1: 名無し ID:6mKKje330

勇者「あの店で万引きしてこいや」

魔王「はい、分かりました!」

勇者「いいか、スケ・ベーが描いた画集を万引きしてくるんだぞ。間違えるなよ」

勇者「表紙に色っぽい姉ちゃんが描いてあるやつだぞ」

魔王「大丈夫です!」

勇者「よしっ、行ってこい!」

魔王「はいっ!」タタタッ

3: 名無し ID:6mKKje330

―店―

店主「お、君は魔王君だね。いらっしゃい」

魔王「こんにちは!」

魔王「あの、万引きしてもいいですか?」

店主「え。いや、それはちょっと……お金はもらわないと……」

魔王「じゃあ、これお金です」ジャラッ

店主「え、こんなに……」

魔王「このスケ・ベーさんの画集を万引きさせてもらいますね。失礼します!」

店主「……」

 

5: 名無し ID:6mKKje330

勇者「どうだ、やってきたか」

魔王「はい、どうぞ」

勇者「おほっ! スケ・ベーは相変わらずいいヌード描きやがる。今夜のオカズは決まりだな」パラパラ

勇者「で、バレなかっただろうな」

魔王「はい、ちゃんとお金を払ってから万引きしたんで大丈夫です」

勇者「ハァ? バカか、それじゃ万引きじゃねえだろうが!」

店主「やっぱりお前がやらせたのか、勇者!」

勇者「!」ギクッ

 

6: 名無し ID:6mKKje330

バキッ!

勇者「おげえっ!」

勇者「な、なにもいきなり殴ることはねーだろうが!」

店主「お前が仮にも世界を救った勇者でなきゃ、もっとボコボコにしてるわ!」

店主「しかも、よりによってスケ・ベーの画集って……なに考えてんだ!」

勇者「俺だってたまには発散したいんだよ! 文句あっか!」

店主「文句しかねえよ! 発散させたいならそういう店にでも行けや!」

勇者「勇者なんだからもっとサービスしろってクレームつけたら、出禁になっちまったんだよ!」

ギャーギャー!

魔王「……!」オロオロ

 

7: 名無し ID:6mKKje330

勇者「ちっ、うるせーな……反省してまーす!」

店主「全然してないだろ!」

ギャーギャー!

魔王「どうしよう……」

姫「あら、魔王君。あの二人はなにしてんの?」

魔王「姫様! それが……ボクが万引きを失敗してしまったせいで……!」

姫「……詳しく教えてもらえる?」

 

9: 名無し ID:6mKKje330

店主「これは姫様!」

勇者「ゲ、姫!」

姫「ご主人、このクズの始末はきっちりつけておくから、店戻っていいわよ」

店主「姫様がそうおっしゃるなら……」

姫「ったく、こんな子供に万引きさせるなんて、“歴代最低のクズ勇者”の評判は伊達じゃないわね」

勇者「誰が最低のクズだ、コラァ! もっぺん言ってみろ!」

姫「“歴代最低のクズ勇者”」

勇者「ホントに言うんじゃねえよ!」

 

10: 名無し ID:6mKKje330

勇者「お前こそ“歴代最低のブス姫”のくせによォ!」

姫「誰がブスよ!」

バチィン!

勇者「ゲボォッ!」

勇者「いきなりビンタすんなァ!」

姫「オッホッホ、ごめんなさい。蚊が止まってたの。こーんくらい大きいやつが」

勇者「ウソつけやァ!」

 

12: 名無し ID:6mKKje330

勇者「歴代最低のじゃじゃ馬が……」ボソッ

バチィンッ!

勇者「ぎゃぶぅ!」

勇者「ビンタじゃなく口で返せよ! 今時暴力女なんざ流行らねーぞ!」

姫「流行りなんざどうでもいいわ。今度はパーじゃなくグーでやったげましょうか?」

魔王「二人とも、やめましょうよ! ケンカはダメですよ!」

姫「魔王君がそういうなら」

勇者「姫が勇者を殴って魔王が止める……どうなってんだこれ……」ブツブツ

 

13: 名無し ID:6mKKje330

姫「この世界ではずーっと人と魔族の争いが続いてた。きっかけが何かすら分からないくらい永く」

姫「あんたの一族も、代々勇者として戦ってきたわけだけど……」

姫「今の勇者であるあんたが魔族のボスである大魔王と戦って……」

勇者『ハァ、ハァ……あのさぁ。もうキリないし、手打ちにしねえ?』

姫「ようやく、私らと魔界の和睦が成立した。これは紛れもなくあんたの手柄よ」

勇者「俺ってホント偉いよな。偉大すぎる。もっと崇めろ奉れ。ついでに王様にしてくれ」

姫「黙れ」

姫「その後、大魔王は友好の証として“しばらく我が子である魔王に人の世界を体験させてくれ”ってことになった」

勇者「そうだよ。で、俺んちにホームステイしてる」

姫「なのに、万引きなんてさせてどーすんのよ! 台無しじゃないのよ!」

勇者「……」

 

14: 名無し ID:6mKKje330

勇者「まあ聞けよ。俺にだってちゃんと考えはある」

姫「考え……?」

勇者「魔王たる者、武勇伝の一つや二つ必要……」

姫「そんな理由かいっ!」

ベチィンッ!

勇者「きゃばぁっ!」

魔王「勇者さん、大丈夫ですか!」

勇者「大丈夫じゃねえよ! ……今日はもう帰る! 帰ってメシにすんぞ!」

魔王「はいっ!」

姫「メシ? 私もお呼ばれしよっと」

勇者「あーあ、二人分だったのが四人分作らねえと」

姫「そんなに食べないわよ!」

 

16: 名無し ID:6mKKje330

―勇者の家―

勇者「ふんふ~ん」グツグツ…

姫「まだー?」チンチン

魔王「食器を叩くのは行儀がよくないので、控えた方がいいかと……」

姫「あらやだ、ごめんあそばせ」ポッ…

勇者「ケッ、姫が魔王にマナー指導されてちゃ世話ねーな」

姫「ほっといてよ!」

 

17: 名無し ID:6mKKje330

勇者「ほら、シチューだ」

姫「おっ、うまそう!」

魔王「いつもながら、勇者さんのお料理は匂いも見た目もおいしそうです!」

勇者「だが、肝心なのは味だ……ご賞味あれ」

姫「いただきまーす!」ガツガツ

姫「おーいしー!」

魔王「おいしいです!」

勇者「そうだろう、そうだろう」

 

18: 名無し ID:6mKKje330

魔王「……」ハフハフ

姫「おかわり!」

勇者「食うのはえーな。ちゃんと噛めよな。シチューは飲み物じゃねーんだぞ」

姫「なんであんたって料理は上手いの? クズのくせに」

勇者「メシを食うって行為は、生き物にとっちゃ最も楽しい時間に他ならねえ」

姫「まあ、そうかもね」

勇者「戦いや人助けは手を抜いても、メシだけは手を抜かねえのが俺の主義だ!」

姫「前半は聞かなかったことにしといたげるわ」

 

19: 名無し ID:6mKKje330

姫「ふぅ~、おいしかった」

魔王「ごちそうさまでした」

姫「んじゃ、私も帰るわね」

勇者「おう、王様によろしくな。俺のこと次期王に推薦しといてくれ」

姫「シェフとしてなら推薦してあげる」

勇者「え、マジ? それでもいいよ」

姫「あんたにゃ勇者って立場に誇りはないの?」

勇者「ない!」キリッ

姫「こいつ……言い切りやがった……」

姫「ああ、あとシチューのお礼ついでに一つ真面目な忠告しとくけど」

勇者「なんだよ」

 

21: 名無し ID:6mKKje330

姫「私たち人間の中にも、魔族や、和解のきっかけを作ったあんたを快く思ってない人がいる」

姫「だから……気をつけなさいよ。この城下にも、過激な一派が潜んでるっていうし」

勇者「大丈夫さ」

姫「どうして?」

勇者「お前が……守ってくれるんだろ?」

姫「なんで私が守るのよ!」

勇者「だって強い者は弱い者を守らなきゃ」

姫「ふざけんな!」

バタンッ!

 

22: 名無し ID:6mKKje330

魔王「……勇者さん」

勇者「ん?」

魔王「今、姫様がおっしゃってたことは……本当ですよね」

魔王「ボクのことを嫌ってる人もきっと……」

勇者「そりゃいるだろうな」

魔王「!」

魔王「ボクはどうすればいいでしょうか……」

勇者「どうもしなくていいんじゃねーの?」

魔王「えっ、どうしてですか!?」

 

23: 名無し ID:6mKKje330

勇者「魔族が嫌いだっていわれて、お前は魔族をやめれんのか? 自分を人間に改造すんのか?」

魔王「いや、それは……」

勇者「だろ?」

勇者「俺に至っては、もはや俺のこと好きな奴がいるのか怪しいレベルだ」

魔王「え、姫様は勇者さんが好きでしょう?」

勇者「ないない! ありえない! 好きな奴にビンタかます女がいるかよ!」

魔王「嫌いな人の料理を食べる女性もいないと思いますけど」

勇者「つか、んなこと考えてると若いのにハゲるぞ! いや、魔族にハゲってあんのか?」

勇者「お前はちったぁ嫌われる努力すること考えろ! いい子すぎんだよ!」

魔王「は、はいっ!」

 

24: 名無し ID:6mKKje330

……

勇者「あそこに家があるだろ」

魔王「はい」

勇者「あそこには結構可愛い子が住んでてな……」

勇者「今下着を干してるから、そいつを頂いてこい」

魔王「分かりました!」タッ

勇者「むふふふ……」

 

26: 名無し ID:6mKKje330

魔王「あのー」

町娘「あら、魔王君だよね? どうしたの?」

魔王「下着を盗みたいんですけど……」

町娘「うえぇ!?」

町娘「小さな子に何させてるんですか!」

勇者「いや、違うんだ……。汚れてるから俺が洗ってあげようと……」

町娘「洗って干してたとこですよ!」

 

27: 名無し ID:6mKKje330

魔王「あのー」

チンピラ「あん?」

魔王「バ……バーカ!」

チンピラ「……」

チンピラ「やっぱてめえが言わせたのか! あんなガキに何させてやがる!」

勇者「魔王たる者、ケンカの一つも売れないとと思ってさ……」

 

29: 名無し ID:6mKKje330

勇者「ったく、全然悪さできねえな、お前は」

魔王「すみません……!」

勇者「もういい。今日は帰るぞ。うまいメシ作ってやる」

魔王「本当ですか! やったぁ!」

コソッ…

黒装束A「……」

黒装束B「……」

 

30: 名無し ID:6mKKje330

―勇者の家―

勇者「あー、やべーな」

魔王「どうしました?」

勇者「材料がねーわ。もう何日か分はあったはずなんだが……計算が狂った」

勇者「多分姫のせいだな……あいつ食いすぎなんだよ。今度請求してやる」

魔王「じゃあ、ボクが買ってきますよ」

勇者「お、わりぃな! じゃあメモ書くから、ちゃちゃっと行ってきてくれ!」

魔王「はいっ!」

 

31: 名無し ID:6mKKje330

店主「毎度ー!」

魔王(ボクをホームステイさせてくれてる勇者さんのためにも、少しでも役に立たないと……!)

魔王(それに、勇者さんは嫌われろっていうけど、町の人達とも仲良くなりたい……!)

魔王「ええと、次はお肉を……」

「おい」

魔王「はい?」

 

32: 名無し ID:6mKKje330

ガシィッ!

魔王「もご……」

黒装束A「捕まえたぜ……薄汚い魔族が」

黒装束B「ちょいと付き合ってもらおうか」

魔王(なんだ、この人たちは……!)

…………

……

 

36: 名無し ID:6mKKje330

―勇者の家―

勇者(魔王の奴、遅いな……なにしてんだ。俺のお料理したいゲージはとっくにMAXだってのに)

ドンドンッ

勇者「ん?」ガチャッ

勇者「姫じゃねえか、どうしたんだ」

姫「大変よ! 魔王君が……!」

勇者「……?」

 

38: 名無し ID:6mKKje330

―廃屋―

リーダー「王国に告ぐ!」

リーダー「我らは魔王を人質に取った! こいつを殺されたくなくば、魔族との和解を撤回しろーっ!」

黒装束A「撤回しろーっ!」

黒装束B「撤回しろーっ!」

魔王「んーっ! んーっ!」

ザワザワ… ドヨドヨ…

姫「ほら見て! 過激派グループが立てこもってるのよ!」

勇者「あのバカ、捕まっちまったのか。魔王がさらわれるって傑作だな!」ケラケラ

姫「笑ってる場合じゃないでしょ!」

 

39: 名無し ID:6mKKje330

姫「ああいう連中がいるってちゃんと忠告したのに、なんでこんなことになるのよ!」

勇者「いやぁ~、まさか一人でおつかいしてるとこを狙うとはね。敵ながらあっぱれ。賢い」

姫「感心してないでよ!」

姫「魔王君、あの性格だしきっと怖がってる。あいつらも何しでかすか分からないわ……」

姫「すぐ助けないと!」

勇者「……」

勇者「ほっとけよ」

姫「え!?」

 

40: 名無し ID:6mKKje330

姫「な、なんで……なんでそんなこというの!」

姫「あんたはどんなにクズでも、やる時はやる奴だって信じてたのに!」

勇者「そりゃな。やる時はやるさ。だが、今はやる時じゃねえ」

姫「どういうことよ!」

勇者「あいつは魔王だぜ? 大魔王がくたばったら、いずれ魔族の長になる存在だ」

勇者「あんな連中ぐらい自力でどうにかできなきゃ、未来はねえよ」

姫「だ、だけど……まだ子供じゃない!」

勇者「子供だからだよ。今が一番肝心なんだ」

姫「……!」

姫「あんたが何をいおうと、私は行くわ! 必殺のビンタであいつらなんか――」

勇者「やめろ」

姫「!」ビクッ

 

42: 名無し ID:6mKKje330

勇者「お前はあまり知らないだろうが、魔族ってのはどれだけ集団として成熟しても」

勇者「根っこには“強い奴・悪い奴を尊敬する”ってのがある」

勇者「よわっちい奴、悪さもできねえ奴はナメられちまう」

勇者「これは生き物としての本能みたいなもんで、あいつらが野蛮とかそういうわけじゃねえんだ」

勇者「まして上に立つならなおさらだ。時にはゲスな決断しなきゃならねえこともある」

勇者「お前の親父である王様だって、決して真っ白じゃねえだろう?」

姫「そりゃそうだけどさ……」

勇者「だから、あいつも魔王として生きるなら、ちったぁ悪さができなきゃいけないんだ」

勇者「できないならいっそ、ここで死んじまった方が幸せだ」

 

43: 名無し ID:6mKKje330

姫「そっか……だからあんたはあの子に万引きさせたりしたの」

勇者「その通り! 俺としてもやりたくなかったんだが、全てはあいつのためだったのだ!」

勇者「くぅ~、この心意気! あえて悪を演じる深謀遠慮! まさに現代に舞い降りた聖人……」

姫「……」

姫「絶対私利私欲も混ざってるでしょうが、このクズ!」ギュッ

勇者「あだっ!?」

姫「万引きさせるより、もっといい方法あったはずだしね!」ギュムウウ…

勇者「痛い痛い痛い! すいませんごめんなさい! わたくしのスケベ心でやらせた部分もございます!」

 

45: 名無し ID:6mKKje330

勇者「おい、魔王っ!!!」

勇者「いっとくが俺も姫も助けねえぞ! 死にたくなきゃてめえでどうにかしろ!」

ザワッ… ドヨドヨ…

魔王「……!」

リーダー「な、なんだと……!? 見捨てる気か! くそっ、しょせん魔族と和解を選んだクズ勇者か……」

 

46: 名無し ID:6mKKje330

黒装束A「どうします?」

黒装束B「こいつはもう、人質になりませんよ!」

リーダー「予定より早いが……仕方ない、殺せ」

魔王「!」

リーダー「殺して首を大魔王に送りつけてやれば、和睦の話はなかったことになるだろ」

リーダー「そうなれば、また魔族との戦いの歴史が再開される!」

リーダー「かりそめの平和は終わりを告げるのだ!」

魔王「……!」

 

48: 名無し ID:6mKKje330

リーダー「戦いが始まったら、混乱のさなか、あのクズ勇者も殺してやる」

リーダー「新しい勇者は……もちろんこの俺だ!」

黒装束A「そしたら俺を仲間にして下さい!」

黒装束B「ぜひ!」

リーダー「任せておけ。新生・勇者パーティーは魔族を根絶させるまで戦うのだァ!」

ワイワイ…

魔王(勇者さんを……殺す? 魔族を……根絶? そんなこと、させるもんか……)

魔王(絶対に……!)

魔王(絶対にさせないッ!)

 

49: 名無し ID:6mKKje330

魔王「むうんっ!」

ブチブチッ!

リーダー「えっ?」

黒装束A「拘束が……!」

黒装束B「な、なんで!?」

ドヨドヨ…

魔王「あなたたちがボクを嫌いなのはしょうがないけど……勇者さんに手を出すのは許せない!」

魔王「戦いだってもうこりごりだ!」

魔王「だからボクは……あなたたちを倒す!」

リーダー「倒すだと!? 笑わせるな、お前のようなガキに何ができる!」

 

50: 名無し ID:6mKKje330

魔王(ボクにだって……父上から受け継いだ魔力がある……)

魔王(それを一気に――)

リーダー「かかれっ!」

魔王「うわああああああ!!!」

リーダー「ちょっ――」

ドゴォォォォォンッ!!!!!

 

51: 名無し ID:6mKKje330

シュゥゥゥゥ… パラパラ…

ザワザワ… ガヤガヤ…

姫「ウソ……建物が吹っ飛んじゃった」

勇者「……」ニヤッ

勇者「やればできるじゃねえか」

 

52: 名無し ID:6mKKje330

魔王「勇者さん……」

勇者「廃屋を全壊させて、さらった連中に重軽傷を負わせたってとこか……」

勇者「なかなかの悪さができたじゃねえか」

魔王「ボクにこんな力があったなんて……」

勇者「魔王やんなら、一度ぐらい力を発揮しとかねえとな」

勇者「これぐらいの体験ができて、こんだけの力があれば、魔王としても十分やってけるだろ」

魔王「は、はいっ!」

 

53: 名無し ID:6mKKje330

姫「すごかったわよ~! さっすが魔王! いずれ大魔王!」

魔王「ありがとうございます!」

姫「なんなら次は勇者をやっちゃってよ」

魔王「そうですね!」

勇者「おいバカやめろ」

魔王「冗談ですよ」ニヤッ

勇者「こいつめ……」

 

54: 名無し ID:6mKKje330

「うーん……」 「強すぎ……」 「い、いたい……」

リーダー「く、くそっ……!」ヨロ…

リーダー(魔族は……滅ぶべき汚らわしい存在なんだ。絶対に和睦など認めんっ! 魔王なんか殺してやるッ!)

リーダー「うおおおおおおおおっ!」ダッ

魔王「あっ!」

姫「危ないッ!」

 

56: 名無し ID:6mKKje330

ガシッ!

リーダー「うぐ……!?」

勇者「おーっと、これ以上の悪あがきは蛇に足つけるようなもんだぜ」

リーダー(素手で、俺の剣を……!)

勇者「お前が姫のいってた俺や魔族のことを嫌ってる過激な一派のリーダーか」

リーダー「うぐぐぐ……」

勇者「いっとくがな、俺はお前の考えを否定はしないぜ」

リーダー「は……?」

勇者「むしろ、みんなで足並み揃えて魔族と仲良くしようとするより」

勇者「お前らみたいなのもいた方が健全だと思うぐらいだ。嫌いなもん無理に好きになるこたぁねーよ」

 

58: 名無し ID:6mKKje330

勇者「だけどな……こんな騒ぎ起こすんなら話は別だ。近所迷惑すぎる」

勇者「もしまた、こういうバカ騒ぎを起こしたら……」

勇者「潰しちまうぞ」

リーダー「う、ぐ……」

勇者「ほら、分かったら仲間連れてとっとと消えな」

リーダー「ひ、ひいいい……!」タタタッ

姫「いいの?」

勇者「なんかやらかしたら、今いった予告を実行するだけさ」

 

59: 名無し ID:6mKKje330

勇者「災難だったな、魔王」

魔王「いえ……いい経験になりました」

勇者「んで、買い物は?」

魔王「途中までしか……」ガサ…

勇者「んー、こんだけありゃなんか作れるだろ。帰るぞ!」

魔王「は、はいっ!」

姫「私もゴチになろうーっと」

勇者「かまわねえけど、金出せよ」

姫「はいはーい、勇者様!」

…………

……

 

60: 名無し ID:6mKKje330

……

……

姫「いよいよ今日でホームステイも終わりか……寂しくなるわね」

魔王「姫様、町の皆さん、本当にお世話になりました」

魔王「今後とも魔族をよろしくお願いします!」

ワイワイ…

店主「君みたいな魔王ならいつでも歓迎だよ」

町娘「元気でね!」

チンピラ「またな! 今度来たら酒でも飲もうや!」

 

62: 名無し ID:6mKKje330

魔王(勇者さんは……)キョロキョロ

魔王(あっ! 背中を向けて……)

勇者「……」ピッ

魔王(親指を立てて……さよならを……)

姫「かっこつけてないで、ちゃんと挨拶してあげなさーい!」ドゲシッ!

勇者「ぐはぁっ!」

魔王「あわわわ……飛び蹴り……」

 

64: 名無し ID:6mKKje330

勇者「まあ……あれだ」

勇者「会おうと思えばいつでも会えるんだし、元気でやれよな。魔王らしくしっかり悪く強くなれよ」

魔王「はいっ、勇者さんもお元気で!」

勇者「元気でいられるかなぁ……誰かさんに殺されるかも……」チラッ

姫「なんで私を見るのよ!」

魔王「アハハハ……(この二人は本当に仲がいいなぁ……)」

…………

……

 

66: 名無し ID:6mKKje330

魔王「ただいま戻りました、父上」

大魔王「よくぞ戻った、息子よ」

大魔王「どうだった……勇者との生活は」

魔王「はい、勇者さんとの生活でボクは大切なことを学びました」

魔王「王は清いだけでは務まらない。時には力を行使しなきゃならないことを……」

大魔王「そうか……」

大魔王(手元に置いておくと、どうしても過保護にしてしまう)

大魔王(少々……いやかなり不安だったが、“あの”勇者の下に送ったのは正解だったな)

大魔王「して、お前はどのような王になる?」

魔王「ボクは――」

 

67: 名無し ID:6mKKje330

魔王「勇者さんのように強くて、悪くて、料理のできる立派な魔王になります!」

大魔王「そ、そうか……」

大魔王(あれを目指されても、困るんだがなァ……)

……

勇者「はーっくしょっ!!!」

姫「きゃーっ、ちょっといきなりなによォ!」

勇者「誰かが俺の噂してんな」グシュッ

姫「どうせ悪評でしょ……」

― 完 ―

 

68: 名無し ID:ztB3cXWn0
面白かった

 

72: 名無し ID:92r4IFwgr

いい魔王になりそうだ

 

76: 名無し ID:cDR+PJXs0
これ魔王じゃなくて孫悟飯だろ

 

引用元: ・https://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1594035123/

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