさそうですね。
中空にクルクルッ…と空間を割って、ディメーンが現れました。

今度はしっかり防御壁を引っ提げて現れる徹底ぶり…流石に警戒したのでしょう。
苦悶の表情…というよりは、憤怒、激怒の感情がありありと伺えます。
目に入ったもの全て、焼き払って灰にしてしまいたい、といわんばかり。

 

410: Mii 2018/11/15(木) 22:26:11 ID:ziBygO06

ディメーン「ふざけるな…ふざけるなっ!今のボクは最強、無敵なんだ!お前らごときに負けるはずがない!
…もういい、出し惜しみなどしないでフルパワーを出してやる!後悔しても、遅いからな!」

マリオ(いつものニヤケ節はどこへやら、か。すっかり逆上して隙を作ってくれてるのはいいが…『スーパージャンプ(RPGver.)』!)

ルイージ(かといって、無茶苦茶に暴れられるってのも困るんだよね!『スーパージャンプ(スペマリver.)』だっ!)

マリオとルイージが、それぞれ別々の死角方向からジャンプ攻撃を仕掛けます。
しかし、マリオの強烈な踏みつけも、ルイージの大砲のような叩き上げも、空間転移によって難なく避けられてしまいました。

あの2人ですら、スピードで追いつかないなんて。

あわやぶつかる、というタイミングで、2人はひらりと体をそらし、そのまま見事着地。
拍手喝采の動きですが、警戒しながら戻ってきた本人たちは不満そうです。

マリオ「…やばいな、今ので速度不足だと、もう転移後のまぐれ当たりに賭けるくらいしかないぞ。
そもそも当たったところで、防御壁を壊せるかもよくわからん。あれがなけりゃ、一撃なんだが」

ピーチ「…こうなったら、ロゼッタ。貴方にも戦ってもらうわよ。いいわね?…デイジー、杖を返してあげて」

デイジー「わかった!はいっ!」

ロゼッタ「…は、はい。出る幕、ありましたか…」

気力的に、かなり限界なのですが……。傷こそ完治していますが体中血だらけで、いざ戦ってやろう…という気概も中々見せられません。
…しかし、緊急事態は未だ続いているので仕方がないでしょう。久しぶりに、杖をしっかりと手にします。
キラリ、と杖が輝きました。よろしくお願いしますね。

 

411: Mii 2018/11/15(木) 22:29:09 ID:ziBygO06

ピーチ「手短にロゼッタの攻撃魔法の威力、効果範囲を教えて。作戦を立てるわ。
私よりも魔法Lvが高いんだもの、期待しているわよ!」

ロゼッタ「…ええっ!?きゅ、急にそんなこと言われて、も…!」

――ま、まずいです。なんだか、ハードルをかなり高く設定されている気がします。
そんなに大したことはできません。幻滅されそうなのですが…!

ロゼッタ「…………すいません、そういうことなら、ご期待には沿えません。
――――実は私、『回復魔法』と『空間魔法』以外は一切使えないんです。
そもそも、敵と対峙するなんで経験がまるでなかった、もので」

私の声は、尻すぼみ。
耳にしたピーチやマリオは驚天動地。魔法使いとして有り得ない、という顔を思い切り向けてきます。

ピーチ「……はああああああっ!?何よそれ!?」

ロゼッタ「それに加えて…ピーチ姫も薄々気付かれていると思いますが。
私は最大FPが貧弱なせいで、まるで魔法Lvの高さを活かせない体たらく…本当にすいません」シュン

空間魔法は、FP燃費が唯でさえ凄まじく悪いのに。
行使すること自体は 『簡単』 なのですが…。

 

412: Mii 2018/11/15(木) 22:34:09 ID:ziBygO06

ピーチ「…私も悪かったわ、いきなり実践投入は難しいもんね。気を落とさないでちょうだい。
…じゃあ、回復はお願いできるかしら?」

…それが、それすらも容易ではないのです、私の場合。

ロゼッタ「……えっと、私の回復魔法はFPを最大値近く消費するので、
杖が戻ったとはいえ今はちょっと…だいぶ体の枯渇領域に還元してしまいましたし…」ビクビク

ピーチ「どうしてよっ!?回復魔法ってそんなにFP使わないでしょ!?本当に魔法Lv高いの、ロゼッタ!?」

ロゼッタ「す、すいません、全然お役に立てず…」グズッ

――やはり、魔法使いとして未熟者もいいところです、よね。

デイジー「ま、まあまあ落ち着いてよピーチ。ロゼッタ、じゃあどういうことならできる?
きっと役に立てる場面もあるはずだよ!」

ロゼッタ「…………ディメーンの攻撃を食らいそうなとき、私の空間転移で緊急避難させる、くらいなら」

ピーチ「…よし。じゃあそれだけは頼むわよ。
でもね、この件が片付いたら、ロゼッタはちょっと魔法の覚え直しね」

ロゼッタ「…はい!そのときはぜひ、ご教授願います!」

――よかった、少しは役に立てて。
でも、ピーチ姫に失望されないよう、精進しなくては。

 

413: Mii 2018/11/15(木) 22:37:02 ID:ziBygO06

ピーチ姫は、私を戦力に考えるのは難しいと捉えたのか、私およびサヤカのことをデイジー姫に任せて戦闘態勢に入りました。
私は私で、サヤカをしっかり庇いつつ、付近の様子を伺い続けます。

デイジー「…………ねえ、ロゼッタ。ちょっと聞いていい?」

と、そこに。デイジー姫が耳打ちしてきました。

ロゼッタ「はい、なんでしょう?」

デイジー「ロゼッタって、ほうき星を管理する中で、星の表面をいろいろ開拓していったんだよね。
自分よりずっと大きくて重い物だって沢山あったでしょうに、どうやって動かしたの?
今の話聞いてると、ロゼッタ1人じゃ何百年もの時間があったとしても無理そうなんだけど…」

ロゼッタ「チコたちのおかげです。私の魔法の杖は少し特殊でして、周囲の星々やチコから少しずつ魔力をおすそ分けしてもらい
集積することができ、私にそれを還元してくれるのですが…。

大勢のチコたちが集い、住み着くほうき星は、それ自体が魔力の聖域。
チコやほうき星から魔力を供給される限り、最大値こそ定まれど、私は繰り返しFPを使用することができます」

デイジー「へえ、でもやっぱり一度に行使できるFPは限られるんだ…」

ロゼッタ「…いえ。本当の本当に一大事、という場合では、何千ものチコたちに集まってもらい、
直接FPを転送してもらって問題に立ち向かう、ということができなくもありません。
その場合、限界値を大幅に超えた出力で魔法を繰り出すことができます」

 

414: Mii 2018/11/15(木) 22:40:00 ID:ziBygO06

デイジー「…………ねえ、ロゼッタ。仮に…仮にだよ?
FPが使い切れないくらい潤沢にあったとしたら、どのくらいのことができるの?」

ロゼッタ「そうですね…昔話になってしまいますが。
ほうき星を管理しているとき、何千ものチコたちにFPを借り受けて、一致団結して――。

このままでは衝突を免れないような直径数百キロの巨大隕石をやり過ごしたことなら、
三百年くらい前にありますよ。一週間ほど目を覚まさない副作用付ですが」

デイジー姫は、何故かあんぐりと口を開けていましたが…今はどのみち関係がないことでしょう。
ここにはチコたちもいないのですから。

さあ…集中しなければ。
なけなしの勇気を、もう一度振り絞ってみます。

 

415: Mii 2018/11/15(木) 22:44:36 ID:ziBygO06

――ディメーンが、現れました。

右に。左に。上に。前に。後ろに。

肩車をしながら。
高笑いしながら。
リズミカルに踊りながら。
フヨフヨと漂いながら。
木々の陰に隠れながら。
屋根の上に腰掛けながら。

「「「「「さぁ~て、ボクがどこにいるか、わかるかな~?」」」」」

推定、百体以上。頭がおかしくなりそうです。

そんな中でもマリオ、そしてクッパは不敵に笑って、腕をポキポキと鳴らせてみせます。

マリオ「ここから本物を探し当てるのはしんどそうだが…とりあえず片づけるか。
時間稼ぎに付き合う気はない、全体攻撃を駆使して一気に行くぞ」

クッパ「…だな。ディメーンの魔力を削ぎつつ、撃墜数勝負でも洒落こむとするのだ!」

さすが、我らがヒーロー、そしてそのライバル。心強い限りです。

 

416: Mii 2018/11/15(木) 22:47:51 ID:ziBygO06

ピーチ「油断しないでよ、どうせ本体はどこかから不意打ち仕掛けてくるんだから!」

司令塔のピーチ姫が警戒を呼びかける中、マリオとクッパが主体となって薙ぎ払い始めます。

マリオ「ツギツギジャンプ!」バキッ

クッパ「ファイアブレス!」ゴォォォ

マリオ「ウルトラジシーン!」グラグラッ

クッパ「衝撃波なのだっ!」ビシャーン!

ルイージ「た、高い所から手あたり次第ファイアボール撃っておこうっと…」

クッパ「ルイージ、真面目にやれ!スマブラ初心者か!」

それでも分身体は減った傍から増え続け、中々数を減らしてくれません。

マリオ「めんどくさいから『ヤッツケーレ』で体当たりしまくるか」ポコッ ポコッ

クッパ「ううむ、それは真面目…なのか?」

ルイージ「兄さんだけバッジ効果ずるいよー…」

 

417: Mii 2018/11/15(木) 22:49:42 ID:ziBygO06

そのとき、炎が私に目がけて迫ります。

とっさにサヤカを庇いつつ後ろへ…身をそらす必要もなく、横から伸びてきた長い舌に絡めとられました。

ロゼッタ「ありがとうございます! 助かりました!」

ヨッシー「まあ、お安い御用ってことで。デイジーに護衛を任せられたからには守り切って見せますよー。
後でお菓子の一つでも下さいね」

ロゼッタ「はい、そんなことでいいなら喜んで!……え、デイジー姫に頼まれた?」

どうしたことかと振り返ると、何やらデイジー姫が身振り手振りも交えながらピーチ姫に嘆願中。
策でも浮かんだのでしょうか…?ここからではよく聞き取れません。

 

418: Mii 2018/11/15(木) 22:54:55 ID:ziBygO06

ピーチ「…へえ。大して有効策もないし、それが本当なら、試してみる価値はありそうね。
わかった、デイジーは別行動を許す。その間はカバーするから」

デイジー「うん!」

ピーチ姫が、おもむろにポケットから電話を取り出し――。

ピーチ「ああ、カメック。急ぎ、クッパ城にて待機中のクッパシップを、残りの積荷そのままで全速力でキノコ王国の外れの公園まで誘導して。
…え、理由?いいから急いでっ!

30分以内に着いたら、ケーキの材料費全額こっちで負担してあげる。
1時間超えたらクッパ城焼き払う!オーケー!?分かったらとっとと動きなさいっ!」

ロゼッタ「い、一体どうしたというので……」

大声の命令にたまらず驚き、口を挟もうとしたところ、これまた突然に待ったが掛かりました。
声の主のナスタシアは、妙に差し迫った様子です。

ナスタシア「ちょっと、待ってください!何をするのか知りませんが、大変なことになりました!
速やかに場所を移してくださいっ!」

――今度は一体、何が。

 

419: Mii 2018/11/15(木) 22:57:53 ID:ziBygO06

ピーチ姫が、咄嗟に電話を保留しナスタシアに注目します。

ピーチ「ナスタシア、何か感付いたのっ!?」

ナスタシア「本体はどこかに潜んで分身体を作り続けていると勘違いしていましたが、どうも違います!

分身生成間際のディメーンをマリオが殴り倒してみれば同じく分身体であった、というケースが見られます!
私が知り得ていた過去の情報からすれば信じられませんが、
そのくらいの芸当は分身体にもできるようになっている!

だったら…本体がここにいる必要、ないでしょう!?」

ピーチ「…まさかっ!」

ピーチ姫が、顔を真っ青にします。

ルイージ「どういうこと、兄さんっ!」

マリオ「そうか…こいつらおそらく、全員が分身体だ!本体はとっくに離脱してる!
そんでもって、アドを取るために、おそらく新たな人質確保に躍起になってるぞ!」

クッパ「お、おい…じゃあ、まさか向かった先は…!?」

――まだまだ往来盛んな、キノコ城、城下っ!

 

420: Mii 2018/11/15(木) 23:02:06 ID:ziBygO06

ピーチ「助かったわナスタシア、全員、城下に向かうわよっ!悪いけどこっちは放置!」

分身体はワラワラ居続けますが、幸い人気はない。
後ろ髪を引かれつつも、全員、ピーチ姫に釣られて駆け出します。
…私はピーチ姫に、サヤカはデイジー姫に速やかに担がれて。

…いやまあ、サヤカをこんなところに取り残すのは論外なのですが、
なんとも恥ずかしい絵ですね。

しかし、ナスタシアの機転もむなしく。
判断の遅れは如何ともし難かったようで。

すこしばかり…遅かったようでした。

 

421: Mii 2018/11/15(木) 23:03:44 ID:ziBygO06

ピーチ「なんて…こと」

既にキノコ城前の広場には、ディメーンの魔法に囚われの身となっている人々が集められ、
ひしめいていたのです。

無傷というわけでもなく、抵抗したのか負傷者、重傷者も多数出てしまっている…なんということでしょう。

その数は、軽く三桁にのぼります。

ディメーン「んっふっふ!これでまた、形勢逆転だねっ!
いやいや、こーんなお祭りを呑気に開いてくれているなんて、大助かりだよ!」

「姫様!お助け下さい!」

「うわーん、死にたくないよー!」

「このままじゃ、うちの子が死んじゃう!」

「痛い…痛いよう…!」

聞こえてくる悲鳴、鳴き声。慟哭。
ぎりっ、とピーチ姫が唇を噛み、血が滴り落ちました。

 

422: Mii 2018/11/15(木) 23:06:33 ID:ziBygO06

ディメーン「さ~てと、今度はしくじらないよ、マドモアゼル ピーチ。
少しでも抵抗すれば、1人ずつ、1人ずつ、あの世に送っていくからね。

どうあがいても、1人や2人ならともかく、全員を同時に助けることなんて夢のまた夢だしね!
…いやあ、最初からこうしておけばよかったかな」

ナスタシア「まったく、どうしてそう、無駄に実力を付けているのですか!
ここまで同時並行で術式展開することなど、とてもできなかったはず!」

ああ、どうしたらよいのでしょう。事態が好転した、などと考えていた過去の私を叱りたい。
思う存分魔法を発揮するディメーンを、ただ呆然と眺めるばかり。

ただ……同じ、空間魔法の使い手として。

ロゼッタ「羨ましい、なあ」

そんな言葉が、口から出てしまいました。

 

423: Mii 2018/11/15(木) 23:09:42 ID:ziBygO06

ピーチ「ロゼッタ、羨ましいってどういうこと?不謹慎よ」

ロゼッタ「…あ、大変申し訳ございません!ですが…
私も、あれだけ自由に空間魔法を使い倒せたら少しはお役に立てたのに、と思いまして。

何百年もの間――空間魔法について色々と研究・考察し、頭の中や紙の上ではそれなりの数の空間魔法を
仕立て上げてきたのですが、FPが少ないばかりにどれもこれも使えずじまいで…

たとえば、ディメーンが今行使している空間魔法も、FPがありさえすれば私にもおそらくできる程度のものです」

私の渇望が耳に入ったのか、ディメーンはケラケラと笑い出しました。

ディメーン「はははっ!頭が狂ったのかな?
こんな高等な魔法が凡人にできるわけないだろう、マドモアゼル ロゼッタ!」

ピーチ「何よ!どうせ、さっき自慢してた『参考書』とやらの賜物でしょ!
自分じゃ編み出せもしなかったくせに偉そうに!」

ディメーンが、囚われた1人のキノピオに爆撃を仕掛け、内壁に叩きつけました。
完全に意識が無くなり、流血も。一刻を争う状況です。
たちまちピーチ姫も口をつぐみ、涙を堪えて怒りに震えるしかありませんでした。

 

424: Mii 2018/11/15(木) 23:13:05 ID:ziBygO06

ディメーン「確かに参考書のおかげ…しかし、それを活かせるのは、ボクの実力あってこそ!
さっき言わなかったっけ?

というより、常人じゃその凄さ、真意、存在意義にすら絶対に気付けないんだよね!相当に狂気ものの書物だし!」

そう言って、ポン、と古ぼけた一冊の本を異空間から取り出します。

マリオ「狂気もの…?どういうことだ?」

ディメーン「執筆者は相当な切れ者のようでね…まあ、既にそいつを超えているだろうけど。
どうにも『選ばれた者のみに空間魔法の極意を伝えたい』という想いから、
カモフラージュを散りばめている。ページが引き千切られていたり、所々黒く塗り潰されていたりね。

中でも初見で面食らったのが、一見して魔術書とはまるで無縁な…
フィクション小説の体裁をとっているところさ」

ピーチ「フィクション、小説…!?意味が分からないわ」

ピーチ姫が話を促しつつ、隙を必死に伺います。
それを知ってか知らずか、ディメーンは大層得意そうに続けます。

 

425: Mii 2018/11/15(木) 23:21:27 ID:ziBygO06

ディメーン「そう…表の顔は内気な少女、しかし裏では平和な世界を脅かす悪意に魔法を駆使して人知れず立ち向かう暗躍者。
時には意中の男性に正体がバレかけたりしてあたふたする、板挟みに遭う複雑な恋愛事情。
ここまで言うと興味が湧くかもしれないが、傑作なのが文才なんて一切なくて…

いや、わざとか、流石にマジ書きでこれはない。
そんなこと、ボクが許したとしても宇宙が許してくれないな。
大昔に、あまりの黒歴史創造に血反吐を吐きながら改悪に改悪を重ねて執筆したに違いない。

全てが稚拙で素人の書き殴りっぷり。ワンパターンで先が読め過ぎる勧善懲悪ものの展開。
ボクもうわぁ、とドン引きしながら読み進めたけどね。
合間合間に超重要な術式のヒントが、数式が散りばめられているのだもの。
どんなに馬鹿丸出しな書物でも、ボクにとっては聖書だよ」

ピーチ「まるであなたみたいな趣味の悪さね…」

ロゼッタ「……………………ん?」

 

426: Mii 2018/11/15(木) 23:22:57 ID:ziBygO06

ディメーン「そして、これがその代物…
『星に願いし亜空の魔女 ~おたすけウィッチ、三日月に舞う~』だね。
いやあ、タイトルもふざけ過ぎて逆に天才と思わせないかい!?」

ピーチ「星に願いし亜空の魔女……なんて厨二設定なの…!」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「」

ロゼッタ「……は?」

マリオ「…………ロゼッタ?どしたの?」ユサユサ

 

427: Mii 2018/11/15(木) 23:26:50 ID:ziBygO06

ディメーン「それに、一緒についてたメモ用紙があったんだけどさー。

『シリーズ累計150万部突破の超大作!書店にて全10巻、好評発売中!
① おたすけ☆ウィッチ、その名はロゼりん!
② 古の遺跡と風を司りし巫女
③ おたすけ☆ウィッチ、三日月に舞う
④ 激闘!紅蓮の使者現る
⑤ 内気な魔女の恋愛事情
⑥ 挫折と涙と、シューティング☆スター!
⑦ 星降る夜の舞踏会
⑧ スターダスト・ラブソディ
⑨ 響け!疾風の協奏曲
⑩ おたすけ☆ウィッチと空中庭園!            』

だってさ。第3巻執筆時点で第10巻までのタイトル付けの皮算用までするなんて、
素面だとしたら頭のネジが緩んでいないか気になる思考回路だね」

ロゼッタ「えっちょっ待って」ガクガク

ピーチ「…本当にそれ、参考書たりえるの?」

ルイージ「……………………」

 

428: Mii 2018/11/15(木) 23:31:01 ID:ziBygO06

ディメーン「性的知識もないのに官能めいたことを無理やり書こうとしてさ。
こそあど言葉で誤魔化すわ、ますます稚拙さが露わになるわ、急に場面が飛んで逃げるわ、
いつの間にか距離が縮まってるわ、そのくせ強引に三角関係とか描写しようと空回りするわ…

知的なボクですら…いやボクだからこそ顔が強張る展開が目白押しだったよ、うんうん」

ロゼッタ「ゴフッ(吐血)」

ピーチ「うわあ、それはないわー…」

クッパ「…………………………………………」

 

429: Mii 2018/11/15(木) 23:35:31 ID:ziBygO06

ディメーン「極めつけにさ、隕石が落ちてきたときに、フィクションにありがちなご都合展開で回避するんだけど、
その時の主人公が

『この顛末がまぐれではないかって?違うわ、私は真に驚くべき魔法を編纂して見せた。
でも、ここで語ることはできないわ。だって、私の人生という限られた日記に記すには、
余白が狭すぎるんだもの(キリッ)』

って独り言で締めくくるんだよ。もう大うけで大うけで。――あー、語れてすっきりした。
少しは誰かに共感して貰いたかったんでね。

こんな内容のくせして、空間魔法の極意を散りばめた一冊なんだからamazing!」

ロゼッタ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

ピーチ「さっきからうるさいわよロゼッタ!?ってか、なんで吐血してるの!?」

マリオ「うわあ」

ルイージ「うわあ」

クッパ「うわあ」

 

430: Mii 2018/11/15(木) 23:37:31 ID:ziBygO06

マリオ「…なあディメーン、その本、どうやって入手した?」

ディメーン「宇宙空間に漂っていたところを偶然拾ったよ?」

マリオ「…ロゼッタ、負の遺産であることに気付いてちゃんと焼却処分した?」

ロゼッタ「ちゃんと原本除いてブラックホールに放り込みましたよっ!!」グズッ

マリオ「きっと奇跡的にホワイトホールから無傷で出てきちゃったんだな……
ってか原本は現存する上に複製までしたのかよ」

ピーチ「…え?」

ルイージ「」

クッパ「」

ロゼッタ「……すいません、今のなしで」

ディメーン「???」

ピーチ「ロゼッタ……………………あなた、まさか」

ロゼッタ「そんな目で私を見ないでくださいぃーーーーーーっ!!」

 

431: Mii 2018/11/15(木) 23:41:06 ID:ziBygO06

ロゼッタ「死にたいです…いっそ殺してください…」orz

サヤカ「私はママに生きていてほしいよ!?死にたいなんて言わないで!」

茶化す気持ちなど全くないサヤカだけが、唯一の救い……っ!

サヤカ「だから、頑張って!ロゼりん!」

ドグシャァアアアア!!
立ち上がろうとして言葉の刃に切り裂かれ、地に倒れ伏しました。

マリオ「大変だ!ロゼりんがまた血を吐いてるっ!」

ルイージ「頑張れロゼりん!負けるなロゼりん!」

ピーチ「わ、私は信じてるからね!ろ、ロゼりんは強い子だって……!」

クッパ「ロゼりんロゼりんしつこいぞ!いい加減にしてやれ!全く酷い奴らだ、なあロゼりん」

ロゼッタ「」

ナスタシア「…が、頑張って、ください?」アセ

ロゼッタは めのまえが まっくらに なった▼

 

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